Posted by ブクログ
2021年09月26日
こんなに力強く、大人のエッセイはかつて読んだことがない。82歳、人生の大先輩!75歳からTwitterを始められたとのこと、本書を読み終わってTwitterをフォローしようとすると、小池一夫さんが既に他界されていることを知った。もっと小池さんの生の声を聞きたかったと思う。どの章も思慮深く、凛とした佇...続きを読むまいを感じさせ、人生のそばに置いておきたい大切な本となった。成熟した大人になりたいと強く思った。この本を紹介してくれたmyデンティスト先生にも感謝の気持ちしかない。
【心に強く残ったこと】
●人間関係
○人と人との関係は、素直が1番。人間関係の駆け引きは本当に心と時間の無駄遣い。声が聞きたければ自分から電話すればいいし、会いたければ自分から会いに行けばいい。まずは、自分から。伝えなければ、伝わらない。
○自分語りが多いと、人の話を聞かず、自分の欠点にも気づかず直せないだろう。可愛いは、人生のある一定の期間限定だが、可愛げは一生続く身に付けるべき資質。
○他人に対しては、自分の耳で聞いたこと、目で見た事しか信じないようにしている。
○失礼な人は、僕とうまくやろうという気がない人なので、もともと気にすることは無いのだ。失礼な態度で臨んでくる人に、自分が心を痛めて対応する必要は全くない。
○怒っていても、ドアは静かに閉めるのが成熟した大人。
○自分の持って生まれた性格や性質は一生変わらない。対処法を大人になりながら学ぶだけ。自分の持って生まれたそれらを受け入れてくれる人や場所を見つけると、人生は随分と楽になる。
●働くことについて
○仕事は時間と量と質の戦い。時間の一番の節約は、急ぐことではなく確実にやること。
○自分の仕事のスキルを快く下に譲る。
○お金の話にこだわりすぎるのはみっともないが、お金を稼ぐことに努力していない人は、もっとみっともない。
○小池式、仕事が忙しすぎて気持ちが落ち込んだときの対処法→仕事の悩みや忙しさで気持ちが晴れない原因のことを「この3時間だけは考えない」というふうに、時間を区切って強制的に思考停止する。ともかくそのことについてダラダラと考えるのはやめる。人は働くために生きているのではない、生きるために働くのだ。
●自分との付き合い方について
○あなたに敬意を払わない人に、あなたが敬意を払う必要は無い。あなたのことが嫌いな人はあなたが好きになる必要もない。あなたを大切にしない人を、あなたが大切にする必要は無い。しかし、逆に相手から考えてみるとまた違った見方をしてくる。まずは自分から敬意を払う、好きになる、大切にする。それでもダメなら、もうそれで良い。
○機嫌よくしていられるというのが大人の条件。機嫌良くいられると言う事は、リラックスしているということ。人生の送りは「リラックスした人生」をいかに過ごせるか。
○誰かがあなた本音や弱音を告白している時、絶対に言ってはいけないこと、それは正論。
○弱音を吐いてもいいが、相手は選ばなくてはいけない。
○価値観の違う人とは対話すべき。その対話のチャンスを放棄するのはとても残念なこと。
● 粋について
○無駄が人生を豊かにすることが多い。生活でいっぱいのときでも、せめて花を買う余裕を持つ。どうしても食料を買わなくてはならないときでも、野の花を摘み、一輪挿しに飾る余裕を忘れないでいたい。
○人を判断するときに、人の欠点をあげつらう減点法の人より、人の美点を見つけられる加点法の人の方が人生は豊かに。
○余裕のある大人の所作のヒントとは「余裕」があること。余裕があることとは、焦らないということ。
○本を読むことで知識を得て、旅に出て行動することで知識が知恵に変わる。人の悪口を言わない事は人格を表す。成熟した大人になるためにまずやるべき事は、この3つ。
○鬱になったときに生活は乱れる。逆に言えば、生活に気をつければ鬱にはなりにくい。生活の美しさに気が向くというのは心の余裕の表れ。
●人を愛することについて
○おいしいものを食べたらあの人にも食べさせてあげたいなぁとか、きれいな景色を見たらあの人にも見せたいなぁとか、良い音楽を聴いたらあの人のためにCDを買って帰ろうかとか、ちょっとした感動を共有しあえることが喜び。魂の釣り合いが取れたもの同士が結ばれることが最上。それが愛しているということ。
●歳を重ねることについて
○美術館や映画に行ったりしても、ただ見るのではなく、経験を共有した人と意見や感想を言い合う、もしくは、ネットに感想を書いて人に読んでもらうという+ αの生産があると、体験がより豊かなものになる。
○やりたいことをとことんやるべし。今日限りの命のつもりで、永遠に生きるつもりで。だから、好きな人ができたら迷わず好意を告げる。これだと思うものは迷わず買う。旅に出たいと思ったら行けるところまで行く。やらなかった後悔が、やってしまった後悔より深い。
●自己実現について
○「これまで」が「これから」を決めるのではなく、「これから」が「これまで」を決める。
○「被害者意識」と「自分が原因」は全く違うもの。たとえどんなに過酷な条件でも、自分に与えられたカードで人生は勝負するしかない。