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望郷と鎮魂の歌が織りなす奇跡。
2017年4月に急逝した戦後日本を代表する歌手・ペギー葉山。愛した人々に見守られ、彼女は代表曲『南国土佐を後にして』の譜面を胸に抱いて天へ召された。
彼女の人生を大きく左右することになった同曲のルーツは、戦争中に中国戦線の兵隊たちによってつくられた『南国節』にさかのぼる。元兵士が述懐する極限の戦場、生と死の狭間にいた若者たちが異国の地で故郷を忍び、家族に思いを馳せながら歌い継いだ「望郷の歌」は、同時に仲間への「鎮魂歌」でもあった。ペギーが、激戦に次ぐ激戦のさなかに生まれたこの歌に出会ったのは、偶然だったのか、それとも必然だったのか。「死」の4か月前、ペギーが筆者に対して語った数々の述懐は、その謎を解き明かし、はからずも彼女の「遺言」となった――。
自身もまた戦争に翻弄された少女時代を送ったペギーによって新たな「命」を吹き込まれた『南国土佐を後にして』が国民的なヒットとなったことで、新しい曲が発見された。そしてその曲が、東日本大震災の被災者たちを勇気づけ、大きな影響を与えていく。戦地の若者が口ずさんだ歌の誕生から実に80年近くを経ても、多くの名もなき人々が共鳴し合う奇跡の物語は脈々と続いていた。丹念な取材と構成で明かされる、忘れ去れていた日本人の優しき心とは――。
Posted by ブクログ 2019年02月15日
ペギー葉山といえばウルトラの母というイメージです。緑のおばさんといえばペギー葉山という刷り込みが有ります。子供の頃の印象というのは根深いものであります。
当然歌手であることは知っていましたが、近代ポピュラーミュージックの偉人と申し上げても過言ではありますまい。この本を読むと特にそう思います。
ペギー...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年08月01日
今日ご紹介するのは、大野が誇る郷土・高知のノンフィクション作家・門田隆将先生の新刊「奇跡の歌 戦争と望郷とペギー葉山」である。
大野が思うのは「門田先生はいつも絶妙ないい感じの日本人を取り上げるが、ネタが尽きることはないのかな?」ということだ。
しかし、門田先生については、そのような懸念は不必要...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年11月23日
恥ずかしながら,この本で「南国土佐を後にして」という歌を知り,ネットで探して聴いてみました。
この歌の来歴を軸に,戦争の悲惨さ,豹と人間の奇跡の関係と悲劇,ペギー葉山さんと小学生の心温まる交流まで,引き込まれるように読みました。
その後,再び「南国土佐を後にして」を聴くと,より抒情的に胸に響きまし...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年08月31日
副題の「戦争と望郷とペギー葉山」がこの本のすべてを表していますね。物語を聞いているかのように、数奇な運命の数々をひとつの線にしてまとめあげた門田氏お得意の泣かせるノンフィクション。ペギー葉山は、歌ってきた曲の数々を「神様からの贈り物」と仰っているが、神様から歌うことを宿命付けられた一生のような気がし...続きを読む
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