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アンバーは病室のベッドに横たわったまま体を動かせない。口をきくことも目を開けることもできない。自分が陥った状況が掴めない。周囲からは意識がないように見えるが耳は聴こえ、病室で交わされる会話をもとに彼女は記憶を辿る。限られた記憶と意識を頼りに暗い迷路から出ようともがきつづけていく……。
物語は、主に三つの時間軸で語られていく。ひとつは、二〇一六年十二月二十六日からはじまる「現在」。もうひとつは、その数日前からはじまる「少し前」。そして、一九九一年の日記に書かれた「だいぶ前」。事故の前、アンバーはロンドンのラジオ局に勤めていたが、人間関係がうまくいかず、クビ寸前の危うい状況にあった。家庭ではポールという小説家の夫とのあいだに気まずい空気が流れている。アンバーは、妹のクレアとポールとの関係を疑っていた。そんなとき、学生時代のボーイフレンドと街でばったり再会。ハンサムで自信たっぷりな元彼の姿をみて、アンバーの心は揺れていた。
Posted by ブクログ 2021年05月02日
表紙の絵と題名に惹かれ読んでみました。
とても読みやすくどんどん物語に引き込まれていきます。
3つの時間軸の視点が交互に書かれ、それによってストーリーが展開。隔てられた時間で描かれるヒントが徐々に明らかになるにつれて、すべてが繋がっていくのでジワジワと楽しめました。
最後の展開はなるほどねぇ〜とニヤ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月13日
レンピッカの絵の表紙、説明を見たらサスペンスだったので即買い。
主人公アンバーは病院のベッドで植物状態だが耳は聞こえ意識もある。
今と、少し前と、だいぶ前の3つの時間で進む。
今は病院。少し前は事故に遭う前。だいぶ前は10歳の日記。
翻訳物は苦手な物に当たることも多いけど、これは面白く読めた。
騙し...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年04月20日
時間の異なる3つの場面が進行する。ひとつは事故か殺人により寝たきり状態の女性の描写である。これが「現在」だ。次に、彼女の10歳前後の家庭生活の描写がある。これが「遠い過去」だ。更に、彼女が寝たきりになる少し前の諸経過が描かれていて、これが「近い過去」だ。物語の終末に至るまでは、いくつかの謎はあるもの...続きを読む
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