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Posted by ブクログ
施設の名前は「ニーシャシャン」(フランス語で「犬小屋」の意味)。それは、居場所のない人と犬がパートナーになって暮らす施設です。
様々な事情や過去を背負い、心に傷を負った人と犬が、ここでお互いに支え合って暮らす日々が描かれ、温もりを感じながら読み進めました。本のカバーのイラストも温かく、眺めているだけで涙が出てきます。
支配人の横須賀さんが、ニーシャシャンで働くまでに辿った経緯に胸が締め付けられる思いがしました。優しい人だからこそ苦しみも大きかったと思います。そして、ニーシャシャンに横須賀さんがいてくれて本当に良かったと心から思いました。
Posted by ブクログ
本当にこんな施設があったらいいのに!と思ってしまうような、夢の『犬小屋』のお話でした。
その建物は、マダムの夢の施設。
行き場をなくした人が安心して入れる『犬小屋』。
そこにいるのは、これまた行き場を無くした犬たち。
入居費用はかからない。
食事も、入浴も、光熱費もかからない。
素性の調査も、保証人の手配も必要ない。
そんな冗談みたいな施設に入るためにあるのは、たった一つの条件だけ。
パートナーとなる犬と、一緒に暮らすこと。
入居する人も、そこにいる犬も、みんな何かしらの『訳アリ』で、厳しい規則がないからこそゆるやかなつながりを持ってホーム・ニーシャシャンで生活をしています。
人と犬、そのどちらもの視点で進む話は、厳しい人生(犬生)を生きてきた彼らが、あたたかくて優しいものと出会う物語のようで、読後はほっこりとあたたかい気持ちになれます。
こんなホームが、本当に現実にあったらいいのに、と何度も思いました。
殺処分されてしまう犬や猫が、こんな優しい場所に引き取られていけたなら。どこにも行き場のなくなった人が、優しくて小さくて人の言葉を離せない生き物に触れて幸せを感じることができたなら。
人が犬を癒して、犬が人を癒す。そんな素敵な場所があったなら、私もそこに行ってみたい。そう思わせるような素敵なお話でした。
どのお話もとても素敵なお話でしたが、プロローグ前の最後の章、支配人の横須賀の視点で進むお話が一番好きです。
どこか人間離れした菩薩か何かのように見える横須賀の、人間らしい姿を見ることができたようでした。
人も、犬も、社会のコミュニティの中で生きていく動物だからこそ、一人で閉じこもるのではなく、こんな優しい場所があってもいいんじゃないかと、思います。
優しい気持ちになりたいときに、読み返したい一冊です。
Posted by ブクログ
入居に掛かる費用は無料。各個室で犬をパートナーとして生活することが唯一の条件。
そんな不思議な老人ホームが舞台のヒューマンファンタジー。本編5章とプロローグ及びエピローグからなる。
* * * * *
大山淳子さんのうまさがよく出た作品でした。
丘の上に建つ瀟洒な建物。
ドッグランを備えた寛げる庭園。
清潔でゆったりした食堂や浴場などのパブリックスペース。
常駐する医師を含め、スタッフも揃っている。そして何より、入居費用が一切掛からない。
それがホーム・ニーシャシャン。まったくもって申し分ない施設です。
ただしホーム・ニーシャシャンに入居できるのは、身よりも行き場もない老人と犬。入居条件は人と犬がペアになり共同生活することのみ。
いくら慈善事業とはいえ現実にはありえない設定です。なのに読むにつれ気にならなくなります。ストーリー構成が巧みで惹きつけられてしまうからです。
入居者だけでなくマダムやスタッフたちの人生にも、つい寄り添いたくなります。できるものなら入居犬の犬生にまで寄り添ってやりたくもなります。猫派の自分でさえそんな気持ちにさせられました。
それにしても『猫弁』をはじめとして読者を大山淳子ワールドにいざなう巧みさは本当に見事だと思います。ストーリーテラー・大山淳子さんの才能を再認識した作品でした。
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小説・文芸
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