あらすじ
「生まれてきてよかったんだ,と子どもにエールを送るのが児童文学」.自らの読書体験,挿絵の素晴らしさ,アニメと本との関わり,そして震災後の世界について──.アニメーション映画界のトップランナーとしてつねに発言を注目される著者が,お薦め岩波少年文庫50冊の紹介とともに,本への,子どもへの熱い思いを語る一冊.(カラー版)
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Posted by ブクログ
岩波少年文庫から50冊を紹介する小文と、少年文庫への思いから、アニメーション製作へと広がる。
紹介される少年文庫のうち、子どもの頃読んだことがあるのは、半分にも満たなかった。既読の作品への一言は、一瞬であの頃のわくわくやどきどきを呼び覚ましたし、未読の作品は手に取りたくなった。宮崎氏のことばは、人を惹き付ける。
ちょうど「ハイジ」を読んでいるところだ。ほとんどの作品に対しては、物語を読むことへ自然と思いが至るような書き方をしているが、「ハイジ」はちがう。
”アニメより原作を本で読んだ方がいいという人がいます。ぼくも半分くらいそう思っていますが,この作品は違うと思っています。見、読み比べてみてください。ぼくらはいい仕事をしたと、今でも誇りに思っています。”
本当に幼い頃、ハイジをみて育った私の胸が熱くなった。
宮崎氏は、若い頃、本は読まなければならないものだと思っていたという。何も知らないから勉強しなくてはならないという強迫観念にとらわれていたとも。必読書といわれるものを覚悟して手に取るものの、苦しくて読み切れないこともあった、なんと残酷な物語なのだ、と。曰く、児童文学の方が気質にあうのだ、と。
児童文学は「やり直しがきく話」、流行とは関係のない隅っこにあるものだと。
この本が出版されたのは、2011年。おそらく、最期の章は震災の後に書き足されている。
風が吹き始めた、生きるのが困難な時代が幕を開けた、世界規模でおそらく大量消費文明の終わりの第一段階に入った、という。これは、宮崎氏の父親が9歳で経験した関東大震災から第2次世界大戦へと続く時代の幕開けと同じものを見ているのだ、という。
死をはらみ毒をふくみ、人生を根こそぎにするような囂々と吹く風のなかで、正気を失わずに生きていかなくてはならない、と。
終わりの始まりに立つこの時代に、ファンタジーは作れない。幸せな物語が嘘くさく聞こえる。いずれ、新しいファンタジーは生まれるが、それは、本当の焦土になってからだ。次のファンタジーをつくるのは、今の子どもたちがこれからどういうものを見ていくか、その後に出てくるのだ、と語る。
ジブリの映画は、「この世は生きるに値する」ということを伝えてきた。だが、その時代は終わる。今が終わりの始まりだから。
2011年にこの言葉を書いていることに愕然とした。
私はその時、まだ何も見えていなかった。気がついていなかったから。
2026年になって、この終わりの始まりをひしひしと感じている。
やり直しのきく話である児童文学から、私たちは何を学ぶのか。
Posted by ブクログ
この本は2ヶ月くらいかけてゆっくり読みました。
児童書が読みたくなる本です。
宮崎駿という一流がお勧めしてる本なのですから、一流に近づきたい!クリエイターになりたい!
という人は何かのきっかけに出逢えるはずです。
世界的に有名な人の本が1,000円ちょっとで買えるなんて本当有難い。
岩波少年文庫のファンになりそうです。
Posted by ブクログ
2025/04/21
僕らは「この世は生きるに値するんだ」という映画をつくってきました。
生活をするために映画を作るのではなく、映画をつくるために生活するんです。
カッコいいなぁ。
Posted by ブクログ
2011年10月20日 第一刷発行
児童文学は、やり直しのきく物語だった。今、厳しい現実を突きつける児童文学も多い。だが、著者は子どもを目の前にすると、そんなものを読ませたくないと願う。
アニメ映画の監督として、何を作るのか、何を作れるのか、時流や世間を眺めて、今はファンタジーを書けないと、考えてしまうような、あの頃の3.11の空気感を感じさせるエピソードが、苦しくなる。
だが、それでも次世代である子供へのエールで締められる。焦土になりつつある2011、枯れ果て、終末が広がって、今(2011)本当に幼い子供たちが大人になった時に、生きていることを肯定する児童文学が生まれるのではないか、と願う著者の柔らかな感覚を感じる本だった。
Posted by ブクログ
宮崎駿さんの幼少時代の本とのむきあい方について軽くだが分かった。
彼は熱心に読んでいるわけではなかったらしいが、それでも本人に対する知識を持つ有しており、大切な50冊というものも、それぞれ読んでみよう思う。宮崎駿先生の作品、また、その周辺についてより理解というか、興味があるので、それぞれの本も読んでみたいと思う。特にチポリーノの冒険、アリス、ファーブルの昆虫記、聊斎志異には興味が出たので買って読んでみる。
なんだが、児童書というのは最高にワクワクするようなものであるなぁと改めて感じた。
少年というのは今は25歳ぐらいだと思うが誰だろう.....
