武田善憲のレビュー一覧

  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    プーチン以降の現代ロシアの意志決定について、インフォーマルな情報を排除して分析した良書。プーチンは独裁者ではなく、法的手続を重視している統治者である。ただし、プーチンロシアのルールは明文化されていないモノも多々あるが、公表されている情報を丹念に読み解く事によりそれを読み解こうとしたもの。メドベージェフが後継者指名される前(正確には前の前)について居た大統領府長官という職を軽視していた事を思い知らせれた。プーチンからメドベージェフへの権力移行後の発行なので、メドベージェフ>プーチンの大統領交代時の混乱については記されていない。というよりも、もっと早く読むべきでした!

    0
    2018年10月14日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    [まずは、ルールから]天然ガスや石油といった豊富な資源を背景として、主としてプーチン大統領の指揮下の元、政治的にも経済的にも影響力を強めてきたロシア。そんなロシアが、近年の成長の背景で確立しつつある自国の論理と長期的な戦略を読み解いた作品です。著者は、モスクワ国立国際関係大学院で修士課程を修了された外交官、武田善憲。


    主に90年代後半からのロシアの動きがまとめられると同時に、その動きの軸を作り上げる大本の考え方が示されているため、近年のロシアについて知りたい方にはぜひオススメの作品。昨今のウクライナ情勢の悪化前に執筆された一冊ではありますが、その情勢に対するロシアの行動を考察する上でも、本

    0
    2016年04月13日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    現代ロシアをその「ゲームのルール」に基づきクールな筆致で概観。コンパクトにまとまった良書だと思う。ちなみに日本との関係については終盤で1ページちょい触れているのみ。

    ・序章 ロシアの見方
     クレムリノロジ―の限界、ゲームのルール

    ・第1章 内政 -与えられた職務に専念せよ
     「決定するのは大統領」(弱いエリツィン⇔強いプーチン)
     憲法・ルール・手続きに沿った統治
     オルガリヒ(新興財閥)の排除
     大統領府の重要性

    ・第2章 外交 -多極主義と実利主義
     政治的イデオロギーとしての「多極主義世界の追求」、バランス・オブ・パワー
     CISとの関係=「影響圏(sphere of influe

    0
    2011年12月31日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    とかくイメージやバイアスの入った見方ありきのロシア関係の著作群にあって、このレベルの新書はとてもバランスよい見方を取っている。法秩序を守る形であったプーチン・メドベージェフ政権の内実、ロシアが実施しようとしている戦略やプロジェクトに関する記述が新鮮である。一部では、「新冷戦」という言葉さえ囁かれるロシアだが、バランスのよい定見があることで外交のブレを少なくし、互恵関係へと結びつくであろう。

    0
    2011年06月14日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    ロシアに関する知識がほとんど無かったが理解が進んだ。政治的思想の良否は別にして、ロシアのゲームのルールは理解すると非常に明確であることがわかる。しっかりしたビジョンを持ち、ぶれない価値観を持っている。それを強烈なリーダーシップでもって推し進めてきたプーチン。横暴と考えられることもルールを基に考えるとやり方はともかく一貫したものを感じる。国の特徴として理解するだけでなく、組織運営などにも展開できるのではないか。

    0
    2012年02月19日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    プーチンが独裁者になろうとしている。新ロシア帝国の誕生。本書はそのようなことを幻想だとする。プーチン、メドベージェフは法律家、法律に則った政治をしている。では、なぜ上のようなことが言われるのか。筆者はロシアのゲームという考えを提示している。ゲームが海外と異なっている。そこに外国とのイメージの齟齬が生まれている。変な報道、イメージに流されない論を知りました。

    0
    2011年02月01日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    現代ロシア入門書としてバランスの取れた良書。それにしても、オリガルヒにペンを投げつけサインを迫るプーチンは怖い。

    0
    2010年11月02日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    恐らく著者は、プーチン政権登場辺りからの様子を見詰め続けてきているのであろう。数々の動きが、判り易く整理されていた。他方、1990年代の混迷との違いに関して、もう少々の“生々しさ”が在っても善かったかもしれないと想いながら読んだ…とは言うものの、少し未来の人達が「2000年頃からの10年程度の動き」というようなものに関心を寄せたような場合、本書は格好の解説書になり得るであろう。
    「2000年代のロシアは何をしていたのか?」について、本書は教えてくれる。多くの人が共有して然るべき知識であると思う。そういう意味で本書を強く推薦したい…

    0
    2010年08月30日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    現在ウクライナと戦争状態にあり、何かと国際政治の舞台に、日々のニュース報道に登場するロシアは、元々ソビエト社会主義共和国連邦という複数の社会主義共和国からなる連邦制国家であるあった。だが、1991年にソ連は崩壊し、中核となるロシア、ウクライナをはじめ、その後同じく軍事的衝突を起こしたグルジア(現ジョージア)、バルト三国、ベラルーシ、スタンという国家名がつくイスラム系諸国などに分裂した。分裂したと言っても経済的、政治的、軍事的に強固に結びつく体制を持つベラルーシや実質的にロシアの一部と見做される国も多くある。その一方でラトビア、エストニア、リトアニアのバルト三国の様に西側諸国と強く結びつき、EU

    0
    2024年09月01日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    プーチンがどうやってロシアを復活させたかの本
    経済・競争のルールを定め、強いリーダーシップにより国家資本主義として成長したということ

