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GHQ労働諮問委員会の一員として来日したミアーズ。中立な立場で日本を研究してきた彼女にとって、「軍事大国日本」は西欧列強が自ら作り上げた誇張であった。ペリーによる開国を境に平和主義であった日本がどう変化し、戦争への道を突き進んだのか。日本を西欧文明の鏡と捉え、満州事変を軸に中国・韓国との関係を分析しながら、アメリカが変えんとするその未来に警笛を鳴らす。マッカーサーが邦訳を禁じた日本論の名著。
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Posted by ブクログ
「宿命の子」で知る。 戦後、マッカーサーにより日本では発禁となったもの。 これまでに教科書や各種のメディアから学んだ現代史の実態を最も理解させてくれる。 この本を読むと、戦後70年談話の想いも伝わる気がする。 歴史上、日本が侵略を犯したのは、豊臣秀吉と日中戦争のエスカレートの2回。日本人は決して好戦...続きを読む的ではなく、質素で無欲な国民性であること。それを一時期の一部の為政者により、いつまでも日本=侵略者とレッテルを貼られ、頭を下げ続けるようなことを将来世代に引き継がせてならない。真の独立国家として、自立して歩んでいこうと意思を示したかったのではないかと。 いま、関税戦争が起こっている。80年前ならリアル戦争、いま、実力行使に出る国があるだろうか?一方、ウクライナでは大国のリアル侵略を受けている。軍隊を持つことは戦争ができる国になることだと主張する輩がいる。歴史を振り返ると、軍隊があっても戦争をしてきた国ではないし、戦争を呼び込んだのは、軍隊の存在ではなく、為政者の誤認である。特に、国民を代表する人たちには、自国を卑下し、貶めるような主張は止めてもらいたいと思うし、教育を見直してほしい。
日本のペリー来航による1854年の開国から1945年の敗戦までを描く。 日本は西洋のやり方を学んで西洋の仲間入りをした。そして先生に教えられたように「法的に正しく」朝鮮、満州を手に入れた。 ただ一つ間違っていたのは先生に歯向かったこと。そこに正義も不正義もない。 本書は1948年にアメリカ人女性に...続きを読むよって書かれたものだが、「アメリカの鏡、日本」のタイトル通り、日本がやった事はアメリカや西洋がやってきたそのものなのに、アメリカが日本を懲罰して教育しようとしている矛盾を指摘している。 マッカーサーによって日本では発刊禁止になった本だが、国際政治での正義や理想は強国の利益の為の欺瞞に過ぎないという、現在でも変わらない現実を見事に描いている。 ウクライナ戦争で民主主義を守るという名目で金と武器を渡して専制主義国家ロシアと戦わせるアメリカの態度は、日中戦争で蒋介石中国を支援して軍国主義国家日本と戦わせたやり方と同じ。 当時の日本は今のロシア以上に危険視されており、好戦的民族である日本が世界征服を企んでパールハーバーを攻撃したというのがアメリカでの報道のされ方であった。 大国が正義を語る時は疑ってかかる方が良い。
GHQ労働局の諮問機関である11人委員会の一人である著者が、日本に対する占領政策について論じた一冊。 米国で出版されたのは1948年だけれど、当時はマッカーサーが邦訳を許さなかった。 「私たちは自分たちの行為なら犯罪と思わないことで日本を有罪にしている。これは正義ではない。明らかにリンチだ」とのよう...続きを読むに連合国を断罪しているためか。 著者はこの当時既に真珠湾攻撃は奇襲ではなく、当然の帰結であったとして見做している。 満州占領は日本にとって国家経営の先生であった英国が従来して来たことを、法に基づいて行ったに過ぎず、もし白人国家が同じことをしたならばリットン調査団の報告書は違ったものになっただろうという。 更に日本は満州における列強の不平等条約をなくそうとしたが、これは当該地に権益を持っていた連合国にはできない所業でもあった。またアジア解放の盟主になり得る日本は、植民地を失う国々にとり決して許せる存在ではなかった。 それ故に日本について、世界で最も軍国主義的であり世界征服を企てているとのレッテルを貼って究極の悪として位置付けた。そうした事情の上で日本を再教育する資格がGHQにあるかを問い掛けている。私はないと思う。 戦史研究が進んだ現在でもこういった言説がアメリカ側から出されたら驚くと思う。それなのに、この本が戦後すぐに書かれていたというのがもっとびっくり。 日本人はもちろん、アメリカをはじめとする連合国側の人たちに読んでもらいたい本。 抜粋の感想しか書けなかったけれど、内容はもっとすごいので。よくまあこれだけ言えるなぁ、と。近代戦争史の教科書にしてもいいくらい。 アメリカは日本を罰するけれど、鏡に映った自身の姿は日本と同じものなのではないか。 そういった意味が題名に込められていそう。
