生命のしなやかさと多元性を生み出す「DNAの偽装」。エピゲノムは同じDNAの配列を用いて柔軟で多様な表現型を生み出すしくみだ。生物はエピゲノムを獲得することで環境にしなやかに適応する力、複雑な体を作る能力、記憶や認知能力を得た。エピゲノムの世代を超えた影響や、病気との関係も明らかになってきた。遺伝の概念を覆す生命科学の最前線。(ブルーバックス・2013年8月刊)
Posted by ブクログ 2019年03月20日
生物の細胞内のDNAがコピーされてその設計図を元にタンパク質が作られる事で生命活動が維持されるという知識は一般に普及しているが、この本ではDNAに備わる別の機能である「エピジェネティクス」に関して丁寧に解説している。エピジェネティクスに関してはまだ教科書的な知識として普及してはいないが、現代の分子生...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年09月23日
源氏物語からの導入はとてもわかりやすくて、洒落ている。
全く源氏物語の例えは言い得て妙で、中身は同じでも、服によって人の雰囲気は変わるものだ。ビキニを着たら泳がないといけないし、喪に服したら派手なことは控えないといけないだろう。そのばその場の環境に合わせて、DNAの「服」が、ドレスコードのように一...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月02日
エピジェネティクスについて学ぼうと思い読みました。
全く同じ遺伝情報を持っていたとしても、環境が違えば表現型が異なることがある。この現象は、ヒストン修飾やDNAのメチル化などによって引き起こされるエピジェネティクな遺伝子の制御によって説明できる事が具体例を交えながら分かりやすく解説されていて、勉...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年11月08日
全般的に難しかった。それは用語の難しさから来ているように思う。しかし、じっくり読めば、生命発現の基本的な機構は理解できる。
日本人がノーベル賞を受賞したiPS細胞やオートファジーなども出てきます。
*興味深い話題
・女性でスーパー色覚を持っている人が8人に1人いる。
・顔の形を決定する遺伝子は5つ...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年01月15日
分子生物学・遺伝学の専門家が、「エピジェネティクス」の世界を解説したものである。
従来、遺伝形質の発現は、「DNA→RNA→タンパク質」という全ての生物に成り立つ遺伝情報の流れにより、DNAに記録されている遺伝情報が実現した結果とされる、「セントラルドグマ」と呼ばれる原理で説明され、その形質の変化と...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年11月20日
最近の生命科学の発達は著しく、なかでもDNAにまつわる研究は枚挙に暇が無い。様々な病気や、障害の原因DNAが次々と発見され、素人目には、まるで寿命から知能指数、性格に至るまで、ほとんどすべてがDNAで決まってしまうような錯覚に陥る。しかし、だからといって一卵性の双生児が、まったく同じ人間に成長するこ...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年09月27日
分子遺伝学のホットトピックであるエピジェネティクスを紹介した一般書の中ではかなりオススメできる本.高校生物程度から解説が導入するので,じっくり読んでいけば理解できると思います.
ただし,用語は大学レベルのものがガンガン登場するので,重量感のある印象をうけるかも.読み切るのは簡単ですが,この本の内容を...続きを読む