Posted by ブクログ
2017年11月09日
映画を原作に、映画監督が書いた初の小説だそうです。
大学生の「花」が恋した相手は「おおかみおとこ」でした。
相思相愛の人間とおおかみおとこの間には、
やがて女の子の「雪」と男の子の「雨」が生まれます。
そんなある日、おおかみおとこが亡くなります・・。
前代未聞のストーリー展開が予想され、
この恋...続きを読むはどうなるのか、と一気に読みました。
映画も観ていない私ですが、
この小説だけで十分、「花」の苦労や幸せが伝わりました。
加えて、幼いこどもおおかみの「雪」と「雨」の
かわいらしさやむじゃきさも・・・。
大人のおおかみおとこなら、理性が働き、
ずっと人間の姿でいられますが、
こどもでは、欲望が先にでると、
おおかみの耳と尻尾がまずあらわれます。
そうなるたびに、花は二人の幼児をかかえて、
あわてて人目のないところへ逃げ出すことになるのです。
このあたりの苦労は、
人間でないこどもたちを育てている花でないとわからないでしょう。
生活に疲れ果てた花は、子供たちをつれて、
人のあまり住んでいない
おおかみおとこの故郷の田舎で暮らすことにします。
そして雪は雪の道へ、雨は雨の道を進むことになるのです。
子供を育てて自分の進むべき道を教えるのは、
人間に教えるのも大変なのに、
おおかみこどもに教えるのですから困ったものです。
それを成し遂げた「花」の真の強さに大拍手です。