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Posted by ブクログ
感染症ともテロとも断定できない謎の大量死が四国で発生し、その原因を追う人々が巨大な危機に巻き込まれていくパニックサスペンスです。
コロナ禍を経験する前に出版されたということで、そのクオリティの高さに驚きながらも、想像しやすく軽やかにページが進んでいきました。
読んでいてまず感じたのは、“見えない恐怖ほど人間を簡単に追い詰めるんだな”ということでした。
犯人がいるわけでもなく、何と戦えばいいのかも分からない状況が続くため、事件そのものより社会全体が少しずつ壊れていく過程のほうが印象に残ります。
特に印象的だったのは、災厄が広がるたびに人間の本性が少しずつ露わになっていくところで、冷静さを失う人、責任を押し付ける人、それでも目の前の命を救おうとする人がいて、極限状態の中で人間の強さと弱さが同時に描かれていました。
先が気になって一気に読まされる力は強く、“災厄とは何か”という問い以上に、“非常時に人はどこまで理性的でいられるのか”という不安が最後まで残る一冊でした。
Posted by ブクログ
「Fukushima50」が良かったので、他にどんな本を書いているのだろうと思って、手に取った一冊。
あまり何も考えずに、読み始めたが、まさか、まさかのタイムリーな内容。でも、その分、単なるパニックミステリーとしてではなく、改めて今日本が置かれている現状を考える一冊となった。
四国の小さな村から始まった謎の大量死。日を追うごとに範囲は拡大し、突然何人もの命が奪われることから、政府は生物兵器によるテロとして、対応を始める。そんな政府の中で厚労省の参事官・斯波は上官の田崎と共に感染症の疑いを訴え続ける。
命を懸けてまで、四国まで行った斯波だったが、集めて来た検体からはウイルスも細菌も見つからず、責任を取らされて、埼玉へ左遷され、政府はまだ正体を掴めないテロリストとの戦いを続ける。
そんな中、国会では何の解決策も見つけられない対策本部に、野党から厳しい追及の声が上がる…
ここまで書くと、本当に今現在日本で起きている新型コロナの状況にそっくり。
正体の分からないウイルス、パンデミックを認めなかったり、対策が後手後手に回る政府などなど。
作品自体は2014年に書かれたものらしいが、このパニックをまるで予測していたような内容でびっくり。
実はこの大量死をもたらしているものの正体については、作品のかなり序盤で分かってしまっていた。
でも、その真相にたどり着いた後の官房長官を始めとする斯波、田崎、斯波の同期の宮野の英断は、今の日本政府に見習って欲しいと思った。
そして、政府の中に斯波たちのような人物が実在することを願わずにいられない。
ちなみにこの作品の事態の終息までには3ヶ月。現状のこの事態もやはり3ヶ月では収まらないだろう…
世間では高嶋哲夫の「首都感染」が話題になってるが、この作品の方が評価されるべきだと思う。
映画化したら面白そう
主人公の官僚に魅力が乏しいが、対する政治家の横暴さ。それに耐える主人公と分かりやすい構造。災厄の源の解明過程は素人には納得させられる展開。映画化したら面白そう。
Posted by ブクログ
周木律『災厄』角川文庫。
まるで新型コロナウイルス感染禍を予言したようなパンデミック・サスペンス。因みに、この作品は2014年に刊行されている。
原因不明の症状で瀕死の住民が次々と医療機関に収容され、次第に医療現場が逼迫する様子などはまさに今起きている現実を見ているようだ。また『災厄』を目の当たりにしてもなかなか原因と解決策を見出だせない政府の姿は東日本大震災やこの新型コロナウイルス感染禍での混乱ぶりを連想させる。ストーリーには幾分甘さがあり、諸手を挙げて納得出来るものではないが、なかなか面白い。
突如として高知県で発生した原因不明の住民の集団死事件。次第に集団死は地域を拡大し、瞬く間に四国全域に広がる。政府の対策本部はウイルス感染説を主張する厚生労働省とテロ説を主張する警視庁が対立する。
そんな中、自らウイルス感染説を主張する厚生労働省キャリア参事官の斯波は調査隊を組織して真相解明のために四国に乗り込む。しかし、感染源のウイルスは見付からず、斯波は埼玉に左遷される。政府はテロ説に傾くがテロリストの存在も掴めず、国会は紛糾する。果たして……
この10年間は千年に一度と言われた東日本大震災とそれによる福島第一原発事故、百年に一度と言われる新型コロナウイルス感染禍と日本はまるで何かに呪われたかのように大きな災厄に見舞われた。しかし、本作のラストで暗示しているように、まだまだ予想しないような災厄は起こるのだろう。平穏無事な日常は失われたのだ。一寸先は闇。兎に角、油断すべからず。
本体価格680円(古本100円)
★★★★
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