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住民の高齢化、崩壊する生活基盤、空き家の増加。今、郊外の住宅街は破綻の危機にある。この現実を前にできることは何か。家を買った人も買う予定の人も知って欲しい、住宅街が抱える問題と対策を明らかにした1冊。
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Posted by ブクログ
都心方面から静岡の実家に移動中の電車の中か 見える山を切り拓いて建てた集合住宅。 あれらはみんなこの本の予想通りに進んでいくんだろう。 何事も最後を考えなくてはいけない。 その時々の若さや年収で家なんて買ってはダメ。 我が家は狭い賃貸だけど、賃貸のままかなー。 「土地探しは株と同じ。」と書かれて...続きを読むいた。 もし家を買うなら新陳代謝が良い土地を選んで、子どもたちが引き継いでも売れるか、住み続けられるかできるような土地に家を買いたい。
こんな街に「家」を買ってはいけない はじめに――子供の声が消えた首都圏郊外住宅地 ということで始まるこの本ですが、要は、戦後の高度成長経済時代、都会で住宅が不足し、社会全体の価値観として、とにかく我が家を所有したいという一心で、自分自身が置かれている時代の一瞬を切り取り、買ってしまった「財産としての...続きを読む家」が、数十年の年月を経て、不良資産と化してしまっている。 そのような事態になってしまった日本の戦後の歴史、そして過去、現在、未来のデータ分析予想、今後日本社会が課題解決に向けての処方箋が書かれた本でした。 内容は 第1章 住宅街が崩壊する日 第2章 全国に2000もあるニュータウンという厄介者 第3章 戸建ての維持に悲鳴を上げる人たち 第4章 人気が上昇し続ける住宅地の条件とは 第5章 相続が「負の財産」になるとき 第6章 戸建て住宅街に将来性はあるのか 第7章 戸建て住宅街からの脱出法 第8章 住宅を賢く買うには 第9章 不動産に対する考え方を変えるとき おわりに――マイホームという蜃気楼 今後、我々が考え方として持っておかなければならないこと、「不動産が財産である、という幻想」「不動産はバランスシートの考え方で所有」「本当に必要なのは人生の舞台としての不動産」ということ。 それと、私がこの頃つくづく思っていることですが、物件を市場化する場合、売りたい人と買いたい人を丁寧につなぐビジネスモデルがいいと思っています。 結局、両者の間に存在する「情報の非対称性」を解消するため、物件情報をあらゆる角度で分析・評価する「知見」を公共化する、そのため、その分野を構築するについては税金が投入されてもいいのではないかと思います。 とにかく、社会的な課題解決に向け、日本社会が培ってきた「知見の総合化」、そして、新たに発生した「市場」は丁寧なプロセスが構築されている。 このことの社会的システムが構築されていけば、そのノウハウは、どういう分野でも適応可能ではないかというのが私が現在到達している知的限界であります(笑)。
住宅は消耗品として買い替えていく存在になる。 所有することによって安心感はある一方で負荷は大きるなる。 これからは家を上手に「住みこなす」ことが大事になる。 これからの時代、所有することがゴールではなく、その先のことを考えて住むことが必要と知った一冊でした。
家を建てるならどんな街がいいかヒントをもらえるかなと手に取ったが、大半は空き家問題について書かれていた。 70年代、住宅需要が拡大した時代に競うようにして買った郊外の戸建て住宅が、人口減少やライフスタイルの変化に伴って急速に価値を落としてきていることが、辛辣に書かれていた。「家はマンションとは違って...続きを読む財産になる」と信じて購入し、必死にローン返済をしてきたが、車がないと不便なので、子世代は帰って来ず、高齢者は生活の負担が多い。でも売りたくても値崩れして売れない。そんな厳しい事例もあった。 なんとなく、「いつかは戸建て一家屋」という憧れがあったが、「財産」ではなく「不良債権」になる可能性もあるなら、そのような思い込みに近い憧れは危険だと思った。 この本が出されたのは、コロナ流行前。今は働き改革も進み、もう少し郊外住宅地や一戸建てに対する考え方は変わってきているかもしれない。 それでもこれからの時代は「所有」するより、楽しんで生活できるかにこだわっていくべきだと思った。 ・子世代の負担にならないか ・街に歴史があり、住んでいて楽しいか ・子どもから高齢者まで3世代にわたって人口がある街は新陳代謝ができている ・家の価値より土地の価値 ・家だけでなく街のサスティナビリティも必要 ・
住宅評論家の牧野氏が、文字通り田舎の一戸建ての家を買うことに異を唱える一冊。 話が分かりやすくかつ具体的で、とても参考になった。
示唆に富む話。経済合理的。共働き、富裕層が購入できる一等地地域以外の住人は、資産価値などない土地しか購入チャンスはないという厳しい戦略的な結論かと思います。
