武士道の逆襲

武士道の逆襲

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武士道とは本当はどんな思想なのだろうか。ブームのようになっている武士道は、実は明治以降に作られたイメージにすぎない。「甲陽軍鑑」「葉隠」など重要文献を読みなおし、日本思想としての武士道を解明。(講談社現代新書)

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    本書は、新渡戸稲造以前の本来の武士道とは何かを語る書
    それを、武士道の逆襲といっている。
    武士とは神仏に頼らず、己の力のみを頼りにするというところがよい。

    新渡戸稲造の武士道とは、”Bushido, the Soul of Japan ”
    明治国家体制を根拠として生まれた近代思想である。
    「武士道」とは武士のそれではなく、明治国家の近代市民の思想なのである。
    本書は、それを「明治武士道」といい、本来の男道、武士道とは区別している。

    本来の武士道とは、平安中期、八幡太郎義家以来徳川幕府にいたる武士のの流儀・気風を言う。
    それを、「兵の道」「弓矢の道」「武士道」「男道」などという。

    ■武士道とは
    ①八幡太郎義家以来の「本来の武士道」 江戸時代前期まで、戦国乱世の先頭者の精神そのもの 武士たち自身の俺は武士だという自覚そのもの
    ②「士道」 山鹿素行以降の平和な時代の武士道 己の職分を知る、戦場における戦闘者の働きを儒教的道徳によって説明する 多分に本来の武士道が含まれている
    ③明治武士道

    ■武士とは
    ・次の3つを満たすものが武士
    ①戦闘を本来の生業とする者
    ②妻子家族を含めた独特の団体を形成して生活をする者
    ③私有の領地の維持・拡大を生活基盤とし、かつ目的とする存在
    ・自己や一族の生死存亡はすべて自分の力のみかかっている
    ・自己の存在を保つためには、刀を抜いて切りかかるその一事にある
    ・武士は武力のみならず、知恵、人望、統率力など有形無形のあらゆる力の総合の上に立つ

    ■実力家業の世界
    ・よりどころは、神でも仏でもない。ただ、己の力のみ
    ・強ければ奪い、弱ければ奪われる。それが武士の掟
    ・自らの存続をするためには、事実だけだ。そして証拠を重んずる
    ・勝って生き残るか、負けて死ぬか、その2つに1つ。中間なるものはない
    ・武士はただ強いだけではない、相手の心情を察し、思いやりを持って応える「武士の情」をも持ち合わせている。

    ■兵の威
    ・肉体のすべてが武器であるともに、精神もまた武器である
    ・制約とは弱み、相手が鬼だろうが神だろうが、踏み込んでつかみかかれ
    ・常在戦場
    ・武士は「名」を重んじる。勝ちがなければ、そもそも名を得られない。いったん得たあとも、勝ちつづけていかなければ、その名を保つことができない。
    ・平家物語 齋藤別当実盛
    ・優れた武士とは 剛強にして、分別・才学ある男。豪強とは、他人に頼らず、また他人を気にかけずひたすら自分の力と分別によって手柄を立てようとする武士
    ・武士が生きるのは、金品や言葉のやり取りでなく、命のやり取りである。
    ・勝つことが命である。犬といわれようが、畜生といわれようが勝たないことにはお話しにならぬ。
    ・分別のある大将とは、覚え、すなわち、経験と実績がある大将でなければならない。
    ・武士にあるまじきこと、ふたごころ、すなわち心に嘘偽りがあることをいう。うろんたる事、あいまいなこと、裏表のはっきりしないこと。

    ■主従
    ・忠孝の道徳や、利害、報酬だけで、主従の緊密な一体が生まれることはない、幼少から生活をともにした具体的な実体験から生じる。
    ・侍に上がり下がりはない。武士としての本文を超えた、人間としての心のふれあいのことを言う。
    ・武士の値打ちは、死んでみてはじめてそれと知れる。

