山口義久のレビュー一覧
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アリストテレス。その膨大さ、翻訳の難解(であろう)さにビビって、評判の良いこの入門書から入る。
プラトンの思索の深さは、対話篇という方法に宿っている。
アリストテレスの深さ、広大さは、どこからくるのか?それは観察と情報収集という方法に根付くのだろう。
カテゴリーにしろ論理学にしろ、アリストテレスの独自さの根っこには、膨大な情報に立ち向かう方法からうまれてきたのかな、と思わせるものがある。
それを支えているのは「やむにやまれぬ知ることへの情熱」でしかないものがある。
また、未完で終わった(ように残ったものからは見える)体系も、膨大な情報量と情熱との前に時間が足りなさすぎたようにも感じる。
イ -
Posted by ブクログ
書名の通り、アリストテレスの入門書である。しかも、(専門家から見ればどうだか知らないが、素人の僕から見れば)この種の入門書に期待される諸々の基準を十全に満たした内容と見える。簡潔な文体で、アリストテレスの様々な業績を解き明かしていく。
ざっくりとした印象だが、アリストテレスは物事をやたらと分類するのがお好きなようで、この点現代のいわゆる「学者肌」の人物と通じるところがある。というか、実際のところ、彼が実践した分析思考という学術研究のアティテュードが現代にいたるまで引き継がれてきているというのが本当なんだろう。なにしろ彼は「万学の祖」と呼ばれる人物である。
それはともかく、彼はいろいろと分類 -
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[ 内容 ]
プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。
彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。
いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。
われわれがさまざまな事柄を考える際の思考法そのものに関わる問題を、彼はどのように追求していったのか。
本書は、そのねばりづよい知の探求の軌跡をたどるアリストテレス再発見の試みである。
[ 目次 ]
序章 アリストテレス再発見
第1章 知への欲求
第2章 論理学の誕生
第3章 知の方法
第4章 自然と原 -
Posted by ブクログ
先日読んだマルクス・ガブリエル「新実存主義」でも言及されていたアリストテレス。2,400年の時を経た今もなお哲学・自然科学の分野で参照され続けるには絶対何か理由があるはず。それが知りたくて、「魂について」(邦訳題は「心とは何か」講談社学術文庫)の予習としての意味も込めて本書を購入。
アリストテレスはよく言われるように、経験から得られる知識をもとに普遍的な原因や原理(アルケー)を知ることを最上とした。有名な三段推論法も、プラトンのイデア批判も、全て世界の事物の存在を前提とした「経験主義」ともいえるプリンシパルから生じている。しかし著者によれば、アリストテレスの経験主義は単なる事実の知にとど -
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アリストテレスの哲学の入門書。論理学、形而上学、自然学、倫理学の全般にわたって、わかりやすく解説している。
アリストテレスが難しいのは、なぜそのように考えなければならないのかが見えにくいからではないかと、個人的には思う。本書は、「私たちがさまざまな事柄について考える際の思考法そのものにかかわる問題を考えさせてくれる」ところに、アリストテレスの哲学の現代的意義を認めるという視角から、アリストテレスがさまざまな問題にどのように取り組んだのかを解説しており、彼の発想の理由を見てとりやすい記述がなされている。
とはいうものの、やはりアリストテレスを新書で解説するのは難しいという感想を抱いたのも事実 -
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めも)
・問答法的推論(非形式的推論)の有用性 67
論証は真である命題すべてを結論付けられない。
ある命題を証明するためには、その前提となる命題が真である必要がある。さらにその前提そのものを証明するためには、さらなる前提が真でなければならず…このように前提を考えていくと、必ず「最初の証明」に行き着く。アリストテレスが論証と呼ぶのは、そのようなそれ以上証明することができない最初の証明のことである。論証の前提となる命題自体は証明できない。/
問答法的推論は、論証の前提となる事柄を論じることができるということである。
これ自体は「証明」ではなく、前提の蓋然性を示すものにすぎない。したがって、それが