かつて住宅は資産であり、子どもに相続するものだったが、核家族化によって主を失った親の家は空き家となり、固定資産税や管理費がかかる負担にさえなっている。時代が移っても新たな世代が住み続ける地域を選ぶ視点が必要との指摘は正鵠を射ている。住宅がコモディティ化したという時代を迎えたからには、住まい方を考え直...続きを読むさなければならない。 1996年頃に共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、現在は62:38になっている。1997年には容積率の緩和などの大都市法が改正されるなどしたこともあり、住宅の選択は、駅からバス便の郊外から、都心部のタワーマンションへと変化した。 著者が勤めていた三井不動産が開発した緑園都市や山手台(西が丘、領家)は、1990年前後入社の社員の目標でもあったが、すでに売却してタワーマンションに移っている。現在の緑園都市の中古住宅の価格は4000万円台。 住宅地の将来は、人の出入りで評価できる。人の出入りがあることで平均年齢と経済活動が維持され、各年代が均等化される。1970年代につくられた佐倉市のユーカリが丘は、長期にわたって少しずつ分譲したため、若い家族が購入し、人口も年々増加している。
「家」を買うということへの価値観の崩れる一冊。確かにその通りだと感じる点は多い。 街の「新陳代謝」。家は「地域」全体をみて買うのが正しい選択。地域全体で魅力づくりをしていくのが不動産価値の維持・向上につながる。というのは納得。 住宅は「財産」ではないという考え方の転換。これからの未来を、この視点...続きを読むで考え直すことは必要。過去の価値観にとらわれず、どのようなライフスタイルで生きたいのかということを考え直さねばならない。
リバースモーゲージでも資産価値が下がると当事者の死後、相続人がローンを引き継ぐことがあるというのは知らなかった。また、毎年、資産評価を行うことも。 これからは「負」動産にならないように気をつけねば。
新年(2017)早々読み終わった本です。昨年末に2040年にはあらゆるビジネスモデルが終焉する、という衝撃的な本を読みました。その本の著者が、不動産に関する本を書いていることがわかり、取り寄せて読んでみたのが経緯です。 数年前に読んだ本がきっかけで「なぜ、以前すごい価格で売り出されていたスキーリゾ...続きを読むートのマンションが、10万円で売られているか」のカラクリが分かりました。結局は、ババを把まされるということでした。トランプのババ抜きと同じで、誰かにババを渡さない限りゲームに負けてしまう(不動産的にいえば、永遠に維持費を払い続けることになる)のです。 この本も趣旨としては同じようなアドバイスがなされています。しかし、少し厄介なのは、その不動産が相続するものであったり、自分が苦労してローンを組んでやっと手にしたものであることです。かつて住んで懐かしい思い出が詰まっている住居を、不良資産・不良債権とは思いたくないですよね。しかし、そのような感傷的なことはさておき、具体的に問題を先送りしておくとどうなるのか、新法(空き家特措法、2015.5)施行により、どのような影響が及ぶのか。現在払っている固定資産税にはどのような特典(本来の6分の1へ軽減)があるのか、知っておくべきことが満載でした。 以下は気になったポイントです。 ・空き家が増加する背景として、1)戦後一貫して増加し続けてきた人口が2008年を境に減少、毎年20万人減少しているにも拘らず、毎年100万戸が着工している、2)人口構成の極端な高齢化、3)ライフスタイルの変化(p20) ・郊外の高級住宅地の人気が凋落した理由は、都心部で高級仕様のマンションが数多く誕生したから(p25) ・1996年頃を境に、専業主婦世帯と共働き世帯は逆転している、91年くらいでほぼ同じになり、2000年を超えたあたりから差が激しくなった。2015年現在では、1114万世帯vs687万世帯(p34) ・1997年に大都市法の改正が行われて、容積率の緩和、計算方法の変更、日影規制の緩和により、マンションを大量に供給可能となった(p56) ・木造住宅は、しばらく人が居住していないと、建物の劣化スピードが早まる。(p74) ・2014年8月に広島で発生した大規模土砂災害は、新興住宅地で広島市内に通勤するベットタウンとして発展してきた、1960年代後半から開発された(p85) ・ニュータウンは都市郊外部に面的に拡大してきたが、今は超高層マンションのように、立体的に伸びるニュータウンとなっている(p90) ・買ってはいけない新興住宅地として、1)東京までの通勤時間1時間超、2)1970-80年代に開発、3)駅からバス、4)住宅地内の傾斜がきつい、5)近隣に観光地なし、6)地域内に産業がない(p92) ・不動産価格の高騰を享受できたのは、戦中世代から団塊世代まで、1950-60年代の人たちが割りを食っている(p98) ・タワーマンションは、新築時は、修繕費は安かったが、25年も経過すると何倍にも増額、さらに修繕に対して追加負担(p101) ・今は、孤独死や自殺があったら、重要事項説明書で告知が必要(p102) ・賃貸する場合のポイントは、毎日必ず使う水回りの「清潔度アップ」である(p142) ・不動産屋のチラシで、古屋ありといった表示は、たいていの場合、築20年以上の家屋があり、買い手側で取り除いてくれといった意味(p196) ・家賃を払うとは、費用として捨てているのではなく、「効用を得るためのもの」である(p206) ・コモディティになると、価値は急速に下落する、郊外戸建て住宅地の不動産価格が下落しているのは、当たり前の商品になってしまったから(p209) ・自宅が財産かどうかは、住んでいる間の家族の効用、そして最後に売却した場合の売却益がどの程度のものになるかで判断される(p213) ・4000万円を20年の元利均等返済、金利1.5%、返済額は毎月19万円、年間で231万円、効用が20年続くかという判断となる。(p214) 2017年1月3日作成
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