「うちの会社の会議では、何億円もの失敗や投資より、お茶菓子代やタクシー代の議論に時間をかけるのはなぜだろう?」
「うちの上司は部下に言うことと自分でやっていることが全然違う。なんて理不尽な会社なんだ」――。
経済合理性を追及するはずの会社で、このような理不尽なことが起きるのはなぜでしょうか?
この疑問に、ビジネス書から小説まで幅広いジャンルの書籍と、経営学の必読論文を取り上げ、経営学者の視点で分かりやすくこたえていくのが本書です。
本書では、誰もが手に取ったことのある本や、MBAの学生なら誰もが読む論文を取り上げていますが、単なる読書案内や論文解説ではありません。
例えば小説を経営学者の視点で読み、現実の経営課題に役立つヒントを探っていきます。
本書で著者が指摘するのは、経営課題を前に、何か「よさそうな答え」を求めようとする発想が、かえって組織の停滞を招いているということです。
「MBAは役に立つのか?」「経営学は実際の経営に本当に役立つのか?」という問いかけにも、こういった「答え」を求める発想が根底にあると言います。
企業をはじめとした組織が先へ進み、成長し続けるためには、「答え」より先に、現実の課題をきちんと認識することが重要で、
言い換えれば「へんだぞ」に気づく「視点」を持つことがイノベーションの根源だと、筆者は強調します。
経営学の視点で本を読み、目の前にある仕事の課題を見つめ直す訓練をすることで、これまで見えなかった経営の「気づき」が得られます。
本書は、組織のリーダーはじめ、ビジネスパーソン全般にとって、課題解決のために必要な「気づく力」を鍛えるための必読書です。
Posted by ブクログ 2019年01月05日
意外と読みやすく、面白い 楠木建氏の読書日記を連想させる 本書は論文も対象だが
「日本型成果主義」に厳しい評価 これは全く同感 →「仕事の金銭化」(77)
わくわく感も、誇りも、喪失してしまった。
成果主義の前提として。ビジョンや理念を構築しておくべきだった。
高度成長の最期にバブルのあだ花が「拝...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年03月30日
タイトルにひかれ、手に取ってみる方もいると思うが、タイトルに近いアプローチで書かれているのは最初の1章位で、ほとんどは、経営学の教授が様々な企業と対峙してきたり学会で得てきて知見を披露している書です。
リーダーシップ、経営層に対しての意見が多いですが、一組織人としても読みがいがあります。
本の中で繰...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年12月31日
MBAは役に立ちますか、といった質問はおかしい。どういうときに、だれにとって、といった目的があってこその質問。
科学で耳にする最も胸躍る言葉は、「私は発見した」ではなく「へんだぞ」なのだそう。
・とにかく働くことに集中すべき。スタートアップでは24時間働くしかない。
・「あったらいいな」の商品化はま...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月06日
会社に限らず、何らかの組織にかかわると必ずといっていいほど出会う「なんでこうなの?」という疑問の数々。
それらに対して、様々な書物や論文と著者の経験を交えて、論点を提示してくれる一冊。
各トピックに対して、読者が自分で考え行動するための素材やその探し場所を紹介する構成になっている。
自己啓発本など...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年08月17日
慶應ビジネススクールの清水先生によるある種の「経営(学)談義」。世界の著名な経営学者や経営者による著書や論文の中から、実際の会社経営の本質や矛盾、違和感、不思議を紐解く内容になっていて、内容は比較的専門的だと思うが楽しく読める。取り扱われているテーマは、人材教育、グローバル化、リーダーシップ、取締役...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月10日
●社員に危機感を伝えるためには。
「船をつくるなら、材木の切り方や鉋のかけ方を教える前に、海への情熱を伝えよ」
自分がこの会社をどうしたいか、自分がやりがいを持って充実した仕事をしている姿をイメージできるか、経営者が社員と将来像を共有できているかどうか、問題の本質はそんなところにある。
●新規事業...続きを読む