Posted by ブクログ
やさしいことばで、力強く問いかけてくる。この世に生きていいんだって、当たり前のように思えていた子供時代を思い出した。子供の頃に出会った色々なワクワクを思い出した。大人になった今、そんなワクワクを感じてるだろうか。子どもに伝えられてるだろうか。これまでの人生と今の生活を受け止めてつなぎ合わせるように読み進めた。大好きな本です。
Posted by ブクログ
岩波新書 1332(2011年刊行)
二部構成になっており、第Ⅰ部では、宮崎駿監督が長年親しんできた岩波少年文庫の中からお薦めの五〇冊をご紹介されています。
一部をご紹介しますと、
星の王子さま/バラとゆびわ/チポリーノの冒険/ムギと王さま/三銃士/秘密の花園/ニーベルンゲンの宝・・・思い出のマーニーや、床下の小人たちもありますよ。
第II部の1「自分の一冊にめぐり逢う」は、本との出逢い、2人の大先輩の石井桃子さんと中川李枝子さんのことについてなどが書かれていて、そして「本には効き目なんかない、振り返ってみたら効き目があったということに過ぎない。」親が何か効き目を求めて読ませようとしてもダメだと。「子どもの時に、自分にとってやっぱりこれだという、とても大切な一冊にめぐり逢うことのほうが大切だと思いますね。」と語られています。
2「三月一一日のあとにー子どもたちの隣から」では、東日本大震災以降の制作現場のことや、関東大震災、敗戦を乗り越えてこられた父親のことなどが語られ、「次の世代へ」で締められています。
久しぶりに読み返し、愉しい時間でした。
(再読は好きな部分を拾い読みしてしまい、感想が薄くてすみません。)
Posted by ブクログ
宮崎駿さんが、どんなところに注目しながら児童文学を読んでいらっしゃるのかが分かる。
児童文学(岩波少年文庫)挿絵に描く想像、宮崎駿さんご自身がおすすめするポイント、一度は読み知るべき大切なこと…。
50冊をおすすめされていますが、今すぐに読みたい…!となります。
こうやってジブリ映画は生まれたんだな(原作からどう離れるかはさて置き)、と垣間見られ、こちらの想像力を掻き立てて貰えるのもとてもワクワクして良い。
「これはおもしろい!!読まないと損をします。」なんて書いてあるとにんまりが止まらなくなってしまう。
あと、石井桃子さんと中川李枝子さんについて書かれているところも面白かった。めっちゃ崇拝されている。その視線の上がり方がこちらまで伝わってくる。世の中のたくさんの人は宮崎駿さんのことそういう風に思ってるのに!
