谷口忠大のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルに「コミュニケーション塾」とあるように、「コミュニケーションとは何か?」について書かれた本です。
小説形式(あとがきによると「ライトノベル形式」)で書かれた本で、とても読みやすかったですが、内容的には、かなりしっかりしたものでした。
「コミュニケーション」という言葉は、誰もがみんな正しく知っているかのように使われていますが、学術的に厳密な定義は、実はまだ存在しない、とのこと(将来的には存在するであろう、という期待を込めて、あえて「まだ」と書いておきます)。
とはいえ、近年、AIの技術が進むにつれて、コミュニケーションの本質についての理解はずいぶんと進んでいるようです。
何事も、理解 -
Posted by ブクログ
発案者によるビブリオバトルの解説本である。その公式ルールから、発案に至った経緯、そのルール設計の工程などが詳しく説明されている。
この本を読めば、公式ルールの重要性やその意図するところはハッキリとわかる。なぜチャンプ本を決める必要があるのか、なぜ5分なのか、そうした公式ルールを破ることでビブリオバトルが意図する部分が損なわれる(可能性がある)ことが理解できるだろう。
イベントとしてのビブリオバトルが紹介されている一方で、物語仕立てで実際の実施する風景が著述されている点も、実施する上では参考になるだろう。
発案者の意図するところでは、家庭単位で行えるくらい身近な知的スポーツであるようだし -
Posted by ブクログ
ビブリオバトルの考案者による、ビブリオバトルについての本です。発端は、著者が所属していた研究室で読書会を始めようとしたこと。従来の読書会では発表者以外読んでこなかったり、レジュメを読み上げるだけで退屈だったり、そもそもどの本を読むべきか判断できなかったりと、問題が多いと感じていたそうです。そこで、みんなが読むべき本をそれぞれプレゼンし、「チャンプ本」を改めて研究しようと考えた――それがビブリオバトルにつながったと知って驚きました。
研究室というコミュニティで始まったため、コミュニティ構成員によるビブリオバトルでは、回を重ねるごとに互いを深く知ることができます。コミュニケーションを深めることは目 -
Posted by ブクログ
非常に大きな思索の広がりを感じて,読んでる最中興奮しっぱなしの一冊でした.
裏表紙に「工学と哲学を架橋する」と書いてありますが,
「過去の哲学を叩き潰す」というぐらいの勢いを最終章では感じました.大変好ましいです.
本書の趣旨は「記号創発システム」としての世界の捉え方を広く伝えることにあるようです.
おそらく初見ではすんなりと把握しづらい(何せ新しいモノの捉え方なのですから)世界観でしょうが,
章立てもよく考えられていて,門外漢でも最終章まで問題なくついていけました.
いや,「ついていく」とういよりは,自分の頭の中の「マッピング」が再構築されていく,新しい次元方向への広がりが見えてくる,
-
Posted by ブクログ
ロボット研究を通して心・意識の構造を解明する話。
「ロボットに心・意識はあるのか?」という素朴な質問を研究者に投げると「心・意識ってなんですか? どういうロボットができたら心・意識を持つことになるんですか?」と投げ返される。
著者は、ユクスキュルの環世界から話を始める。私たちは主観的世界に生きている。客観的世界である環境には、感覚器で感じ、運動器で作用することで関わることができる。感覚器で感じる知覚世界と運動器で作用する作用世界から環世界はなる。主体の認知は環世界のなかにある。心は主体の認知の世界だ。他人に心があるかどうかは分かりようがない。認知は自分の中で閉じているのである。私たちには赤 -
Posted by ブクログ
東京都知事の猪瀬さんも『解決する力』の中で推奨されていたりと、
ここ最近、意外と耳にすることが増えてきている、「ビブリオバトル」。
ルールは至極単純で、、
・参加者が読んで面白いと思った本を持ち寄る
・順番に1人5分で本を紹介する
・それぞれの発表後に、参加者全員で2-3分のディスカッションを行う
・全ての発表終了後に、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準に、
参加者全員1票で行い、最多票の本を「チャンプ本」とする
と、人と本が集まれば、どこでも誰でもできる内容です。
ドッジボールやフットサルのようにすそ野を広げたいとは、なるほどと。
本の魅力を伝えるにも、相手の琴線に -
Posted by ブクログ
毎年恒例の企画展示「科学道100冊」に2022年新たに加わった本。
ラノベ風の小説部分と実行知能の現状と技術解説部分を交互に織り交ぜている。
あらすじ:
小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!
最初、家にやって来た時、車椅子に座り、言葉もわからず、記憶もない、知らないことだらけのアリスに主人公の悠翔がいろいろ教えてあげることになる -
Posted by ブクログ
ビブリオバトルのルール、成り立ち、目的、効果効用、世間への浸透具合が説明された本
最近、初めてビブリオバトルに参加してみてイメージしてたより楽しかったので読んでみた
読書会にはよく参加するけど、ビブリオバトルはやったことがなかった
「チャンプ本」を決める、という行為が本に優劣をつけているように思っていた
本はあくまであるだけで、それを読んでどう感じるかは人それぞれであって、どんな本でも特定の人にとっては唯一無二の本
なのに、限られた集団の中で発表の内容も含めてチャンプ本を決めるのは乱暴な気がしてた
でも、実際に参加してみると、チャンプ本に選ばれるのはその本を面白いと感じて他の人にも伝えたい -
Posted by ブクログ
『ふだん使いの言語学』で我々がいかに無意識に巧妙に言語を使っているか、ということに触れた後に読んだこともあるが、こちらはまた別の観点での人工知能の多くの課題を「ふだんの生活」の中に落とし込む形で論じている。
そもそも、我々が生きるために獲得した「知能」、生得的な「本能」のみならず、誕生から長い時間をかけて獲得する部分もある「知能」をトップダウン的に構成することはできるのか。筆者は否定的な見方を取っている。確かにトップダウン的に与えて社会の「役に立つ」ものは確かに作れる。ただ、現在のスマートスピーカーのようなものは、以前よりも格段に曖昧性に強くなったと言っても、自分の想定する「文脈」を十分に理解 -
Posted by ブクログ
『もしドラ』のコミュニケーション論バージョンのような一冊。
ビブリオバトルの発案者にしてAIの研究開発をしている教授と呼ばれる僕が、原稿を書くために通っている喫茶店エトランゼで、質問魔の女子高生に色々質問されて、ついついコミュニケーションについて色々講釈をすることになってしまうという筋で、ラノベ風のイラストも挟まれている。
著者自身が教授役として登場するのがややキモいが、内容的には専門書だと読み進めるのが困難なところが適度に噛み砕かれているし、ラノベ風にしたことも不自然でない。
シャノン・ウィーバー型の、データを情報源から目的地まで誤りなく届けるというモデルだけでは説明がつかない、主体的な解釈 -
Posted by ブクログ
ビブリオバトルの目的、よさについて理解できた。
・書籍情報共有機能
・スピーチ能力向上機能
・良書探索機能
数え切れない本の中から、良い本を選定するためのフィルター的機能がある。
・コミュニティ開発期間
紹介する本を通してその人を知ることができる。コミュニケーションの場づくりがビブリオバトルの本質である。
☆チャンプ本を決めることの意味
本を紹介するコミュニティに対して良書を選ぼうという動機付けのため、一方的でなく聞き手に一生懸命伝える努力をうながすために、チャンプ本を選ぶという仕組みか必要である。チャンプ本を決めるために投票する側もしっかり聞くようになる。