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ストーンヘンジの先史時代から、ローマやヴァイキングの到来、ヘンリ八世の離婚とイギリス国教会、名誉革命や産業革命、ヴィクトリア時代、二つの大戦を経た現在まで――。さまざまな要素を取り入れ複合社会を形成するイギリスを、繊細かつダイナミックに描く。最新の研究成果を反映、読み物としての面白さも追求した、意趣に富む全10講。
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Posted by ブクログ
英国史10講』は、英国史の通史をコンパクトに学べる新書である。平易な筆致で要点が整理されており、英国史の流れを一冊で概観できる点は大きな魅力だ。ただし、記述は必要最小限に絞られているため、王朝交代や宗教改革、大英帝国の拡大など、背景にある世界史的な動きについて基礎的な理解があるとより理解が深まる
イギリス史の大家による新書。イギリス史の始まりから現代までを非常にコンパクトに、興味深くまとめられている。コンパクトではあるが、全体を貫く緊張感は知的な心地よさを感じる名著である。 10講とあるので、教科書的な叙述を想起させるのだが、内容はまったく教科書的ではなく、むしろ逆に教科書で書かれているよ...続きを読むうな内容を最新の歴史学、イギリス史研究の成果をもって覆しつつ、それでいて小難しくないところが良い。 たとえば、中世末。「長い16世紀」を迎える直前の、第1次百年戦争の叙述。本当の争点は、クラレット、「すなわち鮮明な赤ワインこそ、百年戦争の第三の、いや本当の争点だったかもしれない。」(63ページ)。そして、「一七八六年、英仏は通商条約を結び、これによりイギリスは赤ワイン(クラレット)を安価に入手し、工業製品の販路をフランス国内に確保した。[中略]英仏の経済は、一つの条約だけで運命を分けたわけではないが、八〇年代に両国は決定的に分岐する。」(184ページ)。ほかの箇所でも、赤ワインについて繰りかえし叙述されているが「それだけ重要だからである」(あとがき)。 「グローバル化」も全体を貫くライトモチーフである。最初のグローバル化は「長い16世紀」の時代。そして革命の17世紀を経て、「産業革命」の18世紀が第2のグローバル化。現代の我々が迎えているのが第3のグローバル化であり、いずれにおいてもイギリスは最重要なアクターであり、結節点であった。1688年の「名誉革命」も、「ホウィグ史観が礼讃した輝かしい「無血革命」とはイングランド国内だけの話で、ブリテン諸島でもヨーロッパでも、これは有血革命であり、戦争であった。」(145ページ) 第6講「財政軍事国家と啓蒙」・第7講「産業革命と近代世界」は経済史的な長期変動、思想史的な「啓蒙、商業社会、モラル[社会]哲学」の展開が重要なテーマであり、かつそれとの関係で第2のグローバル化と日本との関係も語られる(193〜197ページ)。 そのほかにも本書の読みどころは多々あるが、近現代に入ると同時代を舞台に作られた映画や文学作品の引用が多くなる。イギリス史の俯瞰図をもって、そうした諸作品を見返したりすることも楽しそうだ。「小冊であるが、手間ヒマかけて制作した」(303ページ)と述べられるだけのことはある。
セクハラ・ヘンリー8世の合理主義、錬金術ニュートン先生の科学革命、雪だるまヴィクトリア女王の君臨すれど統治せず、秀才ケインズの同性愛と異性愛、就活に失敗したサッチャー首相の婚活成功・・・。徳川家康も夏目漱石も「80日間世界一周」も、盛りだくさんで、歯ごたえあるイギリス史(世界史)。知的な刺激にみちた...続きを読む読書に自分が向いているかどうかをためす試金石みたいな本。
