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あの夏、私たちは「家族」だった――。息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、父・孝蔵とは絶縁状態にあったが、認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。父との葛藤と息子の死に対する自責の念にとらわれる千紗子は、事故によって記憶を失った少年の身体に虐待の跡を見つけ、自分の子供として育てることを決意する。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は、幸せなひとときを過ごす。しかし、徐々に破局の足音が近づいてきて……。切なさが弾ける衝撃の結末――気鋭のミステリ作家が描く、感動の家族小説。
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◾️サマリー
・タイトルには二つの意味がある
・生みの親より育ての親
・ミステリーと感動の両方が味わえる
◾️所感
女優の杏さんが主演を務めた映画版のタイトルは、「かくしごと」である。「嘘」にしないことでタイトルに温かみが宿ったように、私は感じた。
嘘をつくと嘘を真実のように見せるため、また嘘をつく。嘘を嘘で塗り固めるとは、昔の人は実にうまく言ったものだと感心する。嘘がバレないように祈りながら暮らしていくと決めた主人公の千紗子。とある事で出会った少年を息子として育てると決めた千紗子。自分が産んではいない少年のことを、千紗子は身を挺して守ろうとする。血のつながりを超えた母親の覚悟を描く場面は、読み手の心にグッとくるものがある。
本書はとても贅沢な一冊である。ミステリー系にも感動系にも分類される。
そして私は映画よりも小説のラストが好きである。
嘘を突き通したのは、本当はだれなのか?
最後の最後で、本書はミステリー小説に様変わりする。
Posted by ブクログ
現実を嘘で塗り替えた物語。とても良かった。
ずっと不穏だったけど、なんとか着地。
父孝蔵は認知症だ。仏像を彫り続けている。介護保険の認定が一ヶ月ほどでおりれば公的施設の空きを待って施設に入れられる。それまで千紗子は同居するしかない。
福祉課に勤めている久江が見に来てくれて、近所でいっぱい飲んだが、久江が飲酒運転で男の子をはねてしまった。千紗子と久江は男の子を家に連れて帰る。少年の身体には虐待の跡があった。
バンジージャンプをして行方不明になっている9歳洋一くんのニュースが流れた。千紗子は虐待される家に返すわけにいかないと世話をする。本当かどうか少年は記憶がないという。買い物から帰ると少年がいなくて、探したら父と粘土をこねていた。
千紗子は少年に拓未という名を与える。拓未は千紗子が語る親子エピソードをノートに丁寧に取っていく。孝蔵がモノ取られ妄想に取り憑かれる。父の日記をみつけ、千紗子は少し父を許す。だんだん父の認知症が進んでくる。だが拓未の実父がゆすりにやってくる。
Posted by ブクログ
絶縁した父が認知症になり施設に入れるために帰郷した女性が、昔の事を覚えていないという虐待が疑われる子に「自分の子」と嘘をつくお話
以下、公式のあらすじ
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あの夏、私たちは「家族」だった――。 息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、父・孝蔵とは絶縁状態にあったが、認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。父との葛藤と息子の死に対する自責の念にとらわれる千紗子は、事故によって記憶を失った少年の身体に虐待の跡を見つけ、自分の子供として育てることを決意する。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は、幸せなひとときを過ごす。しかし、徐々に破局の足音が近づいてきて……。 切なさが弾ける衝撃の結末――気鋭のミステリ作家が描く、感動の家族小説。
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主な登場人物
千紗子:旧友からの連絡を受け、認知症になった父を施設に入れるために帰郷した絵本作家
孝蔵:認知症を患い、現在は仏像彫刻にいそしむ千紗子の父
拓未:虐待の末に川に流され、事故の縁で千紗子に救われ、前の事を覚えていないという少年
亀田:孝蔵の幼馴染の医師
久江:千紗子の幼馴染で市役所の福祉課職員のシングルマザー
序盤から、絶対に良い結末にはならないだろうな、と邪推してしまう
事故の隠蔽もそうだし、虐待の疑いのある子を診察させない事もそうだし
何より、子供が覚えていない事をこれ幸いと「私の子なの」と嘘を吐くあたり
嘘を一つ吐くと、様々な齟齬の辻褄を合わせるために重ねて嘘を吐き続ける事になる
でもそれは、一般的には悪いイメージがされるけれども、この物語では大切な人を、絆を守るための優しさに溢れた嘘になっている
嘘を真実にするための努力かぁ……
ただまぁ、だからこそ却って辛い展開になるのはそうなんだけど
千紗子の吐いた「嘘」が少年を救い、少年をきっかけに認知症の父を許す事になり、そして千紗子自身の過去を慰める
この小説を原作にした映画「かくしごと」を先に視聴
