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四万冊を超える本に囲まれ、九官鳥にトルストイを読み聞かせる日々を送る唐蔵餅之絵。死に際して大量の蔵書を整理した彼は、切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。蔵書、辞書、聖書――知を求める得がたい歓びと、その果てを問う三篇
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Posted by ブクログ
わたしにとって初めての感触の本。
本文はニッチな傾向だけれどわかるひとにはわかるだろうし、ハマるひとにはかなりハマる作家さんだと思います。
わたしは不勉強でして基礎知識が乏しくそれゆえに理解しながら読むことが難しかった本ですが、知的刺激があり面白く最後まで読み進められました。
一冊通してときおり繰り返し読むとさらに感じ取るものがあって面白みが進むかもしれません。
血肉湧き踊るストーリーでぐいぐい引っ張るというより、知的好奇心を湧き起こさせるようなパズルみたいな小説だと思います。
この文章を創作する作家さんがどういうひとなのか、ということにとても興味があるのですが略歴にあまり情報が書かれていなかったのでさらに謎が深まり良い感じです。
お若い方と思われるのですが(2001年生まれ)、お若くして着眼点というか、小説で実験的自由に軽やかに遊んでいる印象をわたしはもちました。
この方が書いた他作品の空気感も気になります。(同じ感じなのか全く違うのか)
意味不明さのわからないではなく、難解なという意味合いのある種わかりにくさがわたしにとっては不勉強なためありましたが、こういった小説はこの方しか書けないのではないかと読者に思わせ、かつ面白く読み進められることができる不思議さがあり優れた技巧をわたしは感じました。
物語に埋没するというより、言葉に埋もれたい本。
文系の大学生や、言葉好き本好きの方々へ、特におすすめです。
Posted by ブクログ
鈴木さんの小説で語られる本が好きな人たちは堅物揃いなのだけれど、それゆえにどこかキュートでもあって深く愛さずにはいられない。本作ではデビュー作を大幅に改稿した「人にはどれほどの本がいるか」、辞書の誤謬を見付けるバトルを繰り広げる二人の教師「完壁な辞書」(“壁”の字は誤字ではない)を時々にやけながら特に面白く読みました。一方、残る「猫にバイブル」はそれらと比べるとかなり硬派な印象で、私には書かれている人間の顔があまり見えてきませんでした。とはいえ作者の豊富な知識に裏打ちされた物語には、好奇心を擽る強力な力が働いているのも確かで、読み終わったこの瞬間から、既に次作への期待は大きく膨らみ始めてもいます。
Posted by ブクログ
第十回林芙美子文学賞受賞作品。
デビュー作。
鈴木結生さん3冊目。知識力にまた驚かされた。海外文学、辞書、聖書などの知識が網羅されていた。難しいと感じ、噛み砕くように読み進めた。
それでも、どの作品も登場人物の名前や物の名前にひと工夫がされ、おもしろさも感じた。以前読んだ作品と同じく、そこから鈴木結生さんの世界に入っていける。そして読んでいくと何となくつかめてきて、楽しめる不思議な感じを味わえた。
【人にはどれほどの本がいるか】
気になるタイトルの短編。九官鳥に毎朝本を読み聞かせている、蔵書4万冊越えの主人公。彼の本がどのように整理されたのかが書かれていた。なによりも小説の冒頭の彼の姿に驚かされた。読書家、蔵書家、愛書家、どれになりたいのかを想った。
【完壁(璧?)な辞書】
辞書の誤りを見つけることをライフワークとする国語教師と、より多くの間違いを見つけることを競い合う同僚の物語。文芸競技(セルメタン)の結果に至るまで、ことばの渦に巻き込まれた感じ。枕投げを表現するオノマトペが面白かった。
【猫にバイブル】
架空の小説家「枢蓼虫(くるりりくちゅう)が、生前発表していた二つの随想と、この度新たに発見されたテクストを1個の小説作品としてまとめたもの」が書かれている。そのなかで聖書のなかに自らの文章を書き入れてきたという事実を明らかにする。意味がわかるまで挫折しそうになるくらい難しかった。
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