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Posted by ブクログ
非常に大きな思索の広がりを感じて,読んでる最中興奮しっぱなしの一冊でした.
裏表紙に「工学と哲学を架橋する」と書いてありますが,
「過去の哲学を叩き潰す」というぐらいの勢いを最終章では感じました.大変好ましいです.
本書の趣旨は「記号創発システム」としての世界の捉え方を広く伝えることにあるようです.
おそらく初見ではすんなりと把握しづらい(何せ新しいモノの捉え方なのですから)世界観でしょうが,
章立てもよく考えられていて,門外漢でも最終章まで問題なくついていけました.
いや,「ついていく」とういよりは,自分の頭の中の「マッピング」が再構築されていく,新しい次元方向への広がりが見えてくる,
と言った方が近いかもしれません.
「学問」「研究」の醍醐味でしょう.
前半~中盤の章では,具体的事例としてロボットの知能(心?)を作っていく中で,徐々にその複雑さや抽象度を上げていきます.
基本的に数理モデル(模式図で表現していますが)なので,
対象はロボットにかぎらず,「あれにも似てる」「これにも使えそうだ」と色々類推が捗ります.
終盤の章では,上記のような類推が,「構成論的アプローチ」として詳しく解説され,
そのアプローチを適用すべき対象としての「記号創発システム」について語られます.
自分で読んで,自分が関わっている世界を踏まえて,自分の中で意味付けをする,
という本書で述べられている趣旨をメタに体験出来る良書でした.
Posted by ブクログ
ロボット研究を通して心・意識の構造を解明する話。
「ロボットに心・意識はあるのか?」という素朴な質問を研究者に投げると「心・意識ってなんですか? どういうロボットができたら心・意識を持つことになるんですか?」と投げ返される。
著者は、ユクスキュルの環世界から話を始める。私たちは主観的世界に生きている。客観的世界である環境には、感覚器で感じ、運動器で作用することで関わることができる。感覚器で感じる知覚世界と運動器で作用する作用世界から環世界はなる。主体の認知は環世界のなかにある。心は主体の認知の世界だ。他人に心があるかどうかは分かりようがない。認知は自分の中で閉じているのである。私たちには赤外線は見えないし、雲を手てつかむことはできない。これが人間の世界だ。私たち赤ん坊として何も分からないところから出発し、自分自身で認知を作り上げていくことができる。
この「認知的な閉じ」からロボットを使った実験の話が続く。視覚、聴覚、触覚を備えたロボットにより物体概念を得る話を読んでスッキリした。
人間と同じような分類をロボットにさせることができた。ロボットが見た世界を記号論的に扱うことで可能となった。「ロボットは自らの経験をもとに概念を獲得することは可能となった」と言う。
文から単語を得るためには形態素解析が必要になる。ロボットに文の形態素解析をさせるとどうなるのか。スペースを全てとった英文をもとに、単語の区切を推測させるのである。語彙をロボットに獲得させる基礎はできた。機械学習のためには、二重文節構造の話を理解することが必要になる。このあたりでやめておくことにしよう。
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