9講(〜第二次大戦)までの内容の濃いこと、そして第10講の薄いこと…イギリスの凋落ぶりがこれでもかと言うほど如実に表れていて悲しみを禁じ得ない。 イングランドとスコットランド・アイルランド、国教会とカトリック、王権と民権、保守党と自由党(のち労働党)…様々な対立と融和の中でイギリスという国はその歴史...続きを読むを歩んできたと言えるだろう。特に清教徒革命の内実とフランス革命との違いについては興味深く読むことができた。
先史時代から現代までのイギリス通史。 帯に「基本書」とあるが、ある程度の知識がないとなかなか厳しい。 後半は政治に関する話も多く、正直一読では半分も理解できず……。 ただ、合間に挟まる王室のエピソードや首相の生い立ちなどは読んでいて楽しい→ 個人的にヴィクトリア女王のエピソードが好き。素敵なご夫婦...続きを読む。お子さんはドラ息子になっちゃったけど(笑) 昔から女王がいる国だから男女平等が根付いているのかと思ったら、最近まで女性には選挙権もないなど、意外と日本と似ているな、と思ったり。 18世紀には自国に特産品が少なかったのも驚き→ 中国や日本の陶磁器に勝てないから、ウェッジウッドは様々な工夫を経て成功を収めていたとか。繊維でもインドに勝てなかったとか、ほぅ……と楽しく読めた。 機会があれば他の作者のイギリス史を読んでみたい。 以下、読書中のツイート、覚書。 この文章が何回も出てくるんだけど、「聡明な読者」じゃない私は全然「ご承知」じゃなくて、私に岩波新書は敷居が高すぎたか、と泣いている。 とりあえず、とりあえず通読するんだ私?ピューリタンすらさっぱりだががんばれ私! (イギリス史10講、読書中) とりあえず宗教は争いのタネになるのはわかった(宗教にこだわりがない私にはこのあたりがイマイチピンとこない) 人口は国力なんだなぁ。人が増えるとそれだけで国は強くなる。人を増やすためには食料をどうするか考えなければならない。これが、政治力。なるほどなぁ。 そういえば昨夜のプロジェクトヘイルメアリーでも同じような話があったなぁ。 ちょっとまて。フランスが絡んできた。なんでイギリスの王位継承にルイ14世が絡むんだ?って亡命してるからか。まぁ元々嫁がフランスから来てるから親族なんよな。 オランダも関係あるし、ヨーロッパの歴史ムッズ!!学生時代世界史赤点ガールだった私にはかなーり壁が高い。 でもおっもしろーい! ニュートン出てきた!!知ってる人(←友達か)が出てくるとテンション上がるぅ〜!! てか、ニュートン、イングランドの人だったのね、天才数学教授だったんだ。あと、フランス革命の前にいたのね(歴史を知らなさすぎる人の呟きです、ご容赦くださいませ) ジョージ・ワシントンも出てきたわ!ヴァージニアの農場主だったのか……そりゃそうか……。 1789年ってフランスだけじゃなくイギリスやアメリカにとっても重要な場面だったんだねぇ。 (絶対世界史で習ってるけど、全く覚えてない。ベルばらでしか記憶できてない。オスカルー!!) オースティン出てきた!「傲慢と偏見」積んでるー!!ここに出てくるのかぁ。女子供の就労が規制されている時代の作家さんなわけだ。 ディケンズもいつか読みたいんだよなぁ。英国作品、読みたい物語まだまだあるなぁ。 声出して笑ったら息子に「え?なになに?」って近寄られた。 本読んで爆笑する母ちゃんですまぬ。 でもこれは笑う。 エドワード王太子の扱いよ(笑)次のページでの晩年のヴィクトリア女王の描写もすごいな(笑) 最後の方は政治の話で正直しんどかったけど、どうにか無事に通読できた……。 ノートにまとめて次に行くぞ!しばらく政治の話は読みたくない……(てか、イギリスの投票率70%ってすごいな)
