川島幸希のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
国語教科書はなぜ「羅生門」「こころ」「舞姫」といった定番小説ばかりなのか。
著者は本書中にて
①1970年改訂の学習指導要領で「主題や要旨を的確にとらえ、それについて自分の考えを深めること」が強調され、比較的主題の捉えやすい前述の3作品が選出されたため
②1990年代以降の少子化の影響で〝教科書会社の淘汰〟が起こり、定番小説を外すという挑戦的な編集方針で教材を選定することが極めて困難な状況になったため
という2つの理由を挙げている。
また、著者はこの状況を踏まえて、現代の高校生にとっては難解な上、後味が悪く悲惨な結末の作品であるこれらの作品が、子供達の国語嫌いや読書嫌い、ひいては昨今話題に -
Posted by ブクログ
高校の国語現代文の教科書。100%芥川の「羅生門」が、そして殆どに漱石の「こころ」鷗外の「舞姫」が判で押したように掲載され、定番化している謎を追った一冊。
教科書問題といえば「歴史」教科書問題であったが、若者の活字離れが叫ばれる今、その原因の一端でありそうな国語の教科書について誰も問題にしていないことが恐ろしくて仕方ない。
芥川作品の中でも、戦前は一度も採録されたことのない「羅生門」が何故戦後登場し、他を駆逐する勢いで定番に収まったのかという経緯が下手なミステリーを読むより面白い。
少子化により限られたパイを奪い合う戦いで、どの教科書会社もリスクを冒せないまま、無難な教科書が横並びする現 -
Posted by ブクログ
「羅生門」「こころ」「舞姫」。これらの作品を、授業でどう扱ったらよいか悩ましい。生徒たちに何を教えたらよいのか、模索し続けている。一応「羅生門」では小説の型を、「こころ」では利己心と罪悪感を、「舞姫」では社会と自己の葛藤を、教えることにはしているが。
著者は、これらの作品がほとんどの教科書に掲載されていることを批判的にとらえている。掲載の意図はあるにせよ、それが生徒に伝わっていない、国語嫌いを生産するばかりで教科書にはふさわしくないものだ、と。
これかの作品がふさわしいかどうか、私の中ではまだ答えは出ていない。しかしこれだけ多くの教科書に採録されるのには意味があり、自分がそれを明確に理解