岩井洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
明治時代を中心に、当時の「記憶術ブーム」をテーマにした一冊。
特に、身体を頑健にし規則正しい生活を送り精神を鍛えるという、いわば「ハード」な記憶術についての記述は面白い。現代でもハウツー的な記憶術は花ざかりですが、さすがに「適度な食事」「喫煙をつつしむ」「記憶力増進にきく薬」を推奨する人はあまりいないでしょう(ただ、薬についてはスマートドラッグブームというものがありましたが)。
表題にある「立身出世」と「記憶術」の関連も示唆に富みます。明治時代に入り、身分ではなく能力によって「出世」することが可能となりました。それに伴って必要とされたのが、学問を身につけ無数の試験に合格すること。そのために