米国人の日本研究者が、占領の始まる時点で、日本が鎖国終了以来国際関係の中に置かれた経緯を、列強との関係を中心に大局的に見通している。 日米戦争を中立の視点から描かれると、まったくそうであったに違いないと思う。最初から戦争になっていない。 日本人がそう見ないよう、占領軍が施した洗脳は、今もって有効...続きを読むであると感じる。
パールハーバーはアメリカ合衆国の征服を企んで仕掛けられた一方的な攻撃であるというが、この論理では日本を公正に罰することはできない。なぜなら私たちの公式記録が、パールハーバーはアメリカが日本に仕掛けた経済戦争への反撃だったという事実を明らかにしているからだ。パールハーバーは青天の霹靂ではなく、然るべき...続きを読む原因があって起きたのだ。原因は、1941年7月25日にアメリカ、イギリス、オランダが打ちだした「凍結」令である。三国は自国領内にある日本の全資産を凍結し、貿易、金融関係をすべて断絶した。 こんな文章が載る本書が書かれたのは、第二次大戦が終わった3年後の1948年。そして、書いた人物は、アメリカの白人の研究者。この事実に覚える衝撃は決して小さくない。 著者は、1920年代に日本や中国を訪れて東洋学を研究し、大戦中は米国の大学で日本社会などについて講義をしていた人物。大戦直後の1946年にはGHQの諮問機関の一員として再来日を果たし、労働基準法の策定に携わる中、本書を著した。著者が拠って立つ基本的なスタンスは、「侵略行為」と見なされた日本の行動は、欧米列強がそれ以前にさんざん行ってきた植民地拡大政策と同質のものである、というものだ。だから、本書のタイトルも「鏡」なのである。本書の魅力は、単なる日本びいきに全くなっていない、というところにある。アメリカの日本に対する行為の中に見える自己欺瞞を、まるで第三国の視点であるかの如く客観的に論じている。そのロジックの組み立ては極めて冷静で、時の元帥マッカーサーが本書の邦訳を禁じたほど、”公正”に徹している。 戦争というものは起きるものではなく、起こされるものだということも、本書は示唆する。戦前の日本がアジアに進出した行為は、軍事的要素より、政治・経済的要素が強かった。しかし、アメリカはその事実を覆い隠し、『日本人は好戦的でファナティックな軍国主義者である』と徹底したプロパガンダを行った、と指摘する。悲しいかな、こうした強者のロジックで戦争が起こされることを示す事例は、第二次大戦が最後ではなく、ごく最近も起きていることに気づかざるを得ない。
この本が終戦から間もない1948年に出版されていることは驚きだ。ペリーが来航して開国以来、日本は欧米、特にアメリカの背中を追いかけて近代化を成し遂げてきた。しかし何処で間違えたのか、やがて欧米と敵対し太平洋戦争へと突入していく。その日本の姿をアメリカを写す鏡であり、欧米がアジアで拡大させた植民地支配...続きを読むとパワーポリティックスの結果であると著者は看破する。戦勝国に「正義」がなかったのであれば、正義はどこにあるべきであったのか。北朝鮮の核をめぐる問題の行方が見えない東北アジアの行く末を考える上でも、考えるべき課題である。
歴史の評価には慎重でなければならない。日本が無謀な戦争に踏み込んだのは確かではあるが、あらゆる面からみて悪であったのか?アメリカはあらゆる面で正しかったのか?そして、そこから我々がくみ取るべきものは何か?戦前の日本には受け継ぐべきものは何もないのか?改めて考え直す必要があるだろう。
きっとたまに読み返すだろうな。 敗戦国日本は口をつぐむしかないし、日本人は後から何か言うことを言い訳と考えるから。。。 公平なアメリカ人がいたんですね。
著者のヘレンミアーズと言う人は何と聡明な人だろう。アメリカ人にしてここまで正確、かつ客観的に近現代日本史を理解し、極めて高いバランス感覚を持っている。稀有の存在だと思う。 題名にある『鏡』の意味は訳者あとがきに書かれてある通りだが、もう一つの意味を読み取ることもできる。つまり戦前の日本為政者の考え方...続きを読むは、当の日本人にはそれぞれの主義・思想のフィルターがかかって却って真実が見えにくいものだが、客観的視点を持つ外国人研究者の目に反映させることによって、当時の国際情勢を踏まえた正確な、色のつかない事実を見ることが可能になる。『鏡』がなければ自分の正確な姿は決して見えないのだ。 この本は全ての日本人必読の書であるが、何とも皮肉なことは、この手の本を読もうとする人は読む必要のない人たちであり、本当に読むべき人は決して手に取ることがないことである。誰かマンガかドラマにでもしてくれないだろうか。
まだ読み途中。ユーモアを交え、淡々と状況を描写。なぜこれがマッカーサーから発禁処分を受けたのか不思議…あまりに素直に記述しているため都合が悪かったのか⁇ 英文でも読みたい。
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アメリカの鏡・日本 完全版
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ヘレン・ミアーズ
伊藤延司
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