    ■一生
    ・いかなる場合にも刀を抜かないのであれば、その者は武士ではない。そして刀を手に取る時は、まさに人を切るときである。
    ・第一抜くべきときに刀を抜かぬのは、男道に反するということだ。
    ・武士道とは死ぬことと見つけたり 武士は常に、死を意識して死ぬ覚悟をもっている。
    ・武士の定年は60ではなく、刀を抜いて死ぬまでだからだ。
    ・武士とは、人をあてにせず、また、他人の仕方を云々したりそれに左右されたりせず、自ら磨き上げた己の力をよりどころとする

    ■明治武士道
    ・西洋式軍隊の強さの根源は、節約とのメカニズムである。
    ・帝国軍隊は、近代的な国家の軍隊でなければならない。
    ・軍隊の精神的基盤たる軍人道徳は、結局、武士たちの道徳に頼らざるをえない。

    目次
    第1章 武士道とは何か
    第2章 勝ちがなければ名は取れぬ
    第3章 主君と家来
    第4章 一生を見事に暮らす
    第5章 明治武士道
    あとがき

    ISBN:9784061497412
    出版社:講談社
    判型:新書
    ページ数:304ページ
    定価:880円(本体)
    発売日:2004年10月20日第1刷

    0
    2023年03月31日

    Posted by ブクログ

    新渡戸稲造の武士道のオマージュ的な作品と思っていたが、いい意味で裏切られた。

    新渡戸のいう武士道を明治武士道と定義し
    本来の武士道とは違うという内容。
    本来の武士道はもっとリアリティーを持ったリーダーシップであることが理解できた。

    0
    2016年08月18日

    Posted by ブクログ

    201309/
    武士の実力は、基本的には、リアルな物質的な力の総合にある。現実に己の存亡を懸けている現場にあっては、そのことを単純に否定するような妙な精神主義の入る余地はない。ただ、そのリアルな力の現実を見据えつつ、その力を保持し、駆使し、拡大していくことができるための条件として、ある種の人格的、精神的な力が考えられていたのは確かである。/
    今日の社会では、一応の建前として、自他の対立は、話し合いによって解くべきであるという考えが主流を占めている。理性的な対話こそが無垢・絶対であるとする立場に固執するならば、たとえば問答無用で切りかかってくる武士に対して、どのような言葉を投げかけうるのかを考えてみる必要があるように思われる。自分と他人は異なっているということの深さは、何によっても埋めがたい。どうしても対立を解消したいのなら、刀を抜いて相手を倒す以外にない。こういう考えを、野蛮であるといって片づけるのは簡単である。しかし、そういったからといって、自他の隔たりの深さという問題自体がなくなるわけではない。むしろ、武士を野蛮と笑うそのときに、私たちは、他者の他者性という問題自体を見失っているかもしれないのだ。/
    武士道はキリスト教と矛盾しないという対外的な説明に使われた武士道は、ここでは逆に、キリスト教は武士道と矛盾しないという対内的弁明に用いられることにもなる。/
    本書がとらえる武士道の基本骨格は、キーワードで示すなら、「私」「戦闘者」そして「共同体」である。これらは、それぞれ「自立」「実力」「心情的一体」という三つの価値に対応している。それは新渡戸稲造の『武士道』とは、まるっきり似ても似つかぬものであるということだ。/

