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増加と停滞を繰り返す、4つの大きな波を示しつつ、1万年にわたり増え続けた日本の人口。そのダイナミズムを歴史人口学によって分析し、また人々の暮らしの変容と人生をいきいきと描き出す。近代以降の文明システムのあり方そのものが問われ、時代は大きな転換期にさしかかった。その大変動のなか少子高齢化社会を迎えるわれわれが進む道とは何か。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
歴史人口学、はじめて本書で知りました。正式な国勢調査が実施される以前の時代の人口動態について、様々な書物やもっと昔であれば遺跡などから大きな絵を描いていくという領域です。縄文時代や弥生時代についての推計は、「地頭力」という本で話題になった「フェルミ推定」という手法が用いられていると理解しました。例え...続きを読むば「日本に電柱は何本ある?」という質問について、正確な答えを知っている人など存在しない中で、ロジックを組立ながらそれらしい答えを導く、そのプロセス、ロジック作りが重要ということでこの作業自体は面白いと感じました。 本書で一番面白かったのは江戸時代でしょうか。江戸時代の日本は豊富な記録があったということで(もちろんそれをつなぎ合わせた研究者の地道な取り組みに頭が下がりますが)、江戸時代の家族構造やどんな生活を送っていたかは非常に面白かったです。典型的な妻は20代初頭で第1子を産みますが、その後も間をあけながら産み続け、40代前半まで子供を産むこと、そうなると兄弟間も下手をすると長子と末子の年齢差が20歳くらいになるので、兄弟関係も今の日本とは全然違ったという姿など興味深かったです(だから日本は長子継承の直系家族が当たり前だったのだなあと感じました)。専門用語や推計ロジックのややていねいすぎる解説などは、門外漢からすると不必要では?と感じるときもありましたが、全部を読み終わると歴史人口学についてそれなりの知識を持っている自分に気付きました。おすすめです。
稲作農耕文化、気候の変化による、人口の変化、江戸時代以降になると資料から、日本の人口の推移を読み解く。 かなり興味深く読んだ。 各種文献・資料に基づいて分析、論述していると思います。
20年前の本だが、縄文期からの日本の人口動態を追ったものなので、まず持って全く陳腐感はない。 一万年前に列島に2万人いた人口は、漁労・採取を生業とする狩猟民であった。縄文期の温暖な気候を背景に人口は4000年で10倍以上の26万人程度にまで達する。この頃は、北・東日本に人口が偏在していた。サケ・ナ...続きを読むッツ型と言われる狩猟・採取形態でサケなどの大型魚・シカなどの大型動物・ナッツが取れる落葉広葉樹林に恵まれた東日本の方が資源豊富ということらしい。(縄文システム) しかし、5000年前までに寒冷化によって北・東日本の人口は大打撃。この後、稲作文化の流入による弥生時代の到来で、3800年前頃までに人口は60万人程度に回復。人口は西日本で急激に増え、バランスが取れた形に。その後、室町にかけて漸進的に伸びていき、1600年頃には、1000万強となっていく。(水稲農耕化システム) その後、江戸幕府の260年の間、人口は3000万程度までに増加する。17世紀に社会が安定し、小農自立や荘園制の崩壊で生産の増加、流通、新田開発など好循環が発生し、農耕経済であるながらも人口保持力が増えていった。他方、18世紀には人口は頭打ち、相次ぐ飢饉や疫病で人口は停滞。19世紀にまた徐々に伸びていく。江戸時代の具体的な人口動向は、宗門改帳という当時の行政文書をベースに緻密な分析を加えていて、都市と村落の比較、地域の比較、浮遊層と貧困層の比較など興味深い。(経済社会化システム) 最後は明治期以降の工業化システムであり、人口は、1.2億を超えている。そして、2007年でピークシフトして、減少に転ずる。 最後に、江戸時代に生活改善のために産児制限や堕胎が行われてきたことも前提に、20年前の時点で少子化を望ましいこととして見ているのは興味深い。今や、異次元の少子化対策が叫ばれる時代となってしまっている。
