自画自賛に終始する書きっぷりが鼻持ちならなくてあまりいい印象を持っていないこのシリーズだけれど、この本はその色合いがやや薄く(まったくないとは言えない)、興味深い内容だったのでそれなりにおもしろく読んだ。
現象としては、リーマンショックがもたらした経済的損失が価値観にまで影響を及ぼして、ウォール街
...続きを読むの外で雨後の筍のごとく「小さい経済」が生じ始めている、ということらしい。
そういう流れが、食やファッションやいろんなところで起こっているよーという本。
一方で、そのムーブメントの流れの中で売られている割高な商品は、高額なファッションブランドの服を買うことや、高いレストランで食事をとることと本質的には変わっていないことにも気づかされる。
地産地消とか、無駄をなくすとか、理念はすばらしいのかもしれないけれど、ものを売る・買うという視点で考えると、実は何も進歩していない。「地産地消」「無駄をなくす」「自然に優しい」といった情報を付加価値にして割高でも買う理由を買い手に提供する。売り手は、原価コストや輸送費が低く抑えられるので利益率が向上する。
ビジネスとしては、リーマンショック前と何も変わっていない。
マーケティング手法が変わっただけのこと。
このシリーズには、物事を多面的に捉える視点が決定的に欠けている。