序盤からその可能性は考えていたので、ラストの展開に意外性はなかった
でも感動するよなぁ
そして原作の小説はラストがちょっと違うというのを目にして読んだわけだけれども
見ている人、読んでいる人への意外性という意味では「嘘」や「かくしごと」というタイトルの本当の意味が判明するという同じエッセンスの仕掛けになっている
ただ、映画のラストの方が行動に納得感がある
どこまで先を予想していたかによるけど、あそこで虐待の事実とすべてを話していれば情状酌量の余地はあったわけで
保身のために黙秘する事で千紗子の罪が重くなっている
まぁ、子供にそこまで考えろというのは酷か……
あと、千紗子にしてもそっちの方がある意味で救われているのだろうなぁ
小説の方は、角田光代さんの「八日目の蝉」のさらに良い終わり方にしたように感じた
あっちは赤ちゃんの頃に攫われて、最初から母だと思っていたし、虐待云々の過去はないんだけどね
小説と映画の違いで言うと、父の日記の存在の有無やお祭りや近所の人との僅かな交流の有無くらいか
物語の本質としてそんなに違いはない
物語の本質とは関係ないけど
認知症老人の心理的な側面を想像できたのはよかった
まぁ、亀田医師の言った事が、どれだけ本当の医学に基づいたものかは判断できないんだけどね
それにしても最近、認知症の人が登場する小説をよく読んでるなぁ
Posted by ブクログ
NSFMさんのレビューで知った本です。
NSFMさんありがとうございます。
文庫うらすじより引用
あの夏、私たちは「家族」だったー。
息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年絶縁状態にあった父・孝蔵が認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。そんな中、事故によって記憶を失った少年との出会いが、すべてを変えていく。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は歪ながらも幸せな時を過ごす。しかし、破局の足音が近づいてきて…。
ミステリ作家が描く、感動の家族小説。
以上引用。
初読みの作家さんですが、作者は推理作家・SF作家だそうです。この作品は家族小説でした。
先日、中島京子さんの『長いお別れ』という認知症の小説を読んだばかりですが、今回はたまたま認知症の登場人物の出てくる小説にあたってしまったんです。
今回も認知症のお父さんの描写にはやはり読んでいてつらいものがありました。
三人が嘘から出たまことで家族になってゆく様子は温かく自然で、ラストシーンでは絶対にハッピーエンドにして!と祈るような気持ちで読みました。
あと、もしこれから読まれる方は、この小説は最後から読んでは絶対にダメです。
最後が一番の鍵です。
Posted by ブクログ
映画を見に行きたかったのに逃してしまい原作をと手にした。
のめり込んだ…ページを捲る手が止まなかった。
「嘘」から始まり「嘘」の積み重ねで出来上がった家族。
でもお互いに通い合う、寄り添い合う「心」には嘘がなかった。
真実が明かされて幸せになる人は誰もいない…ならばこのまま何事もなく家族の温かな時間が流れていけばいいと思ってしまった。と同時にどんな形で真実が暴かれてしまうのだろうと千紗子と共にドキドキ、ヒヤヒヤ…罪悪感を共有したようにいつか来るであろう現実に怯えながらページをめくっていた。
「嘘」ってなんだろ
こんなにも「嘘」に救われている人々がいる。
ついた「嘘」を共に守ろうとしてくれる他人もいる。
「嘘」とは知らず…そしてそれが「嘘」と知っても見離さなかった他人もいる。
全てを知って暖かく守ってくれる人達もいる。
きっと千紗子と拓未の愛が本物だとわかってくれていたから。それほど2人の愛が切実だったから。
読んでいる途中、きっと本当の嘘つきは千紗子ではないと思った。
そしておそらく…本当の嘘つきはもう1人いたと思っている…勝手に ^^;
Posted by ブクログ
北國浩二さん著「嘘」
観ていないが本年6月に「かくしごと」というタイトルで映画化されたとの事。
書店で帯に惹かれ購読する事に。
感想を先に書いてしまえばとても感動的な物語だった。読みようによっては道徳的な物語にも感じられる。
作品は角田光代さんの「八日目の蝉」を彷彿させる様な作品で特殊で愛情深い親子愛が描かれている。
作者は男性だが女性作家さん顔負けの作風で本当に女性作家さんが書いているのでは?と疑うほど母性愛の表現力が素晴らしい。気付けば主人公千沙子にかなり肩入れしながら、ドップリと感情移入させられながら読まされていた。
タイトルにもなっている「嘘」。
結構最初の段階から少年の記憶喪失は少年がついている「嘘」なのだろうと気付いていたが、終盤にかけて「嘘」を本当の自分の姿へと変えていく展開には舌を巻いた。この展開は予想外で最高の展開だったのでは?と強く感じられる。
親子間のやり取りも見事で、千沙子が拓未に諭す道徳観溢れる教育は素晴らしいという一点に尽きた。優しさと愛情溢れる教育がとても素敵だった。本当の親子以上の愛が読み取れた。
前情報無しで手にした作品だったが、とんでもない名作だった。
素晴らしかった。
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小説・文芸
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