樹村みのりのレビュー一覧
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冬の蕾 ベアテ・シロタと女性の権利
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Posted by ブクログ
以前、響流書房でこの方の話を読んだ。この本にもヤマギシ会の話が収録されている。
この方の漫画は淡々としているように見える。どうしてかというと、本当に悪い「顔」の人が描かれないからだ。漫画ってキャラクターの立ち位置をはっきりさせるために、「あ、これ悪い奴だな」とわかる「顔」で書かれることが多いが、このお話に出てくる登場人物(多くは犯人的な存在なのだが)はみんないろいろな「顔」を持っている。そのときそのときの表情だ。だから常に悪い人もいい人もいないのだ。だから判断は読者に委ねられる。あなたはどう考えるか、と。
表題作は女子高生コンクリート詰め殺人事件をテーマにしたものなのだが、表面で読んでいくと、「なんでもっと加害者を攻めないんだ!」といわれそうな感じがする。そこは取材する女性を通して静かに被害者へ、女性への深い視線があるのだ。漫画だからってさらっと読んじゃいけない。まだ小さいときにこの事件をワイドショーで見て、なんと高校生になるということが怖いんだと感じたのを思い出す。
自分は「親が・殺す」も重かった。東大卒の真面目な高校教員が妻と共に息子を殺した事件。いろんなところでこのシチュエーションが自分と重なることがあり、自分の読み方は全部保留だった。最後の父親の言葉がすべてかもしれない。
後半には女性の生き方(「イエ」から解放されたおばあちゃん、LGBT、ミスコンなど)に関するものがある。自分より前の世代の方の考えだと思うが、それでもここまで落とし込んで伝えられるというのはすごいなと思う。是非読んでみて欲しい。でもどれだけ上の年代の人たちに気付きを与えられるか・・・とも思う。それぞれの人間が人生で気づき上げてきた価値判断というのはそう簡単に覆らない。 -
冬の蕾 ベアテ・シロタと女性の権利
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Posted by ブクログ
初出は93年。樹村みのりはひとつのテレビ番組を観て、憲法に男女平等条項を入れた若い女性の半生を描くことにした。未だベアテ・シロタさんの名前が広く知られていなかった時である。
その後、シロタさんの自伝も映画も出来た。シロタさんの公表が遅れたのは、若干22歳だった彼女の歳が改憲論客に利用されるのを恐れていたからだそうだ。
彼女の草案の是非については、多くの詳しい本があるだろうからそちらにお譲りする。私は、一、二の思い切った橋を渡ったのかもしれないが、何一つ間違ったことを書かなかった、むしろ#ME TO運動や昨今の女性差別発言事件を見るにつけ、75年先の未来をも見据えた素晴らしい仕事だったと思う。去年、本書が岩波現代文庫に入ったのも、そういう経緯からだろう。現代にこそ、広く読んでもらいたい。
偶然が3回続けばそれは必然である。
とは、最近映画「花束みたいな恋をした」の感想を書いた時に、ある人から教えてもらった箴言だ。
樹村みのりは、3回どころか、シロタさんの憲法草案の仕事は、様々な偶然が奇跡的に重なった必然だったことを、まるでドキュメンタリーのように見せた。シロタさんが産まれた時のこと、日本に関係なかった両親が来日したこと、日本で育ち、アメリカで語学を学び、その経験で日本と米国のジェンダー問題の現場を見てきたこと、また敗戦時いち早く日本に戻って奇跡的に両親に再会出来たこと、心が安定した時に2週間の草案の仕事に取り掛かったこと。まるで日本国民に、憲法24条という贈り物をするために生まれてきたような女性だった。こういう構成は、おそらく樹村みのりの発明だろう。
樹村みのりを約40年ぶりぐらいに読んだ。本書には2002年発表の短編三編も載っているし、文庫本用のあとがきも書いている。元気なことを知れて嬉しい。驚くのは、レビュー以来、ひとつも変わらないその硬質な「画」である。これは、漫画家としては驚異的なことだと思う。 -
冬の蕾 ベアテ・シロタと女性の権利
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