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幼い頃に住んでいたアパートの隣の住人が忘れられないエリ。毎日、部屋の鍵をかけずに出かけていくその隣人は自分に解放区を与えてくれたのだ。少女の遠い憧憬を描いた表題作ほか4編を収録。
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Posted by ブクログ
『ダリアの帯』とも共通しますが、 登場人物がどんなにお茶目でかわいくても、 そこに描かれているのが どれほどほのぼのとした日常風景だったとしても、 どうにも拭いようのない、 ほのかな死の匂いが漂っています。 平凡で幸福な女子大生が、 突然、奇病に見舞われ、急速に老化が進行してしまう 「8月に生まれる...続きを読む子供」(1994年)は 女にとって、かなりホラー。
びっくりした。 青い 固い 渋い が、特に特に、すごかった。本当にすごかった。 こんなにかわいらしく、ずるさを描けるのか。 こんなに爽やかに、可愛いらしく。 愛が深くて鋭くて、本当にすごいびっくりした。
まわりに流されない大島弓子ワールド変わらず。 最近の猫漫画では本来の大島弓子はたのしめない。 あれはあれでいいけれど、このロストハウスを見て、自分は自分でいいと思える瞬間を感ぜられて、それが私が大島弓子を愛する訳の一つなのだ。 バナナブレッドのプディングの衣良ちゃんから続く、この世にあいにくい子たち...続きを読む。 生物としてほんとに愛おしい。
ラジオドラマで聴いていたけれど、絵になるとやはり格別の風味。 とにかくモノローグが絶妙なんだ。 少女や少年に入り込めてしまうのだ。 そして作者の優しい眼差しと、ホラーな視線。 ちなみに。 女の子の怒った顔ってかわいくていいなぁ、 と読書中思っていたが、読後、現実に帰ってはたと気づく。 ...続きを読む あ、かわいい女の子の起こった顔がいい、と混同していた。
「自分のおうち」って? そんなことを考えながら読んだマンガ。ラストの主人公の「気づき」に、とても開放感を感じました。
おすすめの漫画は、と聞かれたら、大島弓子と答えるのだけど、反応は薄い。なんでだろう。季節の描写とか、セリフの一つ一つがとてもきれい。「8月に生まれる子供」は、寝る前に読むと老いるとか死とかについて考え込んでしまう。
大島弓子は何を読んでも素晴らしい。 素晴らしいのだが、それを百も承知で言うとすれば、今回初めて読んだこの短編集は最高傑作(のひとつ)だと思う。 平成になってからの作品ばかりだが、とにかくどれもこれも恐ろしいほどクオリティが高い。そして、彼女らしい幻想と哲学が全開だ。 そこで描かれるのは、世界の...続きを読む終りと向き合う田舎の女子高生、都会から田舎へ移住した若いカップル、若年性痴呆症にかかった女子大生などなど、なにかしら欠落を抱えた、あるいは欠落に向き合おうとする人々だ。 残酷な現実とそれを乗り越えるための幻想。 そして、跳躍はいつも意図せずふいにやってくる。 欠落はなにも変わらない。 だが世界の全てが突然輝きだす瞬間。 それらの作品のあまりの説得力に、本を閉じ、そんな奇跡にひょっとしたら自分も出会えるのかもしれない、と思う。 例えば、表題作の主人公の女の子が思うように。 「わたしは/わたしの前で/世界のドアが/とつぜん/開け放たれて/いくのを/感じていた/この世界の/どこでも/どろまみれになっても/思い切りこの世界で/あそんでもいいのだ」 そう、思い切りこの世界であそんでもいいのだった。 それをたった今思い出した。
そう、世界は既に開かれているのだ。 様々なことに絡めとられて見えなくなってしまっているだけで。 わたしはただそれに気づくだけでいいのだ。
「8月に生まれる子ども」 青春の真っ只中で、急に老化が始まる少女。 肉体的にも、精神的にも加速度をつけて、変化していく。 症状が進み、ついには自分が何者かということも細切れの意識のなか、ゆがんだ字で手紙を書く。 たとえこうこうと眠るだけになっても、どんな姿になろうと、最後の最後まで生かして欲しい、と...続きを読むいう内容だったと思う。 自分なら、そんなこと思えない。絶望すると思った、、、。 初めてこの本を読んだときは、まだ学生だった。 30代の今、読み返せば、生きたいというその少女の言葉に救われる思いがする。 また、時間を置いて読み返したい。 生をまっとうすることについて、色々思いを馳せます。
この中の8月に生まれる子供という作品はすごいインパクトだった。 実際、早老症というのは聞いたことがあるが、 肉体の老化と精神の老化のバランスがとれないというのは 大きな不幸だろうけれど、普通の人には見えないものが見えることが あるのかもしれない。
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