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Posted by ブクログ
長らく読みたい本リストに入っていながらそこに安定してしまっていた一冊。読めばいい本であることがわかっていたからかな。そしてそのとおり、さわやかな、勇気がわいてくるようないい本だった。
上川あやさん。彼女が世田谷区議選に出ると報道され話題になった頃は、ちょっとした衝撃だった。自分も彼女のような性同一性障害の人の気持ちをそれなりにわかるつもりでいたから。この本では、そんな彼女が勇気をふりしぼっておそるおそる選挙活動を始めた頃のことから始まる。そしていったん時間が巻き戻って、子どもの頃からのことが書かれる。
大学くらいまでの彼女の環境がけっこう恵まれていたのだなと思った。男の子と見なされることに違和感を感じながらも、そこここで彼女のことを理解してくれているような、好感をもってくれる人がいる。母親も理解が聡い。
もちろん彼女自身は苦しみ悩んだのだけど、一方でこうした人たちが周りにいて過ごしてきたことは、勇気を出して一歩を踏み出す大きな支えになったことだろうと思う。
後半は、性同一性障害者特例法の制定に向けてロビー活動をしたことや、議員としての活動が書かれている。
ロビー活動のところでは、優先すべきことにフォーカスし、ある意味譲歩しながらも一歩前に踏み出す選択をしている。思いだけで突っ走らず、冷静に戦略的に物事を進めることの重要性が素直に理解できる。
議員活動のところでは、小さな声にならない声に心を留め、新たな扉を開いたいくつかの取り組みが紹介される。世田谷といえば、市民社会先進地域のような気がしていたけど、いろいろ指摘すべき点があるもの。そして、わりと働きかけるとすんなり動きだすものだなとも思った。これって、いかに社会が違う立場の人に目を向けていないかということでもあると思う。悪気はないが無関心というやつ。
彼女が世田谷区議になってことしはちょうど20年。LGBT推進法がまた非難されながらも制定されたことで、また一歩進んだといってもいいだろうか。少なくともLGBTQ+などの人が自分らしく生きていくという点では、20年前よりはいい世のなかになっているのではないかな。勇気を出したほうがいいのかもしれないけど、勇気をふりしぼらなくても変わっていくような世のなかであるといい。
Posted by ブクログ
2003年、世田谷区議会議員選挙に出馬し、当選した上川あやさん。
生まれたときから自分の性に違和感を感じていました。
「性同一性障害」の自覚を持つまで、自分を肯定することができず、悩み苦しみます。
親、兄弟、学校の友達……。本当に大切な人たちだから、本当の私を知ってほしい。でも、大切な人だからこそ、口にはできなかった。
もし一番大切な人から否定されてしまったら、自分の居場所はどこにもなくなる。そのことが、心の底から恐ろしかった。
自分で自分のことがわからない。苦しくてたまらないのに、自分で手に入れられる情報は限られていた。男性に生まれて男性に惹かれる私は、同性愛者なのかな? と思い、辞書で「同性愛」を引いてみると、「異常性欲、性的倒錯」と書いてある。
今では考えられない定義だけれど、当時の私にとってはものすごくショックだった。
情報を集めても、肯定的な内容は何一つなく、絶望的な気分が募るだけ。
「私は誰?」。
その答えを読みとくヒントは、学校教育からも社会生活からも一切、得ることができなかった。
「性同一性障害」という病名を知る以前、思春期のあやさんは、自分がなにものなのか、その答えを見つけることができませんでした。
性同一性障害は、自我同一性障害でもあったのです。
女性として生きる決意をしたあやさんは、女性ホルモンを注射し、胸が膨らんでくることで、自分の身体を取り戻していきます。
ただ、彼女にとっては「正常化」であっても、周囲の人々に理解されることではありません。
会社で健康診断の通知がされた日の翌日、あやさんは、「一身上の都合」の辞表を出して、勤めていた会社を辞めました。
戸籍の性と異なる性で生きるには、大きな困難が伴います。
髪を伸ばし、女性の服を着てOLとして働くことができたとしても、戸籍の性別が男性のままでは、健康保険にも年金にも加入できません。
性同一性障害の人たちは、正社員になる道が閉ざされ、社会保障の枠組みの外に置かれてしまいます。
そんな社会を変えるために、区議会議員となったあやさん。
すべての人がのびやかに生きられる多様性ある「フツウ」を求めて、活動を続けています。
Posted by ブクログ
授業のレポートの参考文献として読んだ本。
どこかで見た名前だなと思ったら過去の授業で性同一性障害を扱ったときに紹介されていたんだわ。
二年ぶりに再会というわけでした。
最初の方はエッセイみたいだなと思って新書という形をとらなくてもよかったのでは?と思った。
政治家なのは知ってたけど政治家になる人でも「政治に興味がなかった」なんて意外な一面にびっくりした。
学生時代の葛藤に切なくなりました。体の性と心の性が違うのは想像以上に大変なことと思います。
今回のレポート提出のためにいくつか論文も読んだけれど、それらとあわせて考えることによりいかに自分が無知だったかを知りました。
本当に私は知らなかった。
どうしてこうも日本社会は「男」と「女」に分けたがるんでしょうね。
後半の政治的側面はいろいろとためになりつつも「やっぱり政治ってそういう世界なんだな」と感じた。どの議員が発言力があるとか。
でもそういう戦い方しかないのかもしれないし、それが政治の世界では正しいのだろう。
失語症とかオストメイトとか初めて知る言葉も多数でてきました。
だから映画を見たり新聞や本や読まなきゃいけないんだなと実感しました。
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