小岸昭のレビュー一覧

  • スペインを追われたユダヤ人 ――マラーノの足跡を訪ねて

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    [漂浪という常態で]1492年に発せられた勅令により、キリスト教へ改宗するかスペインの地を去るかを迫られたユダヤ教徒の人々。その中で改宗をしながらも隠れユダヤ教徒として生きることを選んだ者は、「マラーノ(評者注:古スペイン語で豚を意味する)」と呼ばれ、迫害と偏見を恐れながら生活を送ることになり......。「表向きの同調と内的な反抗に引き裂かれた」彼ら/彼女らの存在の足跡をたどるエッセイです。著者は、京都大学総合人間学部で教授を務められた小岸昭。


    「マラーノ」と呼ばれた人々に関する歴史をそもそもあまり知らなかった自分としては、世界史の一側面として、本書で述べられているような過去があったとい

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    2015年07月17日
  • スペインを追われたユダヤ人 ――マラーノの足跡を訪ねて

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    「スペインを追われたユダヤ人」という題名を見たら、すぐに世界史で習うあの1492年のレコンキスタの完成を思い浮かべるだろう。宗教的再征服は単に異邦人(ムスリムやユダヤ人)を追放しただけではなく、その地に留まらざるを得なかった異邦人に改宗を強制した。普通、この題名からすれば追放され、北アフリカの地へと離散していたユダヤ人に焦点を当てていると思うだろうが、本書で取り上げられるのは、そのスペインという地に改宗しながらも残った人達である。彼らは改宗後も異端的伝統を保持していたため、キリスト教徒から異端視され軽蔑から、彼らが食すことのできない「豚」(スペイン語でマラーノ)の名で呼ばれ蔑まれた。そのマラー

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    2011年08月02日
  • 世俗宗教としてのナチズム

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    視点は共感できるというか、著者とだいたい同じ認識をもっているのだが、文章にひっかかるところがある。
    ナチズムとかヒトラーというのはたしかに批判の対象ではあるのだが、本書の記述には感情的な表現やそれによる断定が少なからず見受けられるのが残念である。
    オカルト系や陰謀論系では本書と似て非なるものが少なからず出版されているが、真面目なものとしては案外類書は少ない。
    ナチズムやヒトラーに関心のある人だけではなく、宗教心理や新宗教などに関心のある人にもとりあえずお勧めできる。
    内容的には☆☆☆☆☆でも良いのだが、やはり記述法・表現については多少の違和感があり☆☆☆、オマケで☆☆☆☆評価にした。

    読む価

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    2009年10月04日