ケルト人。大きな体格。身体に彩色。司祭ドルイド。文字なし。織物。金属工芸。金属武器。戦車。BC1世紀ブリテン島に住む。 帝政ローマ。初代オクタウィアヌスから始まり、クラウディウス(第4代皇帝)の時代に。60年。ブリタニア侵略。イングランド土着の”野蛮人”を制圧し、十一の王を帰順させた。▼イングラン...続きを読むドでは、ケルト人イケニ族の女王ブディカがローマ軍に反撃。※ビッグベンの近くにブディカ像あり。スコットランドでは、ケルト人の族長カルガクスがローマ軍に反撃。▼帝政ローマ、イングランドを支配するため、軍事的な拠点を作った。カンタベリー、ウィンチェスター、エクセター、グロスター、チェスター、ノリッジ、リンカン、ヨーク。統治の中心としてテムズ川の北にロンドンを作る。公共浴場も置かれた(バースBath=浴場)。 キリスト教。テオドシウス国教化(392)。西ローマ、ブリタニアから撤退(409)。5世紀に聖パトリックがアイルランドにキリスト教を伝えた。その後、教皇グレゴリウス1の命によりアウグスティヌスがゲルマン人のケント王国(イングランド南東の端)の都カンタベリーに教会を作った(597)。アウグスティヌスはカンタベリー大司教の初代。※神の国のアウグスティヌス(354-430)とは別人。 ノルマン人による征服(1066)。ウィリアム1。検地帳を作った(Domesday Book)。領地の広さ、図面、権利関係、家畜の数。▼住民は古英語、新領主は古フランス語。家畜はox, cow, sheep, swine(古英語)で呼ばれ、領主の食卓に上がるとbeef, mutton, pork, bacon(古フランス語)で呼ばれた。農民の食事はmeal(古英語)、領主の食事はdinner(古フランス語)。▼百年戦争に負け(1453)、カレーを失って(1558)も、歴代の王は「イングランド王にしてフランス王」の称号を使い続けた。1800年に廃止。 テューダー家メアリ1。カトリック教徒。国内のプロテスタントを虐殺。イングランド人はカトリックを敵視するようになり「自分たちはプロテスタントだ」という意識が強くなる。▼ハプスブルク家フェリペ2(1527-98)。カトリック勢力を拡大してネーデルラント支配をより確固なものにするため、ネーデルラントの隣国イングランドのテューダー家メアリ1と結婚することに。結婚式のため英にやってきたフェリペ2。メアリ1に初めて会った感想。「全然かわいくない。服装のセンスが悪い。強い近視。まるで聖女」。 産業革命。成長率は年1%程度で、急激な変化が起きたわけではない。 British Museumを訳すと英国博物館であり、「大」英博物館ではない。 死者数(人口比) 第1次大戦:仏4.3%, 独3.8, 墺3.1, 英2.2★, 露2, 米0.1, 日0 第2次大戦:露14%, 独墺9, 日4, 仏1.4, 英0.9★, 米0.3 英では死者数は1次大戦の方が多い。英でThe Great Warといえば、1次大戦を指す。 remembrance poppy退役軍人への支援チャリティ。 1960年代、進歩主義的な自国史批判。ペリー・アンダーソン(想像の共同体ベネディクトの弟)。西欧(仏)の理念型に照らして英国史に欠けている(遅れている)要素があると主張。独自の世界を持たず貴族にひざまずく英の俗物ブルジョア、利益にしか関心のない英の組合労働者。こんなことになったのは英に「本当の市民革命」が無かったからだ。イギリスの丸山眞男。p.289 ※ブリテン島の一番高い山はベンネヴィス(スコットランド)。 『イギリス史10講』 ***************************** イギリス。女房を他人に売る。不仲な夫婦。妻の合意の上で、他の男に競りにかけて売却。妻からすれば、離婚と再婚を一度にやってしまう。民衆各層にひろく了解された慣行だった。p.14▼女は弱き性・半人前であり、放っておくと何をしでかすかわからない無秩序な傾向をもつとされた。法的に一人前の男の下位にあって、独立の人格として責任を問いにくい存在とされた。p.221『民のモラル』
