宮本常一 民俗学を超えて

宮本常一 民俗学を超えて

ビジネス・実用
1,056円 (税込)

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生涯をかけて各地を旅し,人々の声に耳を傾けつづけた宮本常一.『忘れられた日本人』をはじめとする仕事は,従来の日本像を見直す民俗学の成果であるとともに,民俗学を超えて,多大な影響を与えてきた.網野善彦,司馬遼󠄁太郎ら,宮本の言葉と行動を受けとめ独創的な仕事を成した人々を通して,今に生きる宮本民俗学を考える.

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宮本常一 民俗学を超えて のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    なんとなく知ってるけどほんとは知らない人、宮本常一。この新書を手にしたすぐ後に日経新聞のthe STYLEに取り上げられたのも不思議な気がします。日本中を旅して民衆が語る物語を聞いて書き残した人、でも柳田國男のような民俗学の始まりのアカデミズムを感じる訳でもないし、折口信夫のような文学に繋がる古代研究みたいな業績でもないのかな?という、もうちょっとカジュアルなイメージを勝手に持っていました。それは彼が自らを「山口県大島の百姓」と自称し権威的な立場をいっさい取らなかったことによって生じた誤解なのかもしれません。大阪の小学教師だった彼を、東京に作ったアチック・ミュージアムに呼び寄せ入所させた渋沢敬三の教え「大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況を見ていくことだ。舞台で主役を務めていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたものの中に大事なものがある」を全うしたこと、それが宮本常一の存在の核なのだと知りました。そしてそれが来年の生誕120周年の前年に召喚されている理由だと感じました。「コスパ」「タイパ」という効率化、そして最短で知識を繋ぎ合わせるAIの時代に収まりの悪い、っていうか全く逆の方向性のスローな知、非常に刺激的で魅力的でした。後に批判の対象となる成長についてのオプチミズムの素朴さにも温かみを感じました。その一言では言えない”Who is 宮本常一?”を彼に影響を受けた人々の仕事を通して描く著者の手法にも感心しました。それがジブリどころかスピッツの草野マサムネやアジカンの後藤正文まで拡がっているのです。まったく関係ないけど最近覚えた「カルチュラル・アクティビスト」という言葉を当てはめたく(絶対、使い方間違ってますが!)なりました。宮本常一は学者でも文学者でもなくカルチュラル・アクティビストだ、と。

    0
    2026年04月22日

    Posted by ブクログ

    宮本常一を巡る在野の評価と交流を概説する評論。特に柳田國男、鶴見俊輔、森崎和江との位置関係など常民文化研究所としてフィールドワークを徹底した生き方をもう一度再認識できた。また読み返してみたい一冊である。

    0
    2026年07月20日

    Posted by ブクログ

    宮本常一が様々な人たちに与えた影響。その人たちは宮本常一をいかに読んだのか。
    そこから見えてくる宮本常一の業績と民俗学への視点。
    この分野は興味はあるが、まだまだわからないことばかり。
    だから本を読み、頭の中を少しずつ耕すのです。

    0
    2026年05月25日

    Posted by ブクログ

    自身の卒論のテーマは今和次郎であり、宮本常一もまた柳田一門の一人であることは周知の事実である。師の衣鉢を継ぐことなくアカデミズムから一歩引いた彼の姿勢に興味を抱き、他の著作を読み進めてきた。

    格別な学歴を持たず、メインストリームを歩むことのなかった両名は、しばしば「思想がない」と評され、アカデミズムの世界で正当に評価される機会は少なかった。私は当時、抽象的な思想を突き詰めることよりも、時代の空気感を記録する大切さ、すなわち「事実のありのまま」に重きを置きたいと考えていた。

    さて、本書は宮本が後世の人々にどのような影響を与えたかを記した著作である。その対象は、鶴見俊輔、安丸良夫、網野善彦、鹿野政直、司馬遼太郎、本多勝一、宮崎駿、「思想の科学」など多岐にわたる。

    ジャーナリスティックな視点に立てば、安易に「絶大な影響を与えた」と結論づけたくなるものだが、本書は影響の濃淡を事実に即して記述している。蔵書への書き込みなどから客観的にその足跡を辿ろうとする姿勢には、好感が持てる。

    「忘れられた日本人」は確かにジャーナリスティックな側面が強く、厳密な意味での論文とは呼べないかもしれない。しかし、それで良いのだ。読む者の心に深く刺さり、その思考方法が血肉となって残るならば、いかなる高尚な思想よりも有益であるはずだ。

    それこそが、名もなき民衆にスポットを当て続けた宮本が真に訴えたかったことだと理解しているが、いかがだろうか。

    0
    2026年03月21日

    Posted by ブクログ

    宮本常一だけの説明ではなく、関わりが少しでも会った有名人との関連を説明したものであった。それは、鶴見俊輔、安丸良夫、網野良彦、谷川雁・島尾敏雄、石牟礼道子、本多勝一、司馬遼太郎、鶴見良行まで様々な人である。
     教員養成系大学の学生にこの本を薦める前に、宮本の忘れられた日本人をまず読むことを薦める。

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    日本の民俗学といえば、まずは柳田國男が思い浮かぶ。宮本常一については、今でこそ再評価がはじまっているとのことであるが、1960年代から1990年代はほとんど見向きもされなかったという。

    その理由は本書の序盤に書かれているが、民俗学の本流からは忘れられながらも、宮本常一の影響を受けたのは民俗学以外の分野に複数いたという点が興味深い。

    中には、宮崎駿や司馬遼太郎といった多くの日本人に知られる著名人も含まれている。
    また、草野マサムネや後藤正文といった日本ロックシーンにおける重要人物からも関心を持たれており、そうなると、私たちは間接的に、宮本常一の成し遂げた仕事の一旦から微かに影響を受けていると言ったら言い過ぎだろうか。

    宮本常一については以前、佐野眞一の『旅する巨人』を読んだ事もあり、宮本常一について読んだのは2冊だけたが、そこから見える宮本の印象はは、人に対する優しい眼差しである。

    民俗学的な業績について私は分からないが、一つ言えることは、宮本が訪れていなかったら現在は忘れ去られていた話や道具、文化がいくつもあったということである。

    0
    2026年02月08日

    Posted by ブクログ

    宮本常一は歩いた。名所旧跡を巡るためではない。名もなき人の話を聞くためだった。農夫も漁師も、島を離れた者も、そこに暮らす一人ひとりが歴史を持っていた。
    彼が見つめたのは、中央からは見えにくい日本である。土地に残る記憶を拾い、人々の言葉を書き留めた。その眼差しは、のちの研究者、文筆家らの歴史観、日本観にも響いてゆく。
    情報が瞬時に届く時代になった。それでも、歩かなければ見えないものがある。聞かなければ残らない声がある。宮本の旅は終わっていない。私たちが暮らす足元から、また始まるのである。

    0
    2026年09月30日

    Posted by ブクログ

    高校のときに「忘れられた日本人」を読んだ。明治大学の読書感想文コンクールの課題図書だった気がする。
    おもしろおかしく感想文を書いたら後日、入賞の連絡がきた。
    あのときのバックストーリーを改めて感じる。柳田國男とは違う在野の民俗学者らしい野生味のある、暖かく生きた民俗学者だと思った。

    0
    2026年06月14日

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