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Posted by ブクログ
「どんなに法の技術を学んでも、法の精神が分からなければ、法が分かったとはとうていいえない。法の精神とは一言で言えば、正義である。それゆえ、法とは何かという問いは、正義とは何であるかという問いに置きかえられるであろう。法をまなぶ者は、正義を求め、正義を実現する精神をもたねばならない。」(p.2)
「正義は、個人的なものであると同時に、普遍的なものである。・・・個人の利益の主張が、道理に合わず、普遍性をもたないものである場合には、それは単なるエゴイズム、私利私欲であって、正義とは無縁である」(p.3)
「しばしば、『今の政治が悪い』とぼやきながら、投票にも行かない人がいる。このような人は、政治を良くするも悪くするも、国民一人ひとりの主体的努力にかかっているという、民主主義の原点を忘れている。」(旧版p.19)
「独裁には手続が必要ではないけれども、民主主義には手続が不可欠である。手続が慎重であれば、煩雑で厄介で、ものごとをきめるのに時間がかかる、というマイナスもたしかに出てくる。」「しかし、・・・手続は、話し合いや説得の場を設定するルールであるから、手続を尊重しないという風潮は、結局、話し合いや説得を大切にしないという精神に由来する。」(旧版p.68)
「政治的支配者の恣意・・・は、いっそう拡大する商品生産・流通の規則正しい運行にとって、はなはだしい撹乱作用をおよぼす。」「法制度のうえからいえば、市民革命とは、国家権力を市民社会のルールに服せしめるための革命にほかならない。」「権力をもたない国民の権利を保障するために、国家権力の行使が一方的・恣意的にならないよう、これを拘束するルールを設けるという点に、法の核心的意義がある。」(旧版p.107)
「法は、人間の幸福のためにあるはずなのに、法が人間を不幸においやるという現象もすくなからずみられる。」「法についての考え方が、どこかでゆがめられているからではないであろうか。そのゆがみを正し、多数の民衆の幸福にとって、法とは何であるかをたえず追求しつづけることが、法をまなぶ者の責任でなければならない。」(旧版p.238)
Posted by ブクログ
『法学はまた議論を大切にする場でもあるから、読者も本書を素材として大いに議論してほしい。』
――あとがきより。
筆者の思想信条にかなり依る記述もあり、初見ではびっくりする人もいるかもしれません。
ただし、学者肌の法律家というのは元々左寄りの思想が強い人が多く、そういうものだと理解したうえで論旨を理解すべきだと思います。
思想信条が自分の考えに沿わないからといって、その人の論も否定するようであれば、この表題にある「法」に則った考えとは言えないでしょう。
個別の法律に関する解説では理解できない、根源的な法のあり方を考える本です。
例えばAという法律に違反したからBという刑が適用される、という話にとどまらず
「なぜAという法律が成立し、正当性があるといえるのか」
「なぜBという刑で権利が守られると考えられているのか」
という点を考えることができます。
冒頭にあるように 法=正義 を念頭に置いて読んでみてください。
Posted by ブクログ
法とは何か。
新書のボリュームで、わかりやすく、かつ、様々な観点から考えさせてくれます。
法とは何か、法が及ぼす影響は何か、法を知るとはどういうことか、
それらを考えていくと、
社会で生活するということの様々な分野に及んでいきますね。
法を紐解きながら、
社会正義とは何か、権利とは、義務とは、民主主義とは、政治とは、国とは、
そんなことを考えさせられます。
日本において、市民が民主主義を担っているか。
1人1人が考えなければならない問いでありながら、
ついつい他人事になってしまっているのではないでしょうか。
憲法改正、裁判員制度、死刑制度、冤罪、投票率、
その問題を考えるにあたって、法とは何かという視点は、欠かせないように思います。
Posted by ブクログ
法学の入門書です。現代の日本社会を生きる私たちの生活に法がどのように関わっているのかという観点から、法についての解説がなされています。
著者は、日本人にはまだ法・権利の意識が十分に根づいていないという川島武宜以来の指摘を踏襲して、いまだ日本社会に残存する封建的要素を批判しています。こうした意味で著者の立場は、丸山真男、大塚久雄らに代表される古典的な市民主義の立場に近いと言えるのではないかと思います。
ただ、現在ではこうした古典的な市民主義の観点からは抜け落ちてしまうような問題が生じてきていることにも、目を向けなければならないのではないかと思います。たとえば本書で、従来の日本企業が家族主義的な株式の相互保有という古い体質を引きずっていることが批判されているのですが、他方で株主の利益にかなうことが企業の責務だとする考え方にも問題があるということは本書では論じられていません。
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