大御所によるイギリス通史。 「近世」という時代を立て、16世紀以降を手厚く記述するというのが特色だそうだ。 世界史の授業で聞いたなあ。 でも、こんな話だっけ。 忘れてしまったのか、学説が変わったからなのか? 通史として読むと、高校の授業ではぶつ切りの状態で学んだんだなあ。 そんなことを思いながら読...続きを読むみ進める。 いくつか、印象的だったことを書き残しておく。 ・古英語の成立(7世紀ごろ) ゲルマンの諸部族が大ブリテン島に入ってきて、共通言語として成立したのが古英語。国としてのイギリス、いわゆる「イギリス人」が成立するよりも早い。 ・王位の正当性の三要素 血統の正しさ、賢人集団の推挙、神・教会の加護。中世から王朝が何度も後退したが、この原則がいつも確認されている。もうこう書いた時点で、イギリスのその後の紛争が起こるのがわかる気がする。特に「神の加護」。 ・王の称号の「、等(and et cetera)」 これは今回初めて知った話。ヘンリ8世以降「神の加護によりイングランド、フランス、アイルランドの王、信仰の守護者、地上における国教会の首長」というのが王の称号。しかし、その嫡女となったエリザベス1世は、ピューリタンの指導者ノックスにより「女性を国教会の首長に認めない」とされた。そこで、「…信仰の擁護者、等」という称号を編み出し、なんとこれが18世紀まで王の称号として踏襲される。 家康がジェームズ国王から受け取った親書にも、この称号があったそうだ。しかも、三浦按針の訳では、称号のこの部分がバッサリカットされているとか。 現代の、しかも外国人からすると非常に些末な問題のような気がするが、こんなところが政治にとって大きな問題だったりするのが、おかしい。 ・プロテスタントの意外な少なさ 王権の正当性にあれほど重視された信教なのに、1851年の国勢調査によれば、何らかの宗派のキリスト教徒でさえ、成人人口の4割を切る。さらに国教会の信徒は16.6%。この数値がショッキングだったからか、全国信徒調査はこれ以降行われていないという。思わず笑ってしまった一節。 ・ビアトリス・ポッタの結婚問題 ピーター・ラビットの作者として知られる彼女だが、夫となったシドニー・ウェブと、後世に残る研究も多数残している。テレビでも紹介されていた。 彼女が最初恋に落ちた相手は、ジョセフ・チェンバレンだったことは、今回初めて知った。もし、チェンバレンを夫としていたら、歴史がちょっと変わっていたかもしれないと思われる。 歴史家は、今は地名や人名を現地音に近いもので表記するという話を聞いたことがある。 そのため、上の「ポッタ」(一般的には「ポッター」と紹介されているはずだ)のように、ちょっとなじみのない表記が散見される。 「バキンガム」とか。「サッチャ」とか。ブリティッシュ・イングリッシュなのね、ということか。でも、「ホウィグ党」とか書かれると、ちょっと戸惑ってしまう。慣れの問題に過ぎないとわかっていても。
「礫岩」国家の発想が興味深かった。文化面も都度触れられており、総合的な英国史を学べたように思う。「日の名残り」にも言及あり。読みやすく面白く、大変勉強になった。 追記:作中で紹介されていた「英国王のスピーチ」は、映像・音楽・英語どれもが比類なき美しさで、稀に見る名画だった。
『時の旅人』で得た、イギリス史への関心を補完するものとして購入を検討中。 ①イギリス史の始まり ②ローマの属州から北海の王国へ ③海峡をまたぐ王朝 ④長い16世紀 ⑤2つの国制革命 ⑥財政軍事国家と啓蒙 ⑦産業革命と近代世界 ⑧大変貌のヴィクトリア時代 ⑨帝国と大衆社会 ⑩現代のイギリス
なぜ英語が世界共通言語?欧米人が世界的にリーダーシップをとれるのはなぜ?世界史を知らない理系男子がそうした疑問にaddressするためにとりあえず読んでみた本です。イギリス中心に日本を含めグローバルな歴史を学べて非常に面白い。
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