佐藤百合のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
インドネシアが経済大国である理由、それは人口構成がピラミッド型であり人口ボーナスの恩恵を受けられるから。そして政治が安定していることが成長の要因である。
インドネシアだけを扱った本ですが、本書の結論は新しくありません。人口が伸びるから市場が大きくなるにつきます。扱っている範囲は経済だけでなく政治についても詳しく書かれています。また、英語を直訳したような文章になっているので読みにくく感じます。
第7章では日本とインドネシアの関係が述べられていますが、日本の存在感が薄れてきている現実があるので、フローではなくストックで見た日本が強調されています。このあたりは日経新聞と同レベルの事しか書かれていません。 -
Posted by ブクログ
経済大国インドネシア
スカルノ大統領からスハルト体制へ。経済成長年7%×30年。その代わり自由と政治参加は制限された。
スハルト後、
大統領直接選挙が成功。晴れて民主主義国となる。
国民の80%はイスラム教。
首都ジャカルタは渋滞地獄。
外交
インドネシアは、ASEAN議長国。ASEANとしてポジションを取ることで、アメリカやヨーロッパ、新興国群と渡り合う。
関税撤廃か否かを謳うTPPのような枠組みよりも、サンパウロラウンドのような折衷案というか、柔軟な立場を好む。
2004年、国民選挙による初代大統領にユドヨノが選ばれた。
彼は優秀な教授肌の人間で、蔓延していた汚職を減らし、アチェ問題を終局させ、国際会議の場にインドネシアの地位を築いた。
ユドヨノの任期は2014年で切れる。
2011年5月、ユドヨノは「インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン2011~2025年」を発表した。この冒頭で、インドネシアが目指すべき将来像を以下のように示している。
「グローバルな食糧安全保障の基地であり、農業・農園・水産業の各産品と鉱業エネルギー資源の加工センターであり、そしてグローバル・ロジティクス・センターであるインドネシア」
明快。 -
Posted by ブクログ
国際関係では、欧米以外には、中東と東南アジアが気になる。
中国、タイ、ベトナム、インドなど短期間ではあるが滞在したり、本を読んだりして、基礎勉強をしている。これに対して、インドネシアはバリ観光だけで、勉強が基本的に不足している。
佐藤さんは、JAICAの次長さんで、経済、政治などの観点から、最新のインドネシアの分析を提供してくれている。
気になった点。
(1)スハルトが倒れ、政治的混乱、経済停滞を経て、2004年からのユドヨノ政権で、政治の安定、経済成長が復活してきた。(p17)
その背景には、人口ボーナスがある。人口ボーナスの効果をあげるための、出生率の低下、生産人口への就職口の確保も比較的うまくいっている。(p38)
(2)従来の日本ビジネスマンの資源提供国、製品売りつけ先という見方を変えて、日本の高品質のサービス、消費財の販売先とし、インドネシアは有望。(p233)
(3)インドネシアのソフトパワーは、民族、言語、宗教を融合した多様性。(p243)
なお、インドネシアでは、都市と農村の格差が問題になっているようであり、都市計画上の課題も多いと想像するが、この本での記述はない。
インドネシアの経済社会分析としては、骨太だと思う。 -
Posted by ブクログ
資源国、2億を超える人口、高い経済成長。
インドネシア経済の今後には漠然とした期待があり、また日本はこの国と密な関係を持つべきだとこれまた漠然とした意識が以前からあった。
すべては投資関連の2次的、3次的情報が元であったが、今回本格的専門家の研究に触れてみて、何がその根拠でありどう期待できるのかを具体的に知ることができた。(正直専門的すぎて難しい部分も多かった)
すべての源泉は2004年に確立したこの国の民主主義である(それには多くの犠牲を必要としたが)。
高い経済成長を実現しながらこの点到達していない中国、ベトナム、マレーシアなどが今後に抱える不安はインドネシアにはないのかもしれない。
人口の面では2億4千万という、労働力提供地であり市場としてとてつもない規模の数そのものに目が行くのだが、注視すべくは人口動態研究の視点であるという。人口動態からのアプローチは最近読んだ経済関係の本でも多く見かける。やはり納得いく説明を得ることができる。
とくに「人口ボーナス」の考え方。総人口に占める「生産年齢人口」の割合が上昇していく局面が経済発展に欠かせないという。すなわち、生産に従事しない従属人口(年少人口+高齢人口)を生産年年齢人口が背負う負担が軽くなっていく局面である。
インドネシアは1970年から人口ボーナス期間に入っており、その終点は少なくとも2030年、あるいはそれより遅い可能性もあるとされている。
ちなみに日本のそれは1990年頃にすでに終了しており、2010~15年の間にタイ・韓国・中国が相次いで終了する。ベトナムは若干遅く20年頃まで続くとされるが、インドネシアはこれらの国よりさらに長く続く。(インドネシアよりも長く続くのはインドとフィリピン)(そしてこの考え方からすれば当然、この人口ボーナスの後にくるのは少子高齢化時代だろう)
日本から純粋に物理的な距離とイスラムという心理的な距離があるインドネシア。けれどやはりこの国は日本にとって今後ますます大事になっていく国になるだろうという考えは本書を読んで確信に変わった。
今世紀半ばにこの国は日本の人口の三倍になり、その頃のGDPは日本を抜いて世界7位になるだろうとされる。本書でも書かれていることだが、日本は戦前から続く考え方を改めてこの国と付き合っていかなくてはいけない。
※本書の主たる主張ではないが、人口規模、国土、民主主義、そして人口ボーナスという要素からすると今後長く成長する真の主役はやはりインドではないかという考えにも読後に至った。