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Posted by ブクログ
2025/12/10
p.113
また、ある建築現場で実際に起こった出来事があります。厳しい現場の状況の中でなんとか人のやりくりをつけて、技能労働者を含めたチームアップに成功したものの、それでも工事がスタートできなかったという事例です。
人を集められれば工事ができるのかといえば、そうではありません。現場に資材を運び込むためには多くの工事用車両が必要です。ところが今の日本ではこの工事用車両=トラックが極端に不足しているのです。
この工事現場では、結局工事用車両を思うように集めることができなかったために、スケジュール通りに工事をスタートさせることができず、せっかく確保した職人たちもリリースせざるをえなかったということです。
地方の公共事業が激減した結果、地方の多くの工事業者が倒産し、工事関係車両を手放しました。その車両の多くは現在、アジアや東南アジアに持ち込まれ、彼の地の工事現場で活躍しています。
最近東京都内の工事現場周辺を走り回るダンプカーなどをよく見ると、ナンバープレートが「高松」や「広島」など西日本ブランドの車両が目につきます。東北地方の復興需要に加えて都内の五輪関係、大型のオフィスビルの建て替え関係の工事で工事用車両が足りずに、広く西日本方面からも呼び寄せているのが実態なのです。
さらにもうひとつ深刻な問題が発生ています。工事用車両は確保できても、今度はトラックを運転する大型車両免許を持つ人の人口が減少してしまっているのです。バスやトラックなどの長距離運転をする運転手は、今や大変な人材難となっています。
昔はテレビドラマや映画などで、「トラック野郎」「トラックとうちゃん」は大人気でした。誤解を恐れずにいれば、昔「族」やってました、といったお兄さんたちが足を洗ってトラック運転手になる。家族を持って子供に自分のトラックを自慢する。そのトラックは見事に装飾を施され、族だった頃を彷彿とさせる。気が荒いが心は優しい。そんな姿がドラマや映画のネタとなったのです。
では今どきの地方の若者。トラック運転手のような体にきつい仕事はまっぴらごめん、車両の運転でも、彼らが好んでやるアルバイトが宅配便の配達だそうです。同じ運転手と思うなかれ。こちらの職種であれば毎日家に帰れるのです。稼ぎがそれほどでなくとも結婚をせず、家庭を持たなければ十分な収入が確保できます。なにしろ国内での移動はないから面倒くさくない。苦労して報酬をたくさん得ようというインセンティブに欠ける社会になっているのです。
親の年金は今のところ充実しているし、あくせく働かなくても家はある、車もある。収入がたとえなくとも社会保障が完備されている今の日本にあっては、仮に生活保障になっても田舎ならそれほど困らない。まわりにも同じような仲間がいるからさびしくない。だいたいこんな構図になってしまっているのです。
市場の原理が働いて、建設費がまたリーズナブルな範囲に戻ってくるかと言えば、実は日本の構造的な問題をかなり抱え込んでいることにも目を向けなければなりません。解決への道は今のところ見出しにくく、建築費は「高値」を維持していく可能性が大きいと言わざるをえません。
Posted by ブクログ
不動産市場の最前線で、活躍してきた著者だから見通せる日本の空き家問題。
まず、第1章で 増加し続ける日本の空き家 の実情をデータで示しながら、諸問題を列挙。
第2章で 空き家がもたらす社会問題 ということで、なぜ、空き家で放置されるのか、固定資産税、相続税などのコスト負担が明々白々ななかで、負の資産を持ちたくないという人々の行動原理をあぶりだしている。
次に第3章で 日本の不動産の構造改革 が求められるにもかかわらず、問題解決の先送り体質について書かれていた。
第4章 空き家問題解決への処方箋、第5章日本の骨組みを変える ということで、著者の問題解決の考え方、提案が粛々を書かれていた。
選挙、民主主義、誰もが責任をとらない体質、もう時間はない、まったなしのチャレンジが必要なのだが・・・
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