『児童文学は、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とはちがって、「生まれてきてよかったんだ」というものなんです。
生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。...「子どもにむかって絶望を説くな」ということなんです。』本書抜粋
Posted by ブクログ
第I部は、スタジオジブリで作成された小冊子「岩波少年文庫の50冊」が元になっています。
第Ⅱ部の1「自分の一冊にめぐり逢う」は上の小冊子のインタビューとテレビ番組「ジブリの本棚」収録時の阿川佐和子さんとの対談を元に再構成されたもので、2「三月十一日のあとに」は今回の新たなインタビューが元になっています。
子供が生まれて、改めて現代を考えてみると、自分が生きてきた子供時代とは全く別物のように感じます。
価値観も多様になり、個人の自由度が増した分、何をどうすることが正解(良い選択)なのか、良くわからず、曖昧模糊とした世界にいる気分です。
親として子供との関係を考える中で、出会った一冊です。
p.163の著者の言葉がとても印象的でした。下記に引用します。
「要するに児童文学というのは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とはちがって、「生まれてきてよかったんだ」というものなんです。生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。」
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宮崎駿の子どもへの眼差しが優しい。大人がコントロールするのではなくて、子供には自由に物語と出会って、感じて欲しい。そして自分の一冊だと思える本と出会ってほしいな。
私にも、そんな大切な本があります。
Posted by ブクログ
2011年発行。スタジオ・ジブリのアニメーション監督、宮崎駿が岩波少年文庫からお薦めの50冊を紹介する。本書は小冊子「岩波少年文庫の50冊」に掲載された、それぞれの本の紹介とインタビュー記事に加え、テレビ番組「ジブリの本棚」(2010年8月BS日テレで放送)での阿川佐和子氏との対談を再構成し、著者自身が大幅に加筆したもの。「大幅に」というのが宮崎駿らしくて良い。
本書は前々から気になっていたが、最近児童文学に興味が湧いてきたのでついに「読機」が来たと思い拝読。宮崎駿作品のファンで関連書籍はだいたい読んでいたので、氏の思想やその姿勢には触れていたが、それでもジブリ作品の発想の源流を探るようでとても楽しかった。
本書で推薦されている本は宮崎氏の好きな本というわけではなく、知人の少年に向けて選ばれていて、氏が読んでいない本も載っているのが面白いところ。なので少年向きの本が多かったりで、児童文学の入門書的な立ち位置ではない。何より宮崎駿が面白い。「読機」という言葉を産んだ知の巨人、松岡正剛氏のブックナビ『千夜千冊』も、本のあらすじよりその解釈が面白いのだが、それに通ずるなと感じた。
個人的に面白かったのは、まだ若手の頃の宮崎駿が仕事に意欲が持てない時期があり、会社にあった児童文学をたくさん読んで(サボタージュして)引き出しを増やしたというストーリー。宮崎作品の特徴といえば、摩訶不思議なイマジネーションにあると思うが、それはこの時期に培ったのだと合点がいった。
絵や写真を観るより、文章からイメージを想像するのは労力がいる。児童文学を大量に読むことによって頭の中に湧いたイメージは自分だけのものであり、誰も観たことがない印象的なシーンを描く源泉になっている。アニメーションを観てアニメを作っても表現の幅は広がらない。絵を観ることで表現の幅が狭くなるというのは皮肉な話だが、素晴らしい物語を読むことによってイメージを養うことは大事なことだと思った。
また、現代の視野の狭さについての話も興味深かった。『歴史的視野とか人間のあるべき姿とかの大きな主題が、健康とか年金の話にすりかえられてしまいました』と警鐘を鳴らしている。15年も前の本なのだが、現在はますます酷くなっているように感じる。今、希望を持てるような「理想的な未来像」がない。心を育てるための映画や漫画の物語が、現実から逃れるための小さい世界になってはいけない。
現代こそ児童文学の「おおらかさ」から多くのことが学べるように思った。
Posted by ブクログ
冒頭の50冊の推薦文が、本当に素晴らしくてそれだけで泣きそうになる。
読んだことのない本も片っ端から読みたくなる。
とても平易な言葉で、本当のことを言っている。
