落希一郎のレビュー一覧
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カーブドッチに行きたい!
日本で本格的ワイナリーをつくった落氏の自伝と会社(ワイナリー)について歯切れ良く書かれている。
日本のワインが
・輸入ワインを混ぜて、日本で瓶詰めして「国産」を名乗っている
・海外からぶどう果汁を輸入して、それを発酵させ瓶詰めして「国産」を名乗っている
少しマシなのは
・食用ぶどうの残り物をワイン醸造に使っている
著者が書いている様に、日本のワインは税金を取る法律はあるが、欧米の様に品質を高める法律はない。
これはウィスキーも同様で、日本の「メジャーな酒」は粗悪品、まがい物で、欧米なら禁固刑になる様な事を平気でやってきた。
その様な悪癖に立ち向かう姿勢は、日本 -
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彼のようなモノづくり、組織づくりを行う経営者がもっと増えたら、日本はもっといい方向に変わるのだろうな、と思わせてくれました。
本の中で「顔のない生産者が、顔のない消費者に向けて、主張のない商品を作る」という日本の経営の在り方を述べていましたが、まさしく私もその通りであると私も思いました。もちろん彼のように、質が良くても万人ウケせずに、自分の作品を分かってもらえる人だけにワインを造り続けるというのはかなり大変だと思うし、批判も出てくると思います。しかしそれを撥ね退け、その独自性を強みにし、周りに協力者を増やし、自分の理想のワイナリーを造っていく姿はとても眩しく感じられます。
近頃、私の中で無 -
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新潟にある、日本で本物のワインを作って提供してくれているカーブドッチのお話。創業者の落さんは、今は、北海道の地でワイナリーづくりに取り組んでいるようだが、その落さんが作り上げたワイナリー、非常に興味ある。食用ぶどうの残りもので作られたワインでない、本物のワインを飲んでみたい。日本でシャルドネとかピノノワールを使ったワインがないのは、気候のせいだと思っていたが、全くの思い込みだった。日本でも、欧州のワイン専用品種の栽培はできるじゃないか。思い込みというのは、改めて恐ろしいものだと思った。
ベンチャーの起業プロセスの参考ともなる話満載で、出資、投資的な観点での経営面の話も興味深かった。 -
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ずいぶん以前に気になって買った本が本棚の片隅にあった。夏休みのゆったりとした午後に読むのに最適、と読み始めた。
著者はワイン不毛の地と思われた新潟にワイナリーだけでなく、食に関する大人のレジャーともいれる場を作った。
ドイツに留学して学んだ事はワイン専用のぶどうでつくらなければ本物のワインではない、ということ。ワイン用に品種改良されたぶどうは甘みが強く果実が小さく実が少ない(ジュースが多い)。
そして多くを作らない事。自分が見られる範囲だけで、限られた品種でワインを作る。
ワイナリーを立ち上げた当初の資金は200万円。「ワイン作りは農業だ」と言い切る著者。少ない資金で畑を開墾し、ワイン用のぶど -
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「ワイン界のpatagonia」ー
読み終わってそんなイメージを持ちました。
本当に良いと思ったものを
自分の目が届く範囲でじっくりと作り上げる。
大量生産時代に相反する理念が素晴らしい。
ワインにかける情熱と夢。
ワイン作りの現実。
筆者の昔も今も変わらず一貫したワイン作りの哲学と
現状と未来をしっかり見つめ計画立ててきたことが
この本で十分に語られています。
自身の夢を実現させながら
地域や次の世代を大切に育てるという意識。
ここまで深く本気で考えてくれる先輩はそういません。
「大量生産の虚実」「地域活性」「人生計画」。
ただのワイナリーの本じゃない。
10代でこの本に出会いたか -
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「日本に本物のワイナリーをつくる」。本物とは、自分の目がしっかり行き届く範囲内(=少量生産、少量消費)でのワイン生産、欧州系のブドウだけを自家栽培、自家醸造してワインをつくる、こと。新潟県角田浜、CAVE D'OCCI WINERY(落のワイン蔵)の挑戦をまとめたもの。集落作り、景観づくりは一人一人が身の回りを変えていくことで変わっていく、ということが分かる一冊。以下メモ。(1)誇りの大きさは決して規模ではない。(2)食の質の向上はシンプルな仕組みから。…顔のない生産者が顔のない消費者に向けて主張のない商品をつくる。…こうした作り方がまかり通っていては個性的な製品作りなど不可能です。
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カーブドッチを作った落さんのお話。日本国内ではワインのルールが定まっていないので、国内でボトリングすれば、それで「国産ワイン」と名乗れてしまう。それに異を唱えて、日本で作ったブドウを使って、日本でワインを作って、日本でボトリングして販売している。基本かもしれないが、最初に手掛けたことは素晴らしいと思う。
ブドウ畑、醸造場だけでなく、レストランや音楽ホール、さらには温泉付き宿泊施設や、新潟市内のショップ展開など、賛同者を増やしながら、キャッシュと夢をうまく回しているのが絵が帰れており、爽快感がある。
やっぱり、ワインを作るには、ブドウからやらないとダメだよね。 -
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ワイナリーを経営するということを立ち上げから書いた本。だが、ビジネス書にくくるほど経営のノウハウに特化しているわけでもなく、ワイン本というほどワインのウンチクにこだわっているわけでもない。筆者(ワイナリー経営者)の持つ「地元密着」や「ファンづくり」という思想が語られている本というと最も近い。
若者がワイナリーづくりを夢見て、留学し、帰国してまた修行し、経営パートナーと出会い、ワイナリーをつくる。ワイナリーはいくつかの課題を抱えながらも拡大していく。後半、軌道に乗ってからはパン工房、チーズ工房、コンサートホールができていくのが「シムワイナリー」のようだ。
おおらかで楽しげだが、強いワイナリーの