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日本独自の歴史書の編纂が難航していた。列国の記録や史書と矛盾すれば、国際的な信用を得られず、正当な外交関係が築けない。責任者の忍壁皇子(おさかべのみこ)のもとに、古くからの地方の伝承に詳しい少年・多安麻呂(おおのやすまろ)が招かれる。しかし安麻呂は、かつて謀反の疑いで処刑された大津皇子(おおつのみこ)の隠し子。安麻呂は己の父の処刑を命じた持統(じとう)天皇への復讐を密かに企てていた。一方、皇女(ひめみこ)たちの恋は様々な行方をたどる。初恋を実らせた吉備皇女(きびのひめみこ)。新田部皇子(にいたべのみこ)への失恋のつらさに耐える氷高皇女(ひだかのみこ)。夫である天皇・珂瑠(かる)の愛に報われない宮子(みやこ)。それぞれが、自身が迎える近い未来も知らず、同じ中天の月に祈りを捧げていた。珂瑠に譲位したものの、太上(だじょう)天皇としてこれまで以上に重い責任を負った持統天皇の半生がここに始まる。
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