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マイケル・ポーター、ジェイ・バーニー以降の経営戦略論はどこへ向かうのか。本書は、経営戦略論の悠久の系譜を紀元前からたどり、外部環境分析と内部環境分析の理論的発展を経て、2010年代以降に台頭した4つの新潮流(「実践・行動としての経営戦略」「多層的境界の戦略」「非市場・制度戦略」「アルゴリズムとロボティクスによる新時代」)までを1本の流れとして描き出す。経営戦略の歴史的発展と現代的課題の双方を理解し、戦い続けるための思考の軸を身につけるための一冊。
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Posted by ブクログ
本帯に記載されている通り、古代から現在のAI、ロボティクスに至るまでの経営戦略論の進化を概観した一冊。膨大な引用がなされており、一読するだけでは中々その真意を正確に理解することは難しいが、各理論やパラダイムが何を背景に批判され、更なる発展を遂げて来たのかという一連の歴史が丹念に紐解かれている。 何よ...続きを読むりも本書の特徴は、第6章から描かれている4つの新たな研究潮流であろう。外部環境分析 vs 内部環境分析という大きな構図は、既に1990年代に一定の完成を見た訳であるが、それらだけでは扱えない事象に対し2000年代以降様々な理論が提示されてきた。一方で、これら個々の理論は、時に実務家まで届けられつつも、これまでの理論体系の中でどこに位置づけられるのか、その全体像が語られることは多くなかった。また、先に現象の進化があり、どこか後追いする形で理論化がなされていたようにも感じられる(別に問題ではないのだが、批判的に見ると、実務家によって生み出された概念を援用したとも見える)。そこに切り込んだのが本書であり、新たな研究群としてミクロ的基盤 / 組織の多層的境界 / 非市場・制度 / アルゴリズムとロボティクスの4つを挙げる。現在、欧州ビジネススクールで博士課程に在籍している立場からすると、たしかに個々の研究潮流自体はまさに今も議論されているテーマばかりである。おおよそ、このテーマに沿う形で境界が引かれ、研究者がコミュニティを形成し、本書に記載されているような、あるいは以上の緻密な議論の磨き込みを行っている。その中では、決して分かりやすい訳ではない(一言では伝わらない)が、実務家にとっても重要な概念が提示されており、これを広めねばという使命感を感じる。 特に個人的な関心があるのは、ミクロ的基盤、その中でもStrategy-as-Practiceという研究潮流。日本語で書くと「実践としての経営戦略」ということになり、これまでの議論と何が違うのか?と説明が難しいのだが、この理論的な価値を正確に理解/説明するためには本理論の背景にある社会学(ギデンズ、ブルデュー等)を読み解く必要がある。一言で言ってしまうと、彼らが特に目指しているのは、ミクロとマクロの橋渡し。つまり、単に分析レベルを個人のpracticeにまで落としただけではなく、それがマクロのアウトカム(例:戦略方針、組織変革)とどう結びついているのか、更に言えばそのマクロな要因により個人はどのように規定されているのか、という再帰的な関係性を読み解くことを希求している。この両者の断絶は長年社会学の中でも指摘されてきたことであり、そこに解を見出すのは困難であるが、少なくともその困難性に取り組んでいる一流の研究者が存在する。と、近年の理論潮流の中でも未だ解明されていない調査課題はまだまだ残されている。勿論、AI / ロボティクスと経営戦略の結節点に見出されるアジェンダも追求していく必要はあるが、自動化 / 自律化が進んだ先で、再度「経営戦略とは何か?」という問いに先祖返りする気もする。その際に経営戦略の境界が再度議論され、またその地平からその時点で求められている或いは研究者が探求したい問いが見出され、更なるパラダイムシフトが起こるのだと期待する。 特に印象に残った箇所は以下 ・重要なのは、これらの基本戦略が相互に排他的であると言う点である。ポーターは「stuck in the middle(どっちつかず)」の危険性を強く警告した。差別化とコスト優位を同時に追求しようとする企業は、どちらの優位性も獲得できず、結果として低収益に陥るという主張である(p.209) ・バーニーの重要な洞察は、戦略的資源市場が完全競争的であれば、企業が資源を取得するコストはその資源が生み出す将来価値とほぼ等しくなってしまい、結果的に超過利潤は得られないという点であった(p.263) ・オリバー・シボニーらは、行動戦略が経営実践を強化するための最も実り多い道筋は、個々の心の中のバイアスを「取り除く(Debias)」ことから、企業レベルで行動科学的に情報に基づいた意思決定プロセスとアーキテクチャを設計することへと焦点を移すことであると説得力をもって主張している(p.353) ・リレーショナル・レントとは、「交換関係において共同で生み出される、どちらの企業も単独では生み出すことができず、提携パートナーとの共同かつ特異な貢献を通じてのみ創造できる超過収益」と定義される(p.390) ・重要なのは、制度には公式制度(法律、規制、規則)と非公式制度(規範、文化、倫理)があり、両者が相互補完的に機能することである(p.454) ・バロンの「統合戦略」以降、非市場・制度戦略の理論は多様な方向へと発展を遂げ、実践的な戦略論として体系化されてきた(中略)この理論の核心は、企業が成功するためには、正当性の獲得と競争優位の確立という2つの相反する要求を同時に満たさなければならないという点にある(p.476) ・生成AIはまた、技術開発における「創発性」という新たな次元をもたらした。大規模言語モデルは、訓練データに明示的に含まれていない能力を獲得することがあり、これは研究者たちにとっても予想外の発見となっている(p.521) ・未来の戦略理論において最も重要な課題の1つは、人間、アルゴリズム、ロボットの3者が融合した戦略実行モデルの構築である(中略)従来、組織論と戦略論は比較的独立して発展してきた。しかし、3者を統合的に検討しようとすれば、両者の統合は不可欠である(p.556〜557) ・アルゴリズムとロボティクスによる新時代は、経営戦略研究にとって未曾有の挑戦であると同時に、理論が実践を先導し、実践が理論を深化させる好循環を生み出す稀有な機会でもある。この知的冒険への参加は、困難を伴うが、同時に経営学の新たな地平を切り拓く興奮に満ちた営みとなるだろう。私たちは今、経営戦略理論の新たな章の扉を開こうとしていると、私は考えている(p.562)
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