角田房子のレビュー一覧

  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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    あくまで己が何を求められているかを常に考えていたのだろう。軍から求められる役割、満州の地で求められる役割、それぞれ様々な場所で応えてきた。だから人格がはっきりしない分恐ろしくも見えるし、生真面目にも見えるし、時に人間味のあるようにも見える。
    近代が求めて完成させた、ひとつの人間類型がある。人格と役割を切り離して行動できるという点で。

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    2013年05月09日
  • いっさい夢にござ候 本間雅晴中将伝

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    本間中将の処刑が、4年前に本間中将が総攻撃の命令を下した同じ月日、同じ時刻にあわせて執行されたという事実、総攻撃時の米軍司令官がマッカーサー(Dugout Doug)で、彼は既にオーストラリアに脱出していたという事実が示すものは…

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    2021年08月24日
  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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    大杉事件で有名な甘粕正彦の伝記。

    彼が大杉事件について黙秘を貫き、不遇のフランス留学時代を経て、後半生は満州国建設に力を注ぐ姿が描かれている。
    彼の悲運な人生もあることながら、この時代の背景について描かれているので、興味ある方にはお勧め。

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    2016年12月12日
  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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    時代の梟勇、満州の裏の帝王、謀略の士。
    満州の時代を彩る『甘粕正彦』のイメージは常に『闇』に充ち満ちている。

    満州モノを読み進める上で、甘粕は多かれ少なかれ必ず登場する。しかし、どれもこれも闇を動く甘粕の信条と心情を深く掘り起こすモノには遭遇できなかった。
    したがって、本書を読むまでのボクの甘粕に対するイメージはいかにもステレオタイプな闇の帝王のイメージでしかない。
    ビジュアル的にはラストエンペラーで坂本龍一が演じたあの無口で不気味な甘粕のイメージだ。

    さて、久々の高得点☆☆☆☆を付けた本書であるが、歴史書にはとどまらないノンフィクションであるが故に、作者の興味のままに一人の日本人としての

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    2015年04月09日
  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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    甘粕という人に関心があるというよりは、著者の評伝が好きなので手にとった一冊。私にとって甘粕といえば「大杉栄殺害事件の人」ですが、冒頭をその事件の描写から、そしてその事件に残る謎からはじめ、一人の人間を周囲の証言から照らし出していく手法はいつもながら読んでいて面白い。フランス時代の甘粕の驚くほどの弱さも意外。最後の甘粕の独白の辺りの感傷は評価しないが、本編は十分に面白く読んだ。但し筑摩書房での復刊に辺り加筆されたあとがきの辺り、大杉栄殺害事件と並んでとりあげたかったという王希天殺害事件へのくだりは蛇足という気がしてならない。あとがき執筆当時の著者の年齢からしてしょうがないとはいえ、本編の丹念な仕

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    2009年10月04日
  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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    関東大震災のドサクサ時に、社会主義者であった大杉栄と連れの子供を含めた3人を絞殺したとされる甘粕正彦が、刑期を全う後、フランスから満州へ渡って戦中を過ごした経緯。

    初出が昭和49年ということもあり、少々堅苦しくて読みづらいところもあるが、話をひっくり返したりすることもなく、必要位以上に自分の意見を入れることもなく、淡々と経緯を述べている。ドキュメンタリーというよりは、論文であろう。

    正直なところ、有名らしい甘粕事件についても知らなかったが、その後の甘粕の満州での活躍というか、暗躍の部分がメインであり、面白いところであろう。映画会社の理事長になってからのエピソードが面白い。

    しかし、柳条湖

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    2021年03月19日
  • いっさい夢にござ候 本間雅晴中将伝

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    大東亜戦争下、連合国にバターン死の行進と呼ばれた俘虜の移送があった。その時、その場の最高司令官伝。軍人は数多くいる中で興味があって読んだので、一応の満足は得たものの他の著者のものも読みたい気がする。
    あと読んでて思い出したのはアメリカインディアンの悲運を描いたディーブラウンの”わが魂を聖地に埋めよ”のあとがきで、バターン死の行進なんてインディアンがアメリカに強いられた涙のふみわけ道に比べたらピクニックみたいなもんだって言葉だった。

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    2016年05月05日
  • 甘粕大尉 ――増補改訂

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     合理的思考を実践しながら、人情に厚い人間でもある甘粕大尉。大杉栄を殺害した人間として糾弾されつつ、満州では合理的かつ人間味ある甘粕大尉の魅力に魅せられた者も少なくない。こうした、人間甘粕を伝える本として秀逸であると思います。
     が、甘粕の満州における工作活動がほとんど触れられていなかったのはかなり残念。

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    2010年08月26日