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最後まで読んでみて
当初、あだち充の「野球マンガ」としては既視感が多く、ちょっとインパクトに欠けるかなという印象だった本作。
最後まで読んで、その方向性の違いが少しわかってきたような気がします。
本作は、「H2」や「ラフ」などの名作のような恋愛ドラマ要素は少なめとなっています。
これは、主人公とヒロインの双方にとって大事な存在がいたという事と、ヒロインが男の子っぽい考え方という事にもよるでしょう。
主人公はあだち充作品定番の「やや天然キャラ」で、ヒロインも「主人公に非常に似ている」という面もあるかも。
結果として、揺れる心の描写というのは少なめで、どちらかというと「恋愛感情の見えない、性格の良さだけが表に出る」流れが終盤まで続きます。
そして、あだち充作品としてはかなりストレートな結末。
このあたりも、「高校生の思春期ならではの微妙な心」というよりは「小中学生の素直になれない感情」のような印象。
でも、それがまたいい味を出しており、本作のアイデンティティではないかと思います。
前作「KATSU!」で言えば、物語中盤で早々に気持ちを確かめ合った段階程度でのエンディング。
おそらく、まだまだ恋愛には奥手の2人の場合、この先も一気に関係が進展することもなく、今後も紆余曲折があるのでしょう。
あかねや東との決着、さらには戻ってきた水輝の逆転を狙った攻勢などもありそう。
そんな本編では語られていない後日談まで想像できてしまうような、「まだまだこの日常は続く」という微笑ましい展開が目に映るような、そんな作品だと思います。
「あだち充の、野球マンガとしての既視感」を上手く生かした作品でした。
ところで、全く本作とは関係のない話にはなりますが、あだち充の「野球マンガとしての最高傑作」と思う「H2」がBookLive!で配信されていないのはなぜなんでしょう?
なにか大人の事情でもあるのかな?
あだち充のプロフィール欄ですら、H2への言及が全くありませんしね。
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