以前速水融さんの『大正デモグラフィ』を、興味深く読んだ。 そこで歴史人口学なる学問領域があることを知った。 この本の著者鬼頭さんは、その速水門下の人だそうだ。 単にいつの時代の、どの場所に、どれだけの人口があったかを推定するだけの学問ではないとのこと。 人々が、だいたい何歳くらいで結婚し、何人くら...続きを読むい子供をもうけ、いくつくらいで死んでいくのかを割り出していくのだとか。 推定の方法については、専門的な統計処理などを駆使するため、そのあたりは詳しくは書かれていない。 ただ、その結果として出てくる、例えば「貧乏人の子だくさん」といった俗説は正しくないことなんかが分かってくる。 むしろ、余裕のある階層でないと、結婚できない、子供を養うこともできないということらしい。 このあたり、速水さんの本で、「十五でねえやは嫁に行き」は正しくはないという論証を思い起こした。 縄文末期には部分的には農耕が始まっていたこと、縄文期にはむしろ東日本のほうが人口が多かった、などの話も面白かった。
縄文の人口増加は出生率の高さ、弥生以降の人口増加は稲作、15世紀から17世紀までの人口増加は小作農の自立など小世帯化での婚姻率の向上、明治以降の上昇は工業化。 女性は出産での死亡が高いので、出産適齢期の死亡率が高かった。 七五三は死亡率の高い子どもの頃を越えられたお祝い。 貧しいから人口が増加しない...続きを読むのではなく、豊かになると出生率が低下する。
日本の人口史には4つの波があったと説明する。第1は縄文時代で、中期に最盛期を迎えるが、後期、晩期には気候変動などによって減少する。第2は弥生時代〜中世で、農耕の広がりや大陸からの移民によって人口は増大するが、耕作適地の限界や荘園制度によって横ばいとなる。第3の波は14〜15世紀から江戸時代にかけてで...続きを読む、市場経済の発展や婚姻革命があったと説明されている。第4の波は明治以降の産業革命によるものである。 人口の推移がわかるだけでなく、日本社会の移り変わりとともに説明されているという点では、とても明快で、日本史の大きな流れをつかむこともできる。人口が環境の支持力の上限に達し、生活に困難が生じると、より高度な技術が模索されるという人口波動論が最終章で説明されているが、まさにそうした革命的な出来事によって波動的に推移してきたように思われる。 近年の人口増加は死亡率の減少によるものであること、長年の生活習慣が変わるには時間がかかるため出生率の低下との時間差が生じること、かつての先進国の人口増加や現在の途上国の人口増加について、そういった説明が可能であることも説得力があるように思う。 ・人口の年平均増加率は、縄文前期から中期にかけての千年間は0.1%程度、縄文晩期から弥生時代の人口回復期は0.2%、弥生〜奈良時代の急成長期は0.4%。 ・渡来の波は、2200年前の越人、1800年前の漢人の支配から逃れてきた人々、4世紀の騎馬民族、5世紀後半から6世紀の朝鮮からの技術者、7世紀の百済からの移住がおもなもの。埴原は、弥生初期以降の千年間に150万人の渡来があり、奈良初期の血統は北アジア渡来系8割、縄文系2割と推定した。 ・10世紀以降に人口の第2の循環が停滞した要因として、耕地拡大と土地生産性の限界、気候悪化、疫病、土地制度の変化が考えられる。 ・11〜12世紀の温暖化のピークの時代は、乾燥化の時代。1181年に日照りによる大飢饉が発生した。 ・10〜11世紀に公地公民制が解体し、荘園・公領制が出現した。土地の私有化により、初期には原野の開墾を促す要因となったが、大規模な開拓が行われなくなった。 ・第3の循環期における人口成長(15〜16世紀)の主要因は、有配偶率の向上による出生率上昇と、生活水準の向上による死亡率の改善。有配偶率の向上の原因は、家族労働力による小農経営への移行とそれを促す太閤検地によって隷属農民が自立・消滅したため。生活水準の向上は、サツマイモなどの導入や生産力向上、流通の拡大、木綿栽培の普及による衣類・寝具の改善など。
なんで購入したか失念。なぜか家にあった。 圧巻は、縄文時代からの日本列島のブロック別の人口推計。あたっているかどうかは自分に判断できないが、千人単位で推計している。 例えば、縄文は、東日本が人口が多い、南関東の人口が畿内を抜くのは江戸時代に入ってからなど、当たり前かもしれが、数字で示される...続きを読むと、すごい。 (1)西暦4から7世紀の古墳時代は寒冷期だったが、奈良時代になって温暖化が進み、人口が一気に増えた。(p64) (2)江戸時代、都市は高い死亡率と低い出生率で、人口減少要因だった。(p104) (3)江戸時代の平均寿命は30年、50年を越えたのは、戦後の1947年。(p174) 縄文時代からの大きな日本列島の人口の変化をみていると、今直近の人口減少も、生活水準をまもりつつ、うまく、都市も国家経済も縮小している、シナリオがかけそうな気がする。
日本の歴史を縄文-明治期まで幅広く見ている。 縄文期、弥生期、そして特に江戸期の記述が多く、中世の記述等は少ない。 内容が人口学(人口をどう数えるか、当時どのような婚姻、出産、死亡の傾向・風習があったのか)の観点からの記述が多く、経済・歴史的出来事と絡めた記述を期待していた私からすると、学問的すぎる...続きを読む印象を受けたが、日本の人口の傾向の概観などを把握するには良いのではないか。
内容は予想外でした。私的に“××年に○○が原因でこれくらい死んで~”みたいに書いてあるのかと思ったが違いました(そういう書き方が皆無ではないがメインではない) 人口に関する記録は少なく、推計しないと割り出せないらしいです。その割り出し方が難しく、半分以上は理解出来なかったと思います。 日本人が患っ...続きを読むて死ぬ病気についても知れるかなと思いましたが、なんと当時の病気の言葉が現代のどの病気に当てはまるかわからないものが多いそうです。残念。 あとこれは予想通りですが、ほぼ江戸時代のデータですね。仕方ない。 徳川文明という言葉は気に入りました。 気になる言葉もあります。農民という言葉が引っ掛かりますね。 最後の農民貧困説の否定も微妙に思えます。 お金がないから取捨選択してたのではないでしょうか。そういう考えはよくないみたいにありましたが、私は子供の頃、虐待された時に『なぜお金がないとわかってて子供を作ったのか。産まれた瞬間、殺してくれればよかったのに』と何度も恨めしく思ってましたから。 あと今まで読んだ民俗学の本と違う部分も気になります。 人口について細かく触れながらも、若い女性の人口流出(奴隷売買)について一切触れられてないので、本当にあったかどうか知りたい私は不満でした。 一方で一覧のデータで見ないと気づかない事が知れてよかったです。 昔の人、短命すぎ!! もし私が縄文人を描く機会があれば、ロリショタメインで描きます。 (みんな二十代で死んじゃうらしい。だとしたら教科書の縄文人のイメージは描き直すべき) 後半は全体的な事について同じ話が繰り返され、不要に感じられました。 総じて、著者が悪い訳ではもちろんないですが、私の知りたかった情報はあまり得られませんでした。
日本の人口について研究した本。縄文時代の終わりに約8万人だった人口は、弥生時代に60万人、平安時代末期に680万人、江戸時代直前は1200万人、明治時代の初めは3300万人、太平洋戦争後の昭和25年は8400万人と増加してきた。その間にも人口増加の停滞する時期があり、気温のダイナミックな変動が主因だ...続きを読むったことに驚かされる。江戸時代の間引きや堕胎についての生々しい記述もあるが、それが日本の明治以降の近代化のスピードが他国よりも速かった理由としているのを受け入れるのは複雑な心境である。現在、日本の人口は減少に転じているが、日本が人口停滞社会を向かえるのはこれが初めてではないことがわかる。
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