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「円朝の落語通りに書いて見たらどうか」と助言された二葉亭四迷は日本初の言文一致小説『浮雲』を生んだ。初の女流作家田辺花圃と同門だった樋口一葉は、最晩年に「奇跡の14ヵ月」と呼ばれるほどの作品を遺した。翻案を芸術に変えた泉鏡花と尾崎紅葉の師弟。新聞小説で国民的人気を得た黒岩涙香と夏目漱石。自然主義の田山花袋と反自然主義の森鴎外。「生活か芸術か」を巡る菊池寛と芥川龍之介。12人でたどる近代文学史。
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Posted by ブクログ
文学史を時系列通りに辿っていくというよりも、テーマを絞って掘り下げていく本である。 黒岩涙香について知ることができて、良かった。
文体をテーマに三遊亭円朝と二葉亭四迷を取り上げるというようにテーマごとに2人ずつ取り上げて合計12人、代表作を中心にその人生を描いている。最後が菊池寛と芥川龍之介である。それぞれの作家の文学史に持つ意味がまざまざと浮かび上がってきて、とても面白かった。これらの作家を巡る人々や時代の様相や別枠のトピッ...続きを読むクスもまた興味深い。芥川などを読みふけった学生時代を思い出して、ちょっとなつかしい気分になった。
12人の文豪を2人1組でまとめることによって両者の様々な繋がりを見ることができた。 知識が全くない私にとっては一人ひとり単独の人物として認識していたが、この本を読んで作家が互いに影響し合い、自分の主義を醸成していく背景までも知ることができた。
同時代の二人を比較しての文学論。具体例も多く、楽しく読むことができました。 個人的に近代文学が好きなんで、漱石あたりから芥川までが興味深かった。黒石涙香って、あんまりしらなかったけど、面白かった。『岩窟王』とか『ああ、無情』って、黒岩の訳なんですね。今でも、時々使うなあ。
今日の日本文学の礎を作った名高い文豪たちの様々な面をエピソードや丁寧な分析、いろいろな傍証や引用をもとに検証された労作です。こんな作品が新書版で読めると言うことがとてもありがたく、この国の文化の素晴らしさだと思います。
章ごとのテーマの設定が面白く、そこにそれぞれ2名だけに焦点をあて扱うことで見えてくるモノがあって面白い。 2名の選び方も面白く、円朝と四迷とくれば「ああ、文体構築の話だな」とピンと来ますが、涙香と漱石を並べられると接点が思いつかない二人で、「新聞小説」というキーワードでようやく結びついて「なるほど!...続きを読む」といった感じの。 他には一葉と田辺花圃(お互い切磋琢磨した女流)、紅葉と泉鏡花(師弟)、花袋と鴎外(自然主義と反自然主義)、菊池寛と芥川龍之介(正反対の親友)…とどれも面白い着眼点! 最後にかなりザックリですが現代に繋がるまでの近代文学史の話もふれていて、読みやすく面白い1冊でした。 巻末の索引と主要参考文献の詳細な一覧も流石です。便利。
近代日本文学について代表的な人物を選んで学ぶことができる。すべてを網羅しているわけではないが、この本を読めば、近代日本文学の発生から展開まで通覧できる。ちょうど三宅雪嶺の評伝を読んだ後なので三宅かほについて詳しく知れてよかった。樋口一葉、田山花袋、読んでみようかな。
人物史中心というスタイル。 作品の解説という要素は、あまり無い。 けれど、ここを第一歩に進めていく時には、確かな足場になるだろう。
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