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部落差別はまだまだ厳しいという悲観論があり、一方で楽観論もある。その「間」はどうなっているのだろう。普段は気にしないが、ある場面で差別にぶつかる。そんな人々の日常を書きたいと思った――。丹念な取材を通して語る結婚、ムラの暮らし、教育。しなやかな視線で「差別と被差別の現在」に迫るルポ。
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Posted by ブクログ
題名から、小説なのかなと思ったら、ルポタージュだった。筆者の経歴を見ると、同じ時期に同じ大学にいたことになる。本書を執筆するにあたり彼自身が部落出身であることをあかして、百人以上の人に取材をしたそうだ。 僕自身も「部落問題」については何か釈然としない違和感を感じていたのだが、この本を読むことにより...続きを読む、少しすっきりしたような気がする。部落問題の歴史を「水平社宣言」を中心に勉強しなければならないと思うし、日本にもこんな歴史があったことは知るべきだと思う。でもその頃にあった差別がそのまま今も残っているはずはなく、でも、差別がなくなっているとも言えず、でも有効に使われているとは思えないお金のばら撒き方に疑問を感じていたり・・・。 この本の著者自身も差別をほとんど経験したことがなく、本に登場する被差別部落の若い世代の人たちも、差別を感じたことがないと答える人が多かった。これは、差別と闘ってきた人たちの成果がここに現れているのだと思う。日本も捨てたもんじゃないと思った。でも、調査会社に、部落出身であるかどうかの依頼はまだまだ絶えていないそうだ。特に同和教育が盛んに行われてきて地域に多いそうだ。また調査を依頼してくる人の中には、同和問題に携わっている人もいるとか。 「差別と日本人」のシンスゴさんの書いた文章もそうであったが、『悲惨な差別の実態の強調が、あたかもすべての部落の現実であるかのような印象を与えてきた。』と書かれている。確かのそのほうがインパクトもあり、被差別者の心情が伝わりやすい。『部落の描かれ方は、差別がまだまだ厳しいという悲観論か、さもなければもうなくなっているという楽観論のぢちらでしかなかった。』筆者は、その間を描きたかったそうである。その真意は充分伝わった本であった。
『普段は気にしないが、ある場面で差別にぶつかる。そんな人々の日常を書きたいと思った――。』とあるように、「ムラ」に住んでいる人間から彼ら自身の生活の見た記録です。結構あっけらかんとして面白いのですが。 僕はもともと北海道出身のなので、いわゆる『同和問題』というのは東京で暮らすまでは縁遠かったのです...続きを読むが、僕の身近に京都の大学にいっていた人がいたので、その人に 『関西地方に行くとこういう問題は今でも根深いものなのか?』と聞いてみると 「関西地方にはそういうものは根強く残っている。特に奈良、大阪、京都はそう。だから、そういうことは知っていても公の場では決して口にはしない。」 とのことでした。 なるほどなと思いつつ僕は中学、高校のころに 『ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル』 などの『同和問題』についての本を読んでいたので10代のころから日常でこそいわゆる『差別』の場面は出くわさなかったものの 「こういうことは今でもあるんだろうなぁ。」 という認識で生きてきていたのです。 しかし偶然、この本を手にとる機会がございまして、それで読んでいました。この本を書いた筆者も彼の言うところの「ムラ」の出身です。でも正直言ってあまりにあっけらかんとして、読んでいるこっちがむしろびっくりしました。特に恋愛や結婚に関するところについては、彼らの『掟』のようなものがあって、読んでいて好感が持てました。
現在の被差別がわかる 大きく変化してきている 部落差別がなくなるのはいいが、部落差別の存在を消してしまうのはいけない いま臭いものに蓋で消し去られようとしている 今はよいが過去の差別の戦い、未来の差別の恐怖が残ってしまう 真実を知り、そこから新たな道を創りだすことが重要だと感じた 蓋をして、ことなか...続きを読むれですましてはいけない
良書。ちゃんとした知識を知らなければいけない。これはきちんと取材して、“今”を伝える。それと私は(部落差別とかは関係なく)、いじめを受けていたのですが、それほど酷いものではなかったので、何だか「部落に生まれながら差別は受けたことがない」著者と気持ちがダブってしょうがなかったです。中学生ですが……私の...続きを読む学校はちゃんと教えてくれるほうですが、でも部落の知識は足りませんね。中2まで部落の意味を知らなかったし、人権作文を書けば同級生は殆ど「部落」以外を選ぶ。確かに普段、近くにはありませんが……なんだかなあ。 っていうのを読書メーターさんの方に投稿しました。悪文ですみません。時間がないので今回はこれで失礼致します。 とりあえず、感動の熱だけ感じてもらえたら嬉しいです。
大変なルポルタージュ・フィールドワークだと思うが、肩の力も抜けている。最近の事例なので、今この瞬間に読むことも大事。
本当に難しい問題だと思います。 このまま自然に無くなってしまうのでしょうか… それでも差別自体は無くならないでしょうが・・・
「部落”とは?」を分かり易く、しかもユーモアを交えながら描写していく筆者に脱帽。 その筆者自身も部落出身者でありながら殆ど差別らしい差別を受けず成長した為、被差別者による”生の声”に時々戸惑う場面も見られる。日本の”裏”の部分をいま白日の下へ、必読です。
私の住む地域では、部落がありません。ですので去年関西地方に旅行に行くまではわからない事実でした。分からないというのは怖いことだということがわかった一冊。わかったからどうということもないのかもしれないけれど、わかろうとする気持ちは大切。
感想 つまらない現実はいつも中間にある。部落は非日常。そんなはずはない。人々は生活し笑い、差別を受ける。まずは知って考えるところから。
面白かった。俺は東京都下で育って部落に接することも同和教育を受けることも無かったけど、部落差別についてはかなり早くから何かで読んで知っていた。しかし西日本ではこんな感じなんだなあと改めてびっくり。ムラ全体が差別されてひどい環境で市営住宅に建て替えられて安価で暮らして、とか何にも知らないもんな。なので...続きを読む、部落の当事者たちの話を読んでも正直に言って遠い世界の話にしか思えなかった。ただ、例えば自分や自分の子が結婚するときに、相手が自分は部落出身です、と言ったとして、それによって何の影響も受けないかについては100%受けないと言えない気がした。こうやって部落差別の実態を知った上で、笑い飛ばせるか、不愉快な事と考えないか、ケチがついたと思わないか、100%の自信はないし、それが差別の萌芽だと思った。そう言った恐ろしさを感じた。四半世紀近く前の本なので、現在がどんな感じなのかについても知りたい。
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