佐藤百合のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イスラム教と民主主義。日本にいてはイメージがわかないその結びつきをアジアにおいて成し得ている国が、インドネシアだ。
アジアの大国、中国やインドの影に隠れつつ、日本の二倍の人口と五倍の国土を持つインドネシアの今とこれからの経済力とはいかほどのものなのか。近年の数値と国の政策から読み解く新書。
生産年齢人口比率が高まる人口ボーナス。
資源依存体質からの脱却。
民主主義体制の確立。
投資と開発の政策支援。
経済学者と実業家の政治参加。
そして日本との関わり。
主題はインドネシアの改善の歴史であり、筆者はインドネシアの広報担当なのではと疑うほどに成し得たことへの賞賛と、明るい未来が語られる。
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Posted by ブクログ
インドネシアが経済大国である理由、それは人口構成がピラミッド型であり人口ボーナスの恩恵を受けられるから。そして政治が安定していることが成長の要因である。
インドネシアだけを扱った本ですが、本書の結論は新しくありません。人口が伸びるから市場が大きくなるにつきます。扱っている範囲は経済だけでなく政治についても詳しく書かれています。また、英語を直訳したような文章になっているので読みにくく感じます。
第7章では日本とインドネシアの関係が述べられていますが、日本の存在感が薄れてきている現実があるので、フローではなくストックで見た日本が強調されています。このあたりは日経新聞と同レベルの事しか書かれてい -
Posted by ブクログ
経済大国インドネシア
スカルノ大統領からスハルト体制へ。経済成長年7%×30年。その代わり自由と政治参加は制限された。
スハルト後、
大統領直接選挙が成功。晴れて民主主義国となる。
国民の80%はイスラム教。
首都ジャカルタは渋滞地獄。
外交
インドネシアは、ASEAN議長国。ASEANとしてポジションを取ることで、アメリカやヨーロッパ、新興国群と渡り合う。
関税撤廃か否かを謳うTPPのような枠組みよりも、サンパウロラウンドのような折衷案というか、柔軟な立場を好む。
2004年、国民選挙による初代大統領にユドヨノが選ばれた。
彼は優秀な教授肌の人間で、蔓延していた汚職を減らし、アチェ問題を終 -
Posted by ブクログ
国際関係では、欧米以外には、中東と東南アジアが気になる。
中国、タイ、ベトナム、インドなど短期間ではあるが滞在したり、本を読んだりして、基礎勉強をしている。これに対して、インドネシアはバリ観光だけで、勉強が基本的に不足している。
佐藤さんは、JAICAの次長さんで、経済、政治などの観点から、最新のインドネシアの分析を提供してくれている。
気になった点。
(1)スハルトが倒れ、政治的混乱、経済停滞を経て、2004年からのユドヨノ政権で、政治の安定、経済成長が復活してきた。(p17)
その背景には、人口ボーナスがある。人口ボーナスの効果をあげるための、出生率の低下、生産人口へ -
Posted by ブクログ
資源国、2億を超える人口、高い経済成長。
インドネシア経済の今後には漠然とした期待があり、また日本はこの国と密な関係を持つべきだとこれまた漠然とした意識が以前からあった。
すべては投資関連の2次的、3次的情報が元であったが、今回本格的専門家の研究に触れてみて、何がその根拠でありどう期待できるのかを具体的に知ることができた。(正直専門的すぎて難しい部分も多かった)
すべての源泉は2004年に確立したこの国の民主主義である(それには多くの犠牲を必要としたが)。
高い経済成長を実現しながらこの点到達していない中国、ベトナム、マレーシアなどが今後に抱える不安はインドネシアにはないのかもしれない。
人口