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京都の遊女に惹かれて尽し、年季明けには一緒になろうとの夢が、手酷く裏切られる顛末を冷静に書いた「黒髪」。家を出てしまった妻への恋情を連綿と綴る書簡体小説の「別れたる妻に送る手紙」と、日光までも妻の足跡を追い捜し回るその続篇「疑惑」。 明治9年、岡山に生まれ、男の情痴の世界を大胆に描いて、晩年は両眼ともに失明、昭和19年没した破滅型私小説作家の"栄光と哀しみ"。
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Posted by ブクログ
近松秋江 ちかまつしゅうこう (1876―1944) 小説家、評論家。明治9年5月4日、岡山県和気(わけ)郡藤野村(現和気町)の生まれ。本名徳田浩司(こうじ)。初め徳田秋江と号したが、のちに敬慕する近松門左衛門にちなんで改めた。東京専門学校(現早稲田(わせだ)大学)英文科卒業後、島村抱月のもとで『読...続きを読む売新聞』の小説月評などに加わり文筆活動を開始、その後『中央公論』などの雑誌編集に従事したが長続きせず、在学中に知った正宗白鳥(まさむねはくちょう)が編集していた読売文芸欄に『文壇無駄話』(1908)と題する独特のスタイルの評論を発表、批評家として認められた。同時に小説の筆もとっていたが、『早稲田文学』に連載された『別れたる妻に送る手紙』(1910)にその本領を発揮、その続編にあたる『疑惑』(1913)、それらと同じく男の情痴を主題とした『黒髪』(1922)の連作などを代表作として残し、典型的な破滅型私小説作者として知られる。しかし、情痴を描くことに徹した秋江も、大正末年に女児を得たことによって、『子の愛の為(ため)に』(1924)など「子の愛物」とよばれる作品を書くようになり、さらに昭和に入ると、生来の政治好きから『水野越前守(えちぜんのかみ)』(1931)などの床屋政談的歴史小説も執筆した。そのほか叙情味豊かな随筆、紀行文も多い。昭和19年4月23日没。
主人公は、女性に翻弄されているように見えるが、なるべくしてそうなっているし、女性も女性らしいところが出ていて、表面的だという評もあったようだが、よくできた作品だと思った。
この作家の心情が手に取るようにわかる。どこまでも自己本位なのにも係わらず共感をしてしまう。多分それは僕ら男の持つ根源的な女々しさを露呈させているからだと思う。自分の女々しさに自身のある方は是非お読み下さい。
とてつもなく純粋で思い込みが激しく勘が鈍い。大抵はもう人を好きになんてならなくなりそうだが、天性の前向きさがあるがゆえにまた同じことを繰り返してしまうのだろう。だからこそこういう作品を書けるのだろうし、滑稽さがあるから憎めない。
別れた奥さんへの手紙で、今の恋愛、しかも水商売の女性について、つらつらと書く。 すべてを受け入れてもらえると思ってる男の人っていますよね。いらっとする。
大学で課題として紹介された本。 必ずしもすっきりはしない。むしろうじうじと…。 たぶん秋江にも自覚はあるんだろうけど、現実よりも空想を見てしまう男の悲哀。とか言ってみる。言うまでもなく作者は男性。
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