    0
    2015年01月07日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    本書は外交官である著者が現在のロシア、特にプーチン・メドヴェージェフ期のロシアを観察した物である。現在のロシアに置いて重要なものはプーチンのプランと独特な「ゲームのルール」である。特にユコス事件は「正しく納税せよ」「国家の発展に貢献せよ」の不文律を定着させ、プーチンは「ルールを守る限りにおいて(ビジネス関係者は)神のご加護を受けられる」と述べたと言う。外交に置いては「多極主義世界の追求」であり、これは典型的なバランス・オブ・パワーの発想であり、徹底的なリアリズムの観点から出発している。その「ゲームのルール」を理解する事が日本の外務省の課題だと私は思う。

    0
    2012年07月26日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    若手のキャリア外交官によるロシア論です。ロシアのことを知るには指導者層が物事を判断するときの背後にある彼ら独特の『ゲームのルール』を理解する必要があるという箇所に感銘を受けました。

    どうも筆者の経歴を見ていると、ロシアが専門のキャリア官僚で、職人のようなロシア分析をする佐藤優氏とはまた違った視点から語られるロシア論という意味で参考になった本でありました。

    旧ソ連が崩壊して混乱を極めた1990年代を経て、豊富な石油や天然ガスなどの資源を武器に強力なリーダーシップを発揮してロシアを立て直していったプーチン氏のもと、国際社会での発言力や力を増していく『近くて遠い隣人』はどういった存在であるのか

    0
    2012年04月04日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    読みやすくまとめられており非常に分かりやすい。ロシアにおける政府や大統領などの関係といった基礎的なところから丁寧に記載されておりとても助かった。ロシアの立ち位置や見据える方向が大まかにでも掴める。

    0
    2012年01月20日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ちょうどプーチン復帰にゆれるロシアにあって、ロシアを熟知した著者のロシア解説本はタイムリーともいえる。
    そもそもクレムリン学という、赤の広場にある共産党幹部の並び順という限られた情報から、政治内部情勢を推測すされるクローズドな国だけあって国の分析本の対象としてそもそも面白い。
    そして、ソ連崩壊以降物価高に苦しんだ90年代と打って変わり、プーチンに大統領委譲され、2000年代に劇的に成長した国について、外交・エネルギー・戦略策定について、首相に退いた後も影響力のあるプーチンという優秀な首長を軸に分析・解説している。

    個人的には、ロシアと旧ソ連各国(ウクライナ・グルジア)との微妙な関係は、現在も

    0
    2011年12月25日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    混乱を極めた一九九〇年代も今は昔。
    プーチンという強力なリーダーのもと、原油価格の高騰や国際情勢を追い風に、ロシアは復活した。
    国際社会と時に摩擦を起こすロシアは「脅威」なのか。
    その行方を分析するには、指導者たちの決断の背後にある、独特の「ゲームのルール」を見極めることが必要だ。
    若き現役外交官による冷静な観察は、偏見や怪しげな裏情報を排し、われわれの現代ロシア観を新たにする。

    [ 目次 ]
    序章 ロシアの見方
    第1章 内政―与えられた職務に専念せよ
    第2章 外交―多極主義と実利主義
    第3章 経済・エネルギー―天然資源による国力増強
    第4章 国民生活―「ロシア的」と「西欧的」

    0
    2011年04月06日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    著者の分析によるロシアのゲームのルールによって、ロシアという日本人にとってはよく分からない、行動が読めないと感じがちの国の、頭の中が透けて見えたよう。
    12年の大統領選にむけての分析が知りたかったので、★4つ。

    0
    2011年01月18日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    ロシアの論理

    ロシアのゲームのルールという言葉がしょっちゅう出てきますが、ゲームという多少軟派なイメージを抱きがちですが中身はしっかりとした外交官らしい客観的な分析に終始した良書です。よくも悪くも無難なところがかえって理解をしやすく真偽を判断しやすくなるかと。詳しい内容はプーチンが大統領になって以降の10年とメドベージェフ政権への引き継ぎ後、また周辺諸国との関係を説明。中国やアメリカだけでなく一見関係ないアフリカやその他の小国まで説明されているのは大変グッドです。コーカサスの火薬庫と言われるグルジアなどについて説明されているのはさすが外交官と思いました。政治経済の問題ではホドルコフスキーのユ

    0
    2010年11月17日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    プーチンと言うと、強引に自ら政策を推し進めるような印象があったが、手続は立法のプロセスを堅持したとのことで、意外だった。

    「もはやロシアのエネルギー開発においては外国企業にとって圧倒的に有利な条件での契約はありえず、ロシア企業とパートナー関係を結ばなければならない。その比率は最大でも50%−1株であり、今後はもっと下がっていくだろう。しかし、ロシア企業と組んでいる限りにおいて、クレムリンの庇護は得られる。」

    0
    2021年08月08日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    現役外交官が、ロシアの政治・経済・外交を動かす基本ルールを分かり易く読み解き、解説している。
    ロシアを分析する手法は、ソ連時代から、公式式典の並び順からその時点の力関係を把握するという「クレムリノロジ―(クレムリン学)」が中心であり、この方法は、今でも北朝鮮のような内部の権力構造の見えにくい国においては一定の効果を持っている。しかし、著者は本書で、政治・経済の世界で実際に起こっている事象の背景にあるゲームのルールを読み解くという手法をとっており、それは、現在政権の中核にいるメンバーの共有する中長期的なプランが変わらない限り、唯一の中長期的分析を可能とする手法であると言う。
    そして、そのルールと

    0
    2016年01月11日
  • ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか

    Posted by ブクログ

    ロシアのゲームのルールを理解する。結局は、プーチンを理解することなのかなと思った。ウクライナで起きたことは、この本の延長線上にあるね。ちょっと逸脱感はあるが、影響力のある国になりたいという意思は、感じる。

    0
    2014年08月06日