ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観

ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観

著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。本書はピダハンの言語とユニークな認知世界を描きだす科学ノンフィクション。それを30年がかりで調べた著者自身の奮闘ぶりも交え、ユーモアたっぷりに語られる。驚きあり笑いありで読み進むうち、私たち自身に巣食う西欧的な普遍幻想が根底から崩れはじめる。とにかく驚きは言語だけではないのだ。ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……? 著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。

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ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ピダハンが教えてくれたこと、それは「生きる」とは何か、「幸せ」とは何か、ということ。
    言語学研究にとって貴重な進展をもたらしてくれたこと、のみならず人間としての在り方についても教えてくれた。

    まず、本書ではピダハン語の研究によって、チョムスキーが提唱した普遍文法の説を否定している。

    普遍文法説と

    0
    2025年07月29日

    Posted by ブクログ

    面白い
    言語学の本だけど小説っぽく読める
    不思議文化に触れられて刺激的だった
    言語学パートは専門的でむつかしい

    0
    2025年03月17日

    Posted by ブクログ

    現在起こっていることしか伝えない価値観。
    子どもが包丁を使っていても危険と言って遠ざけない、切り傷ができても手当てをしてしかる。自律して生きていく。
    川で出産して、子どもが出てこなくて苦しんでいても親の助けがなければまわりは助けないで亡くなっていく。
    それでいて幸せに過ごしているという、価値観とは何

    0
    2024年11月24日

    Posted by ブクログ

    チョムスキーの言語理論に真っ向から異を唱える本書は、特に言語学を学ぶ人皆さんに読んでほしいと思います。絶対一読の価値があります。

    0
    2024年10月06日

    Posted by ブクログ

    「キーフレーズ」
     今を生きるということ。
    ピダハンの人々は過去も未来もなく、今を、今、出来ることを忠実に行なっていく。
    ある意味消費的な生き方ではあるが、それでも幸福論の一つとして、比べない。人は死ぬ。やれることをやる。そんなことを伝えてくれる本だった。

    0
    2024年09月16日

    Posted by ブクログ

    自分自身がクリスチャンとして、伝道師である著者が無神論者になった経緯と影響を与えたピダハンについて詳しく知りたくて本書を手に取った。

    文化人類学は学生の頃の専門分野だったので読むだけでドキドキワクワクが止まらなかった。彼らの価値観や文化は実に興味深いものだった。
    また、著者が最後に無神論者になった

    0
    2024年07月08日

    購入済み

    ピダハンの人々のエピソードが魅

    人生をかけてピダハンの文化と言語の研究に取り組む言語学者の著作。読んでいるとジャングルの光景が目の前に広がる。言語が文化といかに密接に関係しているかが分かる。終章は特に示唆に富む。筆者の主張の根拠として各所に紹介されるピダハンの人々のエピソードも魅力的。信仰がなくなってしまったことも著者が非常にピダ

    0
    2023年10月03日

    Posted by ブクログ

    同じ言語でもその人の見てきたものや置かれている環境によって、言葉に内包された意味やイメージは変わってくる。今まで経験した会話の中にも危ういものがないか反芻する機会を得た。定説を再考察する言語学として、また作者の冒険記として(どんでん返しあり)の読み応えもあった。

    ※追記
    筆者がピダハンと共に過ごし

    0
    2023年01月09日

    Posted by ブクログ

    左右の概念、数字の概念がない民族に興味を持ち読んでいたが、想像以上に興味深かった。ピダハンが重んじるのは現在の直接体験のみであり、見えないものやわからないものについてあれこれと心配をしない。その結果なのか鬱や自殺といった精神的な疾患が見られない、というのは興味深い。
    過去や未来に捉われず、今見えてい

    0
    2022年12月10日

    Posted by ブクログ

    傑作だが何度も挫折した。冒険譚を期待していたので言語学の部分がミスマッチになっていたと思われる。とはいえ言語学の部分もめちゃくちゃ面白く、なぜ挫折するのか自分でも疑問だった。モチベーションの立て方を間違えなければすんなり読めただろうに。

    0
    2022年05月05日

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