鍵空とみやきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
トゥエルブの深掘りがされる巻なのだけど、サーティンと先生をくっつけようとする彼の真意は変わらず描かれない
けどトゥエルブにとってサーティンが何よりも特別な存在である点ばかりが強調されている
トゥエルブと若草の関係性、若草がほぼ失恋状態でありながら自壊しなかったが為に甘えていた部分は有ったんだろうな…
だから彼には何を言っても自壊する事なんて無いという驕りがあったのかもしれない。それが終盤の悲劇に繋がったのだろうし
対するサーティンは白雪に訪れた悲劇に一杯一杯か…
そのような心境だったからこそ、アリスを目覚めさせ白雪の暴走状態を抑えた先生により依存する形になってしまうのだろうけど
またもう一方で、灰かぶりの自壊がサーティンだけでなく、他のドールにとっても心の楔になっていたのは少し意外だったな。まさかミンストラルが苦しんでいるとは思わなかったよ
手酷く振った時は自覚していなかった想い。それはまるで毒のようにミンストラルを苛み、そしてローズベルの言葉がトドメになって彼を自壊に至らしめたわけか…
恋と自壊に揺られるこの状況は先生の思惑通りなのか、もっと大きな計画の一部なのか
どちらにせよドールにとって自分の想いがままならず誰かに制限され利用される状況は我慢ならない筈
だからこそ痛みを堪えて前に進むトゥエルブに誰もが懸けるしか無い
少しずつ見え始めた自壊の条件。そして自壊を避ける方法
多くの犠牲を払いつつ手掛かりを手にしていくトゥエルブは先生の思惑を超えられるのか、そしてこの状況を知ったサーティンは何を思うのか…
14話での先生の発言を見る限り、ドールにとって打開しなければならないのは恋が出来ない状況だけでなく人類との関係も含まれそうだけど、そしたら学園の中の小規模な物語では収まらなくなってしまうのが気になる所……
あと、トゥエルブが気にしていた『逸話素体』とは何を指すのか、気になる要素が多すぎるね -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
語り損ねた、真実の愛の挿話たち。
人が全てを切り捨てて、最期に残るのは、愛だけ。「ハッピーシュガーライフ」本編完結後に発表されたキャラクター別の短編読切を収録。しおの「その後」を描く、単行本描き下ろし作品も収録。余分で、過剰で、特別な、それぞれのエクストラ・ライフ。
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本編を最後まで読み終えたのがちょうど3年前ぐらいでした。まさか続編(後日談ですが)が出るとは…。
本編の感想に「誰かのために死ぬ」ということは美談に聞こえるが、生き残った側の心の中にドス黒く残り続けるものだ、と書きましたが、まさにそれが現実のものになってしまいましたね。 -
Posted by ブクログ
作者があの『ハッピーシュガーライフ』の鍵空とみやき先生で、あらすじを読んだ段階では恋に燃えるドール達のおどろおどろしい恋愛模様が描かれるかと思いきや、冒頭からコメディ調であった事に大変驚いたよ!
「恋をするとバカになる」、これは比喩表現だと思っていたのだけど、どう見てもバカそのものだね!顔の造形すら変わってしまうって相当やばい事態ですよ……
愛玩具として出荷される商品なのだから、そりゃカタログと異なる状態になってしまったら不良品の烙印を捺される……そのロジックは判るけれども、慈悲無く焼却されるドール達の様子が悲惨な筈なのにギャグ描写でしか無いという……
冒頭では恋を禁ずる側に居ると思われた生徒会長のサーティンですら実際は恋をしている有様なのだから、もはやこの物語はシリアスではなくコメディ…と思わせた雰囲気が少しずつ変わり始めるのが2話終盤からの流れだね
恋をするとバカになって破棄される。けどそんなドールにだって恋をする権利があるはず。認めさせる為なら「告白テロ」だって敢行する
コメディみたいな設定だけど、それによってドールが縛られているなら、ルールを覆す集団が現れるのは何らおかしくないし、それによって物語が動き出すのも自然
そうして物語はコメディ調を保ちつつも「告白テロ」に向けて進み始めるのだけど、それと同時進行的に怪しさを増していくのは先生だね
表面的にはドール達を見守る唯一の人間。けれど、階段から落ちそうになったサーティンを助けた場面を始め、幾つかのシーンでは『ハッピーシュガーライフ』で見た覚えの有る『愛』に満ちた表情をしていたよね……
彼の存在が有る限り、本作を完全無欠のコメディと見る事は出来ず、また彼に焦がれるサーティンというドールの特殊性も垣間見えてくる
コメディかシリアスか。純愛か狂愛か。それが明白となるのが灰かぶりが自壊するシーンか
仕組まれた失恋、それでも突き進んだ灰かぶりへの査問…
これってもしかしなくても巨大な実験場なんじゃ……。だとしたらその中心でサーティンを始めとしたドール達を操る先生は何を企んでいるの……?