後半、宮崎さんの危機感が強い言葉になって書かれているのですが、どんな時代が来ても、それでも生きていくんだ、子供たちにこの世は生きるに値するというものを作る、子供に向かって絶望を描かない、という覚悟に、胸がいっぱいになります。
Posted by ブクログ
世にある映画の中で一番好きな映画はラピュタだ。
次は不夜城。
本著の中で、宮崎駿さんが、大人向けの本であれば、これが世の中だ、どうしようもないのだ、場合によってやり直しがきかないのだ、というのが文学で、
だけど子供向けには、生きていてよかったと、生きていていいんだ、やり直しがきくんだと、エールを送るものだ、書いてあった。
ほんとうにその通りだと思う。
Posted by ブクログ
児童文学が好きです。自分用に読んだりします。知らない本も多く載ってたので、また読もうと思いました。
世界って捨てたもんじゃない、と伝えるのが児童文学である、という定義に同意します。
Posted by ブクログ
ジブリ美術館で購入した本。
宮崎駿監督がオススメする本50冊の紹介。有名で既読の物語も多いが、知らない作品もたくさん。
児童文学が大好きな私には、宝の地図のような本。この50冊を、時間をかけて読んでいこうと思う。
後半は宮崎監督の物語への思いや、今の時代に対する考察が語られる。こちらもおもしろく、興味深い。
Posted by ブクログ
第1部の岩波少年文庫の50冊
『星の王子さま』や『ドリトル先生航海記』など読んだ本もあるが、半分以上は未読だ。外遊びわんぱく時代には読書とは無縁だった。ホームズやルパンは夢中だったけど。気になるのは、『ハンス・ブリンガー』宮崎駿さんが敬愛する石井桃子さんの訳だ。
第2部
「電気がとまり、映像がとどかなくなり、情報がなくなったりすれば、当然ひどく不安になり・・・。それでも世界はあるんです。」という言葉が響く。
嵐のような現実のうねりを見ようとしない日本。
今ファンタジーをつくってはいけないという。
それでも、児童文学は「生まれてきてよかったんだ」というものだという。
何もかも無くしてからでは遅い。
Posted by ブクログ
子どもが小学校に上がったくらいから「モモ」とかを読むようになって児童文学って奥が深いなと思ってたけど、宮崎さんもたくさん読まれて想像力が広がったんだなということがよくわかった。
挿絵に対する宮崎さんの考察が興味深かった。昔は今みたいに画像や動画が溢れていなかったから挿絵を眺めることが新鮮な体験になったけど、今は、まさにうちの子どももそうであるように、画像や動画に慣れているから挿絵を素通りしているのかな などと思う。またそのような世の中の変化に合わせて挿絵の質も良くも悪くも変わっているということに気づかされた。(「プペル」みたいな書かれ方の絵本は昔はなかったよなと連想した。)
また同様に、昔は子どもにとっての屋内の遊びは本を読むことくらいしかなかった?から読んだけど、今はいろいろあるから買ってあげたり勧めてみてもなかなか読まない というのも、我が子がまさにそうであるから頷いた。(まあしょうがない。気長に待つ。)
あと、宮崎さんの時代の捉え方も興味深い。曰く、今(2011年頃)は終わりの始まりで、子どもたちが楽しみに観るような幸せなファンタジーは嘘っぽくなるから作れないとのこと。わからなくはない。むしろまあまあわかる。けど、この本の最後にそれを言ってほしくない。というか、(そういうつもりであるかはわからないですが)終わりの始まりに対して我々大人が匙を投げてはならないと思った。
だから自分は、我が子と一緒に本を読んで、ゲームもして、YouTubeもみて、勉強もして、楽しく生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
宮崎駿さんの頭の中がちょっと覗き見ることができた感じ。あたらめて読み直したい児童書もうまれた。大好きな石井桃子さんや中川李枝子さんの話しもでてきて、なんだか嬉しかった。
Posted by ブクログ
宮崎駿おすすめの岩波少年文庫50冊と、読書体験や本への想いが綴られている。おすすめ50冊は定番といえば定番だし、安定の50冊ではある。岩波少年文庫におさめられている本たちは私も幼少期に手に取った作品だ。同じ本・同じ訳を世代を超えて読めることは幸せでもあるし、当たり前ではないと噛み締める。石井桃子さんや中川李枝子さんが昭和の児童書の道を開いたからこその今がある。感謝の気持ちが自然とこみ上げる。今読むにしては古さはあるけれど、児童書の中に生きる主人公たちは皆、生きることに真っ直ぐだったと改めて思う。
Posted by ブクログ
宮崎駿さんのおすすめの50冊、懐かしくて子どもの時わくわくした本を思い出した。まだ読んでない本もたくさんあったので、挿し絵や翻訳にも注目しながら読んでみたい。読書経験を自分の創造につなげられたのは、宮崎駿さんの素晴らしい才能と努力があったからなのだろう。
