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Posted by ブクログ
ドブ川のほとりのベンチでいつもうたた寝をしている老女。川沿いの、長屋のような安アパートに住んでいる。身寄りはないらしい。
うたた寝の彼女が遊ぶ妄想の世界では、彼女は豪邸に住む四姉妹の長女。ドレスを仕立てたり、ご馳走の食べ過ぎでウエストを気にしたり。現実の彼女の部屋には何もない。ちゃぶ台と数冊の童話。そんな生活を嘆くでもなく日々は淡々と過ぎていき、町の人々もそれぞれの毎日を抱えながら彼女の傍を通り過ぎていくーー。
柔らかな絵で静かに淡々と進む物語。なのに時折り、思いもよらないほど、胸のつぶれるように切ない一コマが挟まれる。これが池辺葵さんだ。
ある夜。老女がいつも口ずさんでいる歌を、同じアパートに住む工員がレコード屋で探してきてターンテーブルに針を落とす。音が筒抜けのその安アパートで、いつもはすれ違うだけの住人たちが皆で耳を澄ましている。工員と老女は、恐らく終生言葉を交わさなかっただろう。それでもここに、こんなに優しい触れ合いがあった。いつか消えてしまっても、そういう夜があったのだと。
他人の人生を、幸せだとか不幸だとか決めることは、出来ない。誰もがただ生きている。私も、皆も、これからも。
ほどよい読後感
繕い断つ人が好きでチェックはしていたんだけど、
試し読みで孤独な老人の悲しい話かと思い敬遠していました。
読んでみると淡々としていて暖かみのある優しいお話でした。
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