白き女神の肖像

白き女神の肖像

小説・文芸
1,999円 (税込)

9pt

3.5

妻をモデルに描いた肖像画『東方ノ女神』で一躍時代の寵児となった画家ショーン。だが、妻のディアーナはモデルを務めるうちに、奇妙な感覚を覚えるようになっていた。夫が描いているのは自分ではない――。しかし夫も周囲の人々もディアーナの不安を理解せず、思い悩んだ彼女は次第に憔悴し、謎の死を遂げる。そして、彼女に代わってモデルとなったローズマリーも同じことを口にするように……。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞『宝石鳥』の著者がおくる、描くことにとり憑かれた画家と、彼を取り巻く女性たちをめぐる幻想譚。

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白き女神の肖像 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    あまりにも美しい表紙と耽美な装丁に吸い寄せられて手に取った。

    「あなたは、誰?」

    この一文でこの幻想譚は始まる。
    1800年代後半から1900年代前半まで活躍した画家(もちろん架空の人物であろう)ショーンは、妻のディアーナをモデルに描いた「東方ノ乙女」という肖像画で、一躍時代の嬰児となった。ショーンの画風は見たままを見たまま描くといったもので、作中では「天使派」と呼ばれている。
    そんなショーンの作品を見ようと、1970年に今は古びた無人の赤煉瓦の屋敷…かつてはショーンの自宅兼アトリエであった屋敷・通称「夢幻の館」に、美術研究家カーライルが足を踏み入れた。
    そこで見つけた未完の肖像。
    その肖像には、顔が描かれていなかった。
    描きかけというわけではない。この絵は一体…?

    そのような謎を残して、舞台はショーンたちが生きていた時代のアイリノス(嘆きの花の町)へ。
    かつてはショーンを中心にたくさんの芸術家たちが集っていた夢幻の館。
    賑やかななか、訪れる皆から美しい、本物の女神のようだ、モデルになってくれと懇願されるディアーナはなんともいえない思いをする。
    「東方ノ乙女」を見ながら、この絵にあるのはやはり私ではない。ショーンが描いたものはもちろん、他の誰がディアーナを描いても、やはりディアーナにはそれが自分とは思えない…

    私を通して、私ではない何かを他の人たちは見ている?

    そしてまたショーンも、取り憑かれたようにディアーナを描き続けずにはいられなかった。

    その不思議な現象について、最後まで読んだうえでわかるような、わからないような…でもなんなのだろうこれはと、読後も考え込んでしまう。
    これは、幻想的な女神譚、とでも言えばいいのだろうか。
    それとも私がこの本を通して読んで想像してきたのは、果たして「女神」と呼べるものだったのだろうか?
    作中の人物たちとともに翻弄され、頭を抱えているのだろうか?
    美しい、とは、なんなのだろうか?

    第三章・魔都の女神のエピソードが他の章の中でも異質で、それでいてこの物語の答えを一番表現しているように思えた。

    わからないと思うなら、ただのよくわからない物語と一蹴してもいい。
    でも、私はつい、白き女神の肖像というタイトルを眺めながら考えてしまう。
    見たままを描いたはずのものが「見たまま」ではなかったら?少し身震いがする。それ以外にも思うところはあるのだが、うまく言葉にならない。
    正直バッドエンドなのか、幻想的なよくある物語なのかすらわからない。
    でも読後もどこか惹きつけられる。自分の目に映る世界が全てではないような気がしてくるからか?
    なぜなのか誰か教えてくれないか?
    いろんな人の感想がききたくなるお話だった。

    美しい表紙の貴女は誰なのだろう?

    0
    2022年06月27日

    Posted by ブクログ

    結末も詳細もよくわからなかったがストーリーは面白かった!表紙が綺麗!
    この世で最も美しい赤は文字で書いた赤→言葉一つにあらゆる赤が内装されていて、そのイメージは尽きることがない。
    これは分かるけど文字で書いた赤は赤なのか??

    0
    2022年02月24日

    Posted by ブクログ

    美しき絵は、人を呑み込む。
    それはまるで、我が子を喰らうサトゥルヌスのように。
    凝った造りの装丁に胸がときめく。
    絵画と画家と、モデルたちの物語は、ファンタジーそのものだ。
    「天使派」と呼ばれる芸術家集団たちは、目に見えるものを、美の神の使者として、キャンバスに描く。
    しかし、その絵に描かれたのは、モデルであってモデルでない。
    現在から過去へ戻り、また現在に戻ってくる物語の構造はオペラ座の怪人のようだ。
    美に取り憑かれ、しかしてその美は神なのか、それとも悪魔なのか、画家にも、見るものにも分からない。
    もしかしたら、ただ1人だけその正体に気づいていたかもしれないが。

    よく言えば余韻の残る、悪く言えば少しわかりにくい終わり方をする。
    個人的には仮面劇のシーンは面白かったが、結局女神とはなんだったのか、もう少し迫っても良かったように思う。
    また、絵画のタイトルが、今ひとつ垢抜けないように感じた。
    現実世界の画家を思わせないようにしたのかもしれないが、イメージがラファエル前派だったので、少し寄せても良かったのでは。

    0
    2023年04月16日

    Posted by ブクログ

    初読みの作家さん。東京創元社からのメールマガジンでタイトルと紹介文を読み、「これはおもしろそうだ」とサイン本(^o^)を予約した。うーん、一気に読んでしまったし、おもしろかったのだけれど、期待していたものとは違っていた。雰囲気で読ませるタイプの幻想譚、だろうか。結局なんだったのか、もやもやとした感じが拭えない。でも好きなタイプの作家さんだったので、他の著作も読んでみよう。

    0
    2020年12月27日

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