    0
    2013年10月02日

    Posted by ブクログ

    明治以降の新渡戸武士道と本来の武士道は違うぞ、では本来の武士道とはなんだったのかってゆう本。
    様々なエピソードや論考がとてもおもしろった。明治になって武士道が廃れ新渡戸武士道として復活するまでのところも、いきなりお家の私兵って具体的な個人の関係が抽象的な国家の軍隊にならなかったので、天皇の統帥権ってのは天皇という人格を利用したもんだとか。キリスト者が武士道を擁護してった背景に、西洋に日本にも道徳があるというのを紹介しようとしたところが大きく、新渡戸武士道もその点で本質から逸れてしまっただとか。
    この本で紹介された武士の考え方で今の生活に説明がつくものも以下のように多々あって、そこは参考にしたいと思った。
    武士道の根源とは本当の実力とは何かととの問いの中から生まれた。腕力だけでなく、統率力や人望や経済力や運など、様々な要素を含めたものが実力である。
    重要視するのは説明でなくて事実、そうじゃなきゃ命を預けられない。
    形や威儀へのこだわりは実力の発露、すべてが威の表現である。
    勝たなければ名は得られない。地名を名字にするのもその地を守り抜いて来たという実力の証。
    大高城から一晩動かなかった家康、これは武士としての分別があったから。一は一と事実をありのまま受けとめる分別が大事。

    0
    2011年12月23日

    Posted by ブクログ

    国家の品格を読んでから、読みました。
    武士道と言われて、個人的に違和感を感じていたもの。新渡戸の武士道と葉隠の武士道。それらの差異、武士道の本質が分かりやすく書いてあり、大変面白かった。

    0
    2020年10月04日

    Posted by ブクログ

    武士道にもいろいろある!
    新渡戸の武士道は武士の思想ではないなど、へぇを連発したくなる。
    武士の思想の凄さ、論理の一貫性を味わえる。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    今日、『武士道』と言うと新渡戸稲造の著書を連想すれど、新渡戸稲造の武士道はあくまで明治時代に発行されたものであり、国を纏める為、政策的意図が強いと指摘する。
    本来の武士道とは常に死と隣り合わせであった武士にとっての行動規範のようなものであって、新渡戸稲造の武士道とはあまりに違いが大きいと。
    作中によく引用される『葉隠』も機会を作って読んでみたい。

    0
    2015年12月13日

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    存亡を懸けて自己を問う。
    武士道とは大和魂ではない。

    [ 目次 ]
    第1章 武士道とは何か(混乱する武士道概念;武士道の原像;実力稼業の世界)
    第2章 勝ちがなければ名は取れぬ(実力とは何か;勝ちがなければ名は取れぬ;朽ちもせぬ空しき名;過激な分別;有るものは有る、無いものは無い)
    第3章 主君と家来(頼もしき家来;妻子の一命;恋か、忠義か;諌言は一番槍にまさる)
    第4章 一生を見事に暮らす(根本は人を切ること;死の覚悟;武士のたしなみ;我一人の精神)
    第5章 明治武士道(軍人精神の成立;『軍人勅諭』;明治武士道;キリスト教と武士)

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    [ 参考となる書評 ]

    0
    2010年12月17日

    Posted by ブクログ

     武士道が、最近巷で喧しいが、武士の武士道と明治期以降の武士道は、全く異なるもであるという的確な視点立った武士道についての解説書である。武士は、死と引き換えに戦闘する。根本は人を切ることであるのであるから、死は戦闘の為の引き換えになった倫理であろう。明治期以降の武士道は、その死の引き換えは、現実にはない。精々陸軍の死との引き換えがあったのであろうが、これは、国家の権力的統括の必要性もあったのであり、本来の武士道とは全く違うものであり、武士個人の責任とは違った位相で語られることとなった、と思う。著者は、明治15年に下された「軍人勅諭」は、自立した戦闘者としての武士を「私情の信義」として否定したと述べる。武士の義とは、人を斬る義であって、又、斬られることもあるという義でもある。そこには、自己の確定こそが、思想として深められる必然的切っ掛けがあるが、軍人勅諭のように、国家のための、他者による義が説かれ諭されるためにする構造などにはないのが本義であろう。明治武士道の虚妄性がここに潜むと私には思える。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    新渡戸稲造の武士道とは違う話。
    どんな道も考えも、その時代に生きた人、環境、教えなどで違うものであると思います。
    思ったことは、人は自分の信念に従って生きてきた結果、色々な道ができたんじゃないかということ。
    それを後世に伝えることで道は変化します。
    どの道が正解かはわかりませんが。

    0
    2022年03月09日

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