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宇宙はどうやってできたのか? これからどうなるのか? これらの謎を解くカギとなるのが宇宙最古の星「はじまりの星」だ。すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡を使って、世界で最も遠くを見つめている研究者が「ここまで見えている」宇宙の姿を論じる、科学ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
著者は、愛媛大学宇宙進化研究センター長の天文学者。 日進月歩の天文学・宇宙論の中で、世界各地の天文学者たちが追い求めているもののひとつに「宇宙のはじまりの星(=宇宙で一番最初に生まれた星)」があり、その探求は現代天文学の中でも最重要事項の一つとして、多くの研究者を魅了しているテーマなのだという。 著...続きを読む者は本書で、天文学の歴史、宇宙の誕生・成長の仕組みなどにも触れているが、「宇宙のはじまりの星」について以下のように述べている。 ◆現在宇宙の膨張は加速しているが、このまま加速が続くと膨張速度は光の速度を超えてしまい、遠ざかる星が放つ光は地球まで永久に届かなくなる。つまり、地球から最遠の星が観測できるのは今の時代だけである。 ◆初期の宇宙に存在した元素は水素とヘリウムのみで、重元素は存在しなかったため、「はじまりの星」はその2元素のみからできている。 ◆「はじまりの星」は宇宙が誕生した1~3億年後にできたと推測されるため、「はじまりの星」は135億±1億歳であり、光によるタイムマシン効果を頼りに135億年前に輝いた星を見つけられれば、それが「はじまりの星」である可能性がある。 ◆また、「はじまりの星」は地球の近くにあって現在も生き残っていることも考えられ、近くにある水素とヘリウムのみからできている星が「はじまりの星」である可能性もある。現時点では、地球から4千光年離れたおとめ座とうみへび座の間に、重元素が10万分の1(太陽の重元素の比率は2%)しか含まれていない「ウルトラ低重元素量星」が見つかっている。 ◆2013年3月には、ハッブル宇宙望遠鏡により、地球から約190光年離れたてんびん座の近くにある「最も古い星」が観測された。この星からは微量の重元素が検出されるため「はじまりの星」ではないが、推定年齢は「145億±8億歳」とされており、宇宙の年齢よりも古いかもしれないという謎めいた観測結果が天文学界に大きな波紋を呼んでいる。 ◆「はじまりの星」が潜んでいる可能性が高いのは、「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」と言われる領域で、残念ながら日本からは見えない南天にある。 昔も今も、夜空を見上げれば星は常にそこに輝いており、素人にとっても天文学にはロマンを感じるものであるが、今の時代でなければ最遠の星を観測することはできないと聞くと、天文学者の想いが一層高まるであろうことは容易に想像できる。 知的好奇心を刺激する一冊。 (2013年8月了)
宇宙が晴れあがった後の暗黒時代に終止符を打つファーストスター。その探究をメインテーマに,天文観測の歴史と深宇宙探索の成果を綴る。観測天文学者らしく,CCD導入の衝撃や,多天体分光器の有効性など語り口にも熱が入ってる。各章末にその章のポイントが書かれてるのは親切。
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谷口義明
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