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Posted by ブクログ
「用語事典」と聞くと堅い本を想像するが、本書は読み物としての起伏が大きい。編著者・山折哲雄の導入は、仏教を文明論として捉え直す大胆さがあり、そこから各項目の簡潔な解説へ滑り込む構成が気持ちよい。教理の精密な体系化より、民俗仏教や死生観、他宗教との習合を太く扱うため、仏教が日本文化のどこに沈殿しているかを探りたい人に向く。
とくに「無我」を日本的に「無私」へ読み替える視点、そして「葬式仏教」批判への応答(鎮魂と悲しみの機能こそ原点)には、現代の仏教観を更新する力がある。神仏習合を"後世の付け足し"ではなく、仏と神の相互変形(秘仏化/神像化)として押さえる整理も、飛鳥〜奈良期の宗教景観を描く際にブレが減る。能・狂言や絵巻といった芸能・表象の話題も豊富で、宗教知識が文化史へ開いていく感じが良い。
一方で、著者の独自解釈を強めに感じる箇所もあるので、厳密な教理学だけを求める人は注意。図解(印相、伽藍配置、系図)のおかげで、用語の"位置"が掴みやすいのも実用的。導入エッセイは詩的でイメージ豊か、用語解説は客観的で簡潔と、読むモードを切り替えながら進める構成になっている。仏教を"文化・習慣のルーツ"として知りたい人、死生観や習合に関心がある人に確実に届く一冊。
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