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三島由紀夫、城山三郎、藤沢周平、山崎豊子……「戦後」という時代と戦ってきた反骨の作家20人の生きかたを、練達の評論家が描く。
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Posted by ブクログ
昭和の大作家20人を、佐高信が語る。 一つ一つのエピソードが面白い。 でもそれ以上に、こういう人たちと同時代を生きた佐高信が、 今も現役で毒舌でいるのがすごい。 若い。 81歳らしいが、その言説からは年齢を感じさせない。 あ、これ、変な言い方だな。 思慮深さは年齢を感じさせる。 でも、なんというか...続きを読む、体制への反骨精神は、若いのだ。 下手な中年のほうがよほど老成している。 まあ、この本で語られている作家たちも、 そういう傾向が強いからかな。 文化勲章など受け取らん、という作家。 司馬遼太郎の賞などいらん、という作家。 骨がある。 一番骨がありそうに見えた三島由紀夫が、 人の言うことばかり聞いて生きてきた、というのがすごい印象的。 美輪明宏の一声でやっと自分らしさを出したとか、、、 佐高信による作家のえぐり方、たのしい。 第1章 人生の哀感を描いた「大衆小説家」 藤沢周平 「郷里はつらい土地でもある」 池波正太郎 食うために作家になった大衆文学の栄光 西村京太郎 15歳の原点──死を強制する戦争への「否」 井上ひさし 二度と武器では戦わないという「雄々しい」生き方 五木寛之 円熟せずに時代を疾走する晩春ランナー 第2章 経済/社会派小説の旗手たち 城山三郎 我、護憲の鬼となる 清水一行 城山三郎と対極の経済小説家 梶山季之 「危険な作家」の肖像 中薗英助 余韻の人のさわやかさ 山崎豊子 現代の悪を描き切る執念 第3章 戦争と「昭和」の傷痕を記録する 五味川純平 「虚構の大義」と闘い抜いた作家 澤地久枝 「銃後」の痛みを照らす共感と告発 吉村昭 「不信感」という批判精神 森村誠一 軍隊的規律の屈辱に抗い、ベストセラー作家に 金時鐘 日本語への怒りと自己批判 第4章 「文学」の先端で 三島由紀夫 受け身性を生きた男 大江健三郎 新しいヒューマニズム 丸谷才一 「裏声で歌う」反骨と「聞く力」の作法 筒井康隆 笑いと反体制の覚悟 山田太一 時代の伴走者にして批判者 おわりに
■はじめに 著者の本を読むのは久しぶりで、住友商事元常務・鈴木朗夫氏の反骨の人生を描いた『逆名利君』以来の筈。 本書は、冒頭の〈はじめに〉から実に面白い。著者の司馬遼太郎批判は筋金入りで、本書ものっけからその話題で幕を開ける。 司馬遼太郎をめぐって井上ひさしと交わした議論を紹介し、「司馬もいい...続きを読むし、藤沢周平もいい」という井上ひさし。それに対し、「両者は本質的にまったく違う」と異を唱える。その理由は、「司馬遼太郎には、この国の無責任なリーダーに致死量の毒がない」という一点に集約される。 本書で取り上げられるのは、司馬遼太郎とは対極にある」と見なす20人の作家たち。もちろん、その括り自体が著者の独断であるのは言うまでもない。 僕は〈エッセイや随筆は"適度な偏見"が最高の調味料〉だと思っている。だから本書も、クスッと笑い、時に苦笑しながら、最後まで存分に楽しめた。 ■感想 著者は人物に対する好き嫌いが明快な人で、作家評もまた同じだろうと思って読み始めた。そして、その評価軸も"左派の論客"らしく、イデオロギーが色濃く反映されているのではないか…そんな先入観を抱いていた。ところが、その見立てはあっさり覆された。 著者が見続けているのは、思想や立ち位置以上に、「その人がどう生きたか」。権力に迎合しなかったか。時流に流されなかったか。自分の言葉を最後まで引き受けたか。その1点に人物を見る物差しが置かれているように思えた。 ゆえに本書は作品論というより、人間論に近い。作品の紹介以上に、著者自身が交流した作家たちの逸話が数多く綴られ、その筆致には敬意や親愛の情が滲んでいる。歯に衣着せぬ佐高信らしさは健在だが、読み終える頃には、どこか温かな人物評を読んだような余韻が残った。 そして改めて表題の『昭和に挑んだ作家たち』を眺める。 ここで取り上げられる20人は、いずれも戦前生まれである。国家が個人より優先された時代に少年期を過ごし、敗戦によって民主主義と個人尊重という、それまでとは真逆の価値観の中を生きることになった世代。 戦争も、敗戦も、高度経済成長も、昭和という時代の激変を身体で受け止めてきた人たちである。それだけに彼らの文学には、権力への警戒も、人間への眼差しも、単なる思想ではなく「体験」から滲み出る重みがある。 そんな時代の荒波をくぐり抜けた作家たちは、何を疑い、何を信じ、何を拠り所に文章を紡ぎ続けたのか。ページを繰りながら、そんなことを何度も考えさせられた。 ■最後に 著者が司馬遼太郎を評価しない理由も、本書を読めばそれとはなく理解できる。司馬遼太郎は高度経済成長期を代表する国民的作家だった一方で、昭和という時代の“暗部”を正面から描かなかった。そこに物足りなく映るのだろう。 ただ、僕は少し違う見方をしている。司馬遼太郎は昭和を書かなかったのではない。明治を書くことで昭和を問い続けた作家だったのではないか。 満洲で終戦を迎え、戦争という時代を自ら体験した司馬遼太郎にとって、昭和はあまりにも近く、生々しく、容易く文学へ昇華できる対象ではらなかった。 『明治という国家』にも描かれるように、鎖国から目覚めた日本は、わずかな期間で近代国家を築き上げた。その原動力となった政治家や官僚、軍人たちの志と力量に、司馬は惜しみない賛辞を送っている。 だからこそ、わずか半世紀後、同じ日本が日本人が無謀な戦争へ突き進み、敗戦を迎えた現実を、司馬は誰よりも痛切に受け止めていたのではないか。「なぜ、この国は道を誤ったのか。」 その答えを探すために司馬は明治を書き続けた。そう考えると、司馬遼太郎もまた、昭和という時代に深く翻弄された作家のひとりだったように思えてならない。 本書は「昭和に挑んだ作家たち」を描く一冊であると同時に、その作家たちを通して、昭和という時代そのものを改めて考えさせてくれる一冊でもあった。
ブックガイド的新書のときにも思ったけど、十全に味わうための基礎知識をかなり要求する内容。各作家にまつわる、自身の思い出話、っていう趣向ですな。
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昭和に挑んだ作家たち
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