Posted by ブクログ
児童文学は「やり直しがきく話」なんです。(p.70)
〔内容〕五〇冊チョイスした前半と、エッセイ的な後半/岩波少年文庫を読んでいってみようと思ってたので(すでに百冊くらいは読んでると思うけど)ちょうどいいブックガイドかなと。
〔感想〕《たとえばすごいハードカバーの重い本でね、世界のことが全部書いてあるという、そういう本ができないものだろうか、ということを夢見ていますね。》p.140。『マイペディア』とかの一冊本の百科事典とかが比較的近い気もします。あるいは例句がたくさん入っている歳時記系とか。どちらもランダムアクセスできるし。/「終わりの始まり」には共感。
Posted by ブクログ
小さい頃に出会っておきたかった作品だった。
最近は読むペースが速くなってしまい、児童書をじっくり読むことが苦手になってしまったが、好きな世界観の作品は多そうに感じた。いずれ、子供とゆっくり児童書を楽しむことができたら、と思う。
Posted by ブクログ
素敵な映画を作る方が感じていることを覗かせてもらえる、とても素敵な本なんだけど、紹介されてる本をいちいちチェックしたり、読み返したりしてしまうので、全然進まず、未だ読み終わらない。
Posted by ブクログ
ー 僕らは、「この世は生きるに値するんだ」という映画をつくってきました。
と宮崎さんは本文で語っている
「君たちはどう生きるか」を観て、私が感じたことそのものだと思った
宮崎さんが選んだ岩波少年文庫50冊、
・読んだもの
・タイトルは知っていて読んだことのないもの
・タイトルも知らなかったもの
それぞれあって楽しかった
自分が子供の頃から素晴らしい読書体験をたくさんしてきたのだと分かったし、読んでみたい本がまた増えた、幸せ〜
Posted by ブクログ
巨匠・宮崎駿さんが、岩波少年文庫からおすすめの本を50冊紹介する。あわせて、自身の読書体験や時代について語る一冊。
戦前の人の中には「本なんか読むとろくな人間にならない」と、額に汗して働くことを美徳とする人たちが多かったこと。戦争に負けて、本を読み勉強するよう推奨されるようになったこと。
バブル期に馬鹿騒ぎしているひとたちを横目に、いつかひどいことになるぞと終末物を書くのはある種のカタルシスもあるが、終末が現実として立ちあらわれている現代にそういうものを作っても面白くないこと。
人間はどうしようもないとニヒリズムを掲げる文学に対し、児童文学は「やり直しがきく話」だと繰り返し述べられていたことが印象的だった。
時代につれ、児童文学のありかたというものも随分変わるものだなと思った。
あとアニメーターらしく挿絵についての言及も多かった。
Posted by ブクログ
スタジオ・ジブリの巨匠である宮崎駿さんが、
自身が親しんだり、よい評判を聞いていたりする
岩波少年文庫のなかからの50冊を紹介し、
自らと本についてのインタビューに答えた本。
また、東日本大震災を受けての今後の展望や子どもたちへのメッセージも
収録されています。
やっぱり、あれだけ子どもの心をつかむ作品を作る人ですから、
児童文学の読み下し方なども深いというか、
意識の表層で理解しているのではなくて、
ハートのレベルで理解している人なんだと思う、
それも実感として「児童文学を経験」しているのではないだろうか。
そんな片鱗をうかがい知るとともに、
アニメーターらしく文庫の挿絵へのこだわりも知ることができます。
挿絵あってこその児童文学だ、みたいなことも言っていました。
かたや、マルクスの『資本論』や哲学の本などには相性が悪かったといいます。
宮崎さんの世代くらいの人ならば、最低限これだけの本を読まなければいけない
という強迫観念めいたノルマみたいなものを時代の空気が強いたようですが、
そのなかでも、今書いたような『資本論』だのヘーゲルだのカントだのを
熟読するようなことはなかったみたいです。
また、ドストエフスキーについても、『カラマーゾフの兄弟』までは
辿りつかなかったといいます。
なので、これを知ってバカにする人もいるでしょうが、
ぼくなんかに言わせると、そんなのを言うほうがアホみたいなものかもしれない。
児童文学の世界にどっぷり体を浸らせて、
そして、そこから得た何かを使って子ども心に訴えて
情操を育てるような作品を作り出すようになるために、
『資本論』なんかは必要ないと思えるからです。
豊かさ、ですよね。
そんなわけで、ぼくはまぁ児童文学に興味のある方なので、
この本で紹介されていたものいないものに関わらず
これからもたまに読んでいくでしょう。
その都度、ここで感想を書くことになりますので、
そのときはお付き合いどうぞよろしくお願いします。