コメディに思われた物語が自壊によって狂気度を増していく。報われないと定められているサーティンの恋は果たしてどのような感情を持ち主に齎すことになるのかな? -
Posted by ブクログ
美しくも、けれど破滅的に完結した本作の続巻が出るとは夢にも思わなかった……
でも、エクストラエピソードという事である程度気楽に読めるのかな?と思いつつ、読み進めていたら……
いやはや、やっぱり本作は狂気と純愛に満ちた御伽噺のような物語でしたね…
だってね、最初こそさとうの叔母の話でスタートしつつ、その次には保育園ネタなんていう二次創作のようなネタが明るく繰り広げられるのだから油断もしてしまうじゃないか
その後に続く幾つかの話もいずれ辿り着く破滅さえ抜きにすれば明るい要素の多いエピソードだったし
その流れが変わるのはしょうこのエピソードからかな
思えば本編においてもしょうこの破滅から作品全体の破滅度が上がっていった印象がある。
改めて感じるけど本作において、しょうこは様々な意味でターニングポイントとなる人物だったよ……
そういった分岐点の後にさとうとしおの心情を深掘りする2篇が続いてからの続巻においてメインと言える後日談エピソードが色々と衝撃的
あの頃のさとうと被るようにキラキラした女子高生になったしお。学校生活を楽しみつつも、本当の楽しみは甘美な瓶の中に
単純な応えしか返してくれない空想のさとうと共に甘くて狂人的な愛の夢。余人が見ればどこに幸福が有るのかと問いたくなる焼け落ちた二人だけのお城でしおは変わらずにさとうへの愛を貫くのか……
個人的には、さとうが自身を生かした意味をまだしおが知らないどころか、知らないままでも別に良いと感じている点は衝撃的だったかもしれない
答えを探すのではなく、自分の中にあるさとうの愛を全てとする。他者の理解を拒むような絶対的一途な愛
この続巻を読んで衝動的に本編をぺらぺらと読み返してしまったけど、やっぱりこの二人の間にある愛は理解しきれないものが多々あった
それでも唯一無二と言えるさとうとしおの愛物語は見ている者の目を一切離さないだけの力強さがあったと再確認できましたよ…… -
Posted by ブクログ
さとうとしおの破滅が描かれる最終巻。けれど、その破滅は周囲の人間にとっての破滅であり本人達にとってはそのままハッピーシュガーライフの始まりであるという点は恐ろしい
火の手とあさひが迫りくる中で思っていたような逃避行ができなくなってしまったさとう達
その中でさとうとあさひはしおを巡って争うのだけど、しおから見ればその様子は両親のDVの場面と被ってしまう描写は印象的
そうなれば、しおの中でさとうは虐められて泣いていた母親とダブりつつ別人と認識できてしまう。しおがさとうから離れる理由が薄くなる。
また、しおはさとうの共犯者になる決意を固めているのだから、さとうの危機には立ち上がるし、さとうの犯罪歴を聞かされても動じない。しおは母親に捨てられた時よりも強く、そして拒絶を強くしているわけだ
そんな中であさひから告げられたのはしおが全く知らなかった、母親が自分を捨てた日に何を思っていたのかという点。これはもしかしたら、しおにはまだ家族のぬくもりを取り戻せる余地があると言える分岐点だったのかもしれない……
それでもしおはさとうを選んでしまうんだねぇ……。心の一部が兄のもとに帰りたがっていると知っても自分の為に、そしてさとうの為に生きると決めてしまうのか……
この巻におけるあさひの最大の失策はしおが既に変質していると気付けなかったことなんだろうな……
逃避行に失敗し、新しいお城も築けず、火の手は迫っているなら、取れる道は限られてくる。だからといってしおの方から「一緒に死のう」なんて言葉が出てくるのは想像の外から来る言葉で有ったけど
