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美少女が問う。「恋をするとなぜ女の子は弱くなってしまうの…?」不愛想な眼鏡男子が答える。「自分に甘いんじゃないか」――王道美少女の相沢さんが恋をした相手は、少しばかり偏屈な眼鏡男子の東くんだ。二人は駅で、互いの素朴な疑問について、ひたすら会話を重ねる。
『僕と君の大切な話』がタイトルだが、会話の話題自体は特に大切なものではない。
コミュニケーションの本義には共感よりも「相互理解」が先立つと私は考えているが、リアル恋愛の枠組みの中において、男女の会話は相互理解を目的としないことがしばしばある。ドキドキはしても相手の心に触れたと感じる会話ができることはあまりないのでは?(私だけ?) 互いに意識はしていても、れっきとした恋愛関係にはない相沢さんと東くんの会話は、何をゴールにするでもなく、ただ「相手をもっとよく知りたい」「違う世界や価値観を知りたい」という純粋な気持ちに溢れており、それは東くんの「たとえば僕と君が違う星の人間だとして それをつなぐのが言葉だろう」という台詞からも見て取れる。議論を重ねた末の結論が「やっぱり男(女)の考えはよく分からない」であっても良いのだ。「僕はこう考えていて、君はそう考えている」と知ることこそが、得難い気付きである。
第1巻では駅のプラットフォーム、第2巻では学校の中庭で、相沢さんと東くんは会話をする。徐々に周囲を巻き込みながら、互いの心に近付いていく。距離は縮んでもまだまだ恋愛関係に至るまでの道のりは長い。大人になった私たちが、何となく自明のことだからと俎上に載せることをためらいがちな疑問や謎が、二人の会話で紐解かれていくのも興味深い。行く先を見届けるのが楽しみである。
まだ2人を見ていたい寂しい
だんだん終わりに近づいてきてあまりにも寂しくてさみしくて、1ページ1ページ嚙みしめるように読みました。。
至福の時間でした。ろびこ先生ありがとうございました。東くん器用になってて面白かったです。のぞみんは始終かわいい。
まだこの2人を見ていたいので、もし何かスピンオフ作品が出ればすぐくらいつきます。
面白くて考えさせられる
冒頭で少女が問う。
「どうして男は戦いが好きなの? なぜ男は戦うの?」
多くの場合において、暴力が人間のルールを決めてきたと思う。
戦争を縮減しようとする試みは、皮肉にも暴力によって断ち切られる。
今年もロシアがウクライナを武力侵略した。応じるほうも暴力だ。
世界は、それを認識する人間によって、存在の仕方が違うと思う。
物理学者にとっては数式だらけの世界かもしれないし、
生まれたときから戦乱の中で生きる子供たちにとっては
安全か危険かの区別しか存在しない世界かもしれない。
あなたを愛する人にとっては、あなたとあなた以外の2種類しか
存在しない世界なのかもしれない。
人間は、言葉によって自分が認識する世界を他人に説明できる。
自分の世界を説明することをあきらめてはいけない。
相手の世界を知ろうとすることをあきらめてはいけない。
何を話すかということも大切だが、話をすること自体、お互いの違いを
知ること自体が大切なのだと少年と少女は教える。
少年は言う。
「自分から会話を閉ざすようなことはしたくないんだ。
例えば僕と君が違う星の人間だとして、それをつなぐのは言葉だろう。
こちらから閉ざしてしまうのはあまりにももったいない。
それに相沢さんとの会話はあまりに自分と違って、なんだかおもしろい」
冒頭で「(東くんが)何を言っているかわからない」と言っていた少女は、
終盤「私はお話の中に東くんの見ている世界が垣間見える気がして、
そこがよかった」と言う。
会話による関係性(コミュニケーション)を構築、維持し続けることによって、
互いの世界の在り方の違いを知り、自分の世界の在り方も変わってくる。
世界は普遍性を帯びてくる。
まるで別の星に住んでいるかのようだった少年と少女が、
「意外とそう大差ない」世界を認識するのだ。
小説を書きあげた少年が末尾で言う。
「恋愛小説にしたのは、それが一番人間らしさが見えると思ったから」。
この漫画が恋愛漫画なのは、作者がそれが一番人間らしさが見えると
思ったからではないか。
戦いの縮減は、語り合うことで見えてくると信じたい、そう思える作品である。
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