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Posted by ブクログ
2011年10月20日 第一刷発行
児童文学は、やり直しのきく物語だった。今、厳しい現実を突きつける児童文学も多い。だが、著者は子どもを目の前にすると、そんなものを読ませたくないと願う。
アニメ映画の監督として、何を作るのか、何を作れるのか、時流や世間を眺めて、今はファンタジーを書けないと、考えてしまうような、あの頃の3.11の空気感を感じさせるエピソードが、苦しくなる。
だが、それでも次世代である子供へのエールで締められる。焦土になりつつある2011、枯れ果て、終末が広がって、今(2011)本当に幼い子供たちが大人になった時に、生きていることを肯定する児童文学が生まれるのではないか、と願う著者の柔らかな感覚を感じる本だった。
Posted by ブクログ
宮崎駿さんの幼少時代の本とのむきあい方について軽くだが分かった。
彼は熱心に読んでいるわけではなかったらしいが、それでも本人に対する知識を持つ有しており、大切な50冊というものも、それぞれ読んでみよう思う。宮崎駿先生の作品、また、その周辺についてより理解というか、興味があるので、それぞれの本も読んでみたいと思う。特にチポリーノの冒険、アリス、ファーブルの昆虫記、聊斎志異には興味が出たので買って読んでみる。
なんだが、児童書というのは最高にワクワクするようなものであるなぁと改めて感じた。
少年というのは今は25歳ぐらいだと思うが誰だろう.....
Posted by ブクログ
岩波新書 1332(2011年刊行)
二部構成になっており、第Ⅰ部では、宮崎駿監督が長年親しんできた岩波少年文庫の中からお薦めの五〇冊をご紹介されています。
一部をご紹介しますと、
星の王子さま/バラとゆびわ/チポリーノの冒険/ムギと王さま/三銃士/秘密の花園/ニーベルンゲンの宝・・・思い出のマーニーや、床下の小人たちもありますよ。
第II部の1「自分の一冊にめぐり逢う」は、本との出逢い、2人の大先輩の石井桃子さんと中川李枝子さんのことについてなどが書かれていて、そして「本には効き目なんかない、振り返ってみたら効き目があったということに過ぎない。」親が何か効き目を求めて読ませようとしてもダメだと。「子どもの時に、自分にとってやっぱりこれだという、とても大切な一冊にめぐり逢うことのほうが大切だと思いますね。」と語られています。
2「三月一一日のあとにー子どもたちの隣から」では、東日本大震災以降の制作現場のことや、関東大震災、敗戦を乗り越えてこられた父親のことなどが語られ、「次の世代へ」で締められています。
久しぶりに読み返し、愉しい時間でした。
(再読は好きな部分を拾い読みしてしまい、感想が薄くてすみません。)
Posted by ブクログ
第I部は、スタジオジブリで作成された小冊子「岩波少年文庫の50冊」が元になっています。
第Ⅱ部の1「自分の一冊にめぐり逢う」は上の小冊子のインタビューとテレビ番組「ジブリの本棚」収録時の阿川佐和子さんとの対談を元に再構成されたもので、2「三月十一日のあとに」は今回の新たなインタビューが元になっています。
子供が生まれて、改めて現代を考えてみると、自分が生きてきた子供時代とは全く別物のように感じます。
価値観も多様になり、個人の自由度が増した分、何をどうすることが正解(良い選択)なのか、良くわからず、曖昧模糊とした世界にいる気分です。
親として子供との関係を考える中で、出会った一冊です。
p.163の著者の言葉がとても印象的でした。下記に引用します。
「要するに児童文学というのは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とはちがって、「生まれてきてよかったんだ」というものなんです。生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。」
Posted by ブクログ
2011年発行。スタジオ・ジブリのアニメーション監督、宮崎駿が岩波少年文庫からお薦めの50冊を紹介する。本書は小冊子「岩波少年文庫の50冊」に掲載された、それぞれの本の紹介とインタビュー記事に加え、テレビ番組「ジブリの本棚」(2010年8月BS日テレで放送)での阿川佐和子氏との対談を再構成し、著者自身が大幅に加筆したもの。「大幅に」というのが宮崎駿らしくて良い。
本書は前々から気になっていたが、最近児童文学に興味が湧いてきたのでついに「読機」が来たと思い拝読。宮崎駿作品のファンで関連書籍はだいたい読んでいたので、氏の思想やその姿勢には触れていたが、それでもジブリ作品の発想の源流を探るようでとても楽しかった。
本書で推薦されている本は宮崎氏の好きな本というわけではなく、知人の少年に向けて選ばれていて、氏が読んでいない本も載っているのが面白いところ。なので少年向きの本が多かったりで、児童文学の入門書的な立ち位置ではない。何より宮崎駿が面白い。「読機」という言葉を産んだ知の巨人、松岡正剛氏のブックナビ『千夜千冊』も、本のあらすじよりその解釈が面白いのだが、それに通ずるなと感じた。
個人的に面白かったのは、まだ若手の頃の宮崎駿が仕事に意欲が持てない時期があり、会社にあった児童文学をたくさん読んで(サボタージュして)引き出しを増やしたというストーリー。宮崎作品の特徴といえば、摩訶不思議なイマジネーションにあると思うが、それはこの時期に培ったのだと合点がいった。
絵や写真を観るより、文章からイメージを想像するのは労力がいる。児童文学を大量に読むことによって頭の中に湧いたイメージは自分だけのものであり、誰も観たことがない印象的なシーンを描く源泉になっている。アニメーションを観てアニメを作っても表現の幅は広がらない。絵を観ることで表現の幅が狭くなるというのは皮肉な話だが、素晴らしい物語を読むことによってイメージを養うことは大事なことだと思った。
また、現代の視野の狭さについての話も興味深かった。『歴史的視野とか人間のあるべき姿とかの大きな主題が、健康とか年金の話にすりかえられてしまいました』と警鐘を鳴らしている。15年も前の本なのだが、現在はますます酷くなっているように感じる。今、希望を持てるような「理想的な未来像」がない。心を育てるための映画や漫画の物語が、現実から逃れるための小さい世界になってはいけない。
現代こそ児童文学の「おおらかさ」から多くのことが学べるように思った。
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