飛び降りる中で「大好き」を昇華させた「本当の愛」に目覚めたさとう。「一緒に死のう」というしおの願いを裏切りながらも「ごめんね ありがとう!」
これは愛の言葉であり同時に呪いの言葉であるように感じてしまったよ
最終話で家族の絆を取り戻せるという場面に接しても、「私もう そういうのやめたの」と切り捨てたしお。これは第一話のさとうの発言であり、それを発する中でしおとさとうは重なる
さとうと重なりながらも、しおは何故さとうが自分を生かしたのか判らないと言う。判らないから考えると言う。
それは出口のない問答であり、死者の為に人生を使うと決めた瞬間でも有る
こうなってしまっては他人が理解できる領域を飛び越えてしまう。正直、私にはこの場面のしおがあまりにも超人的すぎてちっとも理解できない。
でも、しおにとっては他人が理解できるかなんて関係なくて、自分と自分の中に居るさとうだけで世の中が完結していればそれで問題ないのだろうね
これにて、他者から隔絶された瓶の中にさとうとしおだけのハッピーシュガーライフは完成し、しおは幸せになってめでたしめでたしか……
ちょっと前の巻から観念的な描写が増えてどこまで作者の意図を読み取れたか確証を持てない部分が多い上に、他者の理解を拒むようなしおだけのハッピーエンドをどう受け取って良いのか判らないのだけれど、それでもさとうとしおの破滅と愛に満ちた物語を読めたことは良かったのだろうと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレボリューム少なめでストーリーの進展があまり見られなかった前巻。第7巻はどうなるのだろうかとワクワクしていたらまさかの過去編
ただ、それによってあさひとしおがどのような家庭環境で育ったのかが十分に伝わってくる内容だったので良し
扉絵で純粋可憐さを充分に主張してきたゆうな。まさかたった数ページでその笑顔が曇ってしまうとは思わなかったよ……
当たり障りない生活を送りながらも誰かが自分を素敵な世界に連れてってくれるのでは?と夢想するとても普通の人生を歩んでいた少女。そんなゆうなの人生が一瞬にして、そして本人の意思を置いてけぼりにしてあっという間に奈落の底に突き落とされる。
ゆうなは母親にも大人になった自覚すらないままに時間が進み続けてしまう。そしてその時間の中で両親を失い金を失い、そんな環境でもしおが産まれてきてしまい更にはあさひが居なくなってしまう絶望感は半端ない
そういった事を考えればゆうながしおを捨ててしまうのは時間の問題だったように思える
そういえば、過去編の中ではあさひが出ていった下りが描かれなかった。これまでの話を見返すと少し辻褄が合わない部分が有るのだけれど、もしかしてあさひかゆうなの記憶に間違いが有るのかな?
しおと出逢って生きるために愛するのではなく、愛するために生きる事を知ったさとう。ここから彼女の暴走が始まるのか…… -
Posted by ブクログ
しょーこはとんでもない物を遺して逝った。これであさひはしおを取り戻ししょーことの約束を果たし「幸せ」を手に入れるためにさとうと衝突せざるを得なくなった。ラストのバットが不吉な展開を予感させる
けれど、そんなタイミングでこれまで庇護される存在だったしおがさとうを守るために共犯者に名乗り上げ。
この決断の原動力となったのが、母親によってしおに遺された残酷な記憶であった点には妙な巡り合わせを感じてしまう。さとうがしおへの愛情に固執するのだって叔母から与えられた嫌な記憶や体験が元になっているんだものなぁ
しおは全て思い出したと言うけれど、あさひからすれば「あの日」何があったか知らないと言う。「あの日」とはやはりしおが家を飛び出し、さとうと出逢った日なのだろうか?