“星の病”シガイから人々を救い、初代ルシス王となるはずだった悲運の男・アーデン。帝国最後の日、崩壊する帝都の中で運命の少女を託された帝国准将・アラネア。死からの目覚めとともに、自らの身体が変異を遂げていることに気づく神凪・ルナフレーナ。そして、長い刻の中で自身の運命を見据える真の王・ノクティス。『FINAL FANTASY XV』の新たな歴史を綴る、世界の夜明けの物語。
ゲーム本編プレイは必須の内容。それも全てのDLCを含めて、です。
さてFF15,日本ではあまり評判が良くなく(それでも国内100万本は売れてますからビデオゲームのミリオンセラーには経緯を評すべきと考えます)「売れてない」「売れなかった」等と2024年3月の今ですら去年2023年の某通販サイトの迂闊な読者のレビューに記されるビデオゲーム「ファイナルファンタジー15」のノベライズである。売れてないのは嘘で数年間に渡る、制作中止になってしまったDLCもあるがそれでも出色のエピソードアーデンは出す事ができ本編の世界累計売上も歴代FFの中でも多い方の1000万本を超えた再評価が待ち望まれるソフトである。
さて内容は本編や発売やリリースにこぎつけたDLCそのままではない。どこかのレビューで「皆が望む未来」が描かれてると私は安易なハッピーエンドなど望みはしない。それによって人の愚かさや当人にはどうしようもない生まれた時代、親の経済力や肉体的知的素養や人脈、それらが高くなりがちな職業、同じ国で同じ時代でさえ地域間格差が著しいこの国の場合生まれた地域などの理不尽さが「めでたしめでたし」で薄まるか本編でその描写が薄いと殆ど消えてしまうからだ。これも大筋はそうである。
著者映島巡の構成感覚は合格点である。『原案 FINAL FANTASY XV』開発チームから渡されているので当然だろうか。
問題は淡々とした圧力の弱い、情念の絡み合いの乏しく感じられる戦闘や登場人物の情感の描写力の薄さ。それらが緻密でさいを穿ち、なおかつ芳醇な香りが活字から立ち上りそうなほど激烈なものだったら同じ、ちゃんとゲーム本編でも「皆が見たかった」2人の情景はレギスの声に乗って、そしてこのシリーズを貫く壮麗な音楽にのって描かれているものに質的にはかなり接近したかもしれない。しかし描写力の淡白さで、それを「◯きている2人で見たい」という開発スタッフ、ファンのわがままで人命を弄ばれて生まれたこの小説はたしかに最後の最後は113代国王からということで多少感じ入ったが物足りないものに終わった気がしている。