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Posted by ブクログ
空恐ろしさを禁じ得ない。「証拠なき確信」に囚われた尋問者に取り囲まれ孤立無援となる被疑者の「無力感」はまだしも、有罪となり刑を受ける実感に乏しい無実の人のほうが真犯人よりもかえって自白してしまいやすいという逆説が恐ろしい。
判明した結果のみから事件の真相を帰納する、いわば「リバースエンジニアリング」への加担に、いとも簡単に追い込まれてしまう被疑者たち。本書で挙げられる事例(ただし確定的に冤罪であると認定されている事例ばかりではないが)にとどまらず、例えば2012年に起きた「PC遠隔操作事件」では誤認逮捕された4人中2名が全面自白に落ちている。
「冤罪はこうしてつくられる (小田中總樹・著)」では、「3日あればどんな人間にもやってもいない殺人を自供させられる」と嘯くベテラン刑事のコメントが紹介されている。取り調べの現場に避けがたく織り込まれている「とにかく自白をさせ立件したい」という、取調官らの過剰な「使命感」にのみインセンティブを与えるという公権力の運用を変えない限り、同様の事態は何度でも起こる気がする。何しろ彼らは「うまくいってトントン」という被疑者とは全く逆に、「間違っても失うものは何もない」という絶対的優位をもって